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2006年7月

しのびよる破壊 航空機エンジン(2)

NHKのこの番組は、IFSD率を取り上げないという意味で、エンジンの飛行中停止の問題を見る視点にゆがみが出ていると思うのです。

次の図は、米国の航空会社の例ですが、エンジンの飛行中停止率の推移を示したものです。縦軸は1000飛行時間につきIFSDがおきる回数を示しています。Ifsd_1

これを見ても分かるように、IFSD率は1960年代から右肩下がりで下がり続けており、25年間で1桁下がっていることが分かります。信頼性を示す指標で1桁下がるというのは大変なことなのです。

タービンブレードは高温の燃焼ガスにさらされて、さらに遠心力による引張りの力を受けますから、クリープ破壊の危険があります。

Turbinene20このタービンブレードをコンプレッサーで圧縮された空気の一部を使って冷却するという発想は、ジェットエンジン開発の初期からありました。

1945年に初飛行に成功した日本初のジェットエンジンであるネ-20でも、タービンブレードに冷却用にエアーを吹きかけていました。

現在のジェットエンジンのタービンブレードでは、ブレードの内部に冷却空気を入れて、さらにたくみにあけられた穴から出たエアーがブレード表面をフィルムのように覆つて、ブレードを高温から守っています。

Turbine1空気の流れを制御するために内部の構造は複雑になっています。

Turbineblade 最近のエンジンに使われているタービンブレードは、ニッケルをベースにした耐熱合金で、鋳造で作られます。クリープ割れは結晶の境目(結晶粒界)にできることから、単結晶(ブレード1個がひとつの結晶でできている)のブレードが開発されて使われています。金属はたいてい、小さな結晶の粒の集合でできています(発泡スチロールの粒々を細かくしたものをイメージすると近い)。金属を少しでも学んだものにとって、これだけ複雑なものが「単結晶」でできていること自体驚異的なことです。

航空機や航空機用エンジンの安全性は急速な進歩を遂げています。「完全な安全」はありえないのです。「便利」の背後には危険がつきものです。安全技術の現在がどうなっているのかを、ショッキングな映像を何度も見せた興奮の中で、突く相手を探すような視点で問題にするのは、間違っていると思います。

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しのびよる破壊 航空機エンジン(1)

NHKスペシャル テクノクライシス「しのびよる破壊 航空機エンジン」を見ました。

タービンブレードの破壊による飛行中エンジン停止(IFSD:In Flight Shut Down )に問題を絞って番組を作っており、多方面への取材をしていて、記録映像としてはまとまった貴重なものになっています。

でも、「テクノクライシス」というタイトルで、サーバー犯罪やロボットの軍事転用と同列で「しのびよる破壊」としてこの問題を取り上げるのは、明らかに違うと思うのです。「サーバー犯罪やロボットの軍事転用」には、「テクノクライシス」(技術の進歩によってもたらされる新たな危険→危機)という面があります。

この脈絡では、あたかも、航空機エンジンの進歩が、とんでもない破壊の方向に向かっているような筋立てになっています。

実際に戦後60年を振り返ると少年の犯罪件数は減少しているにもかかわらず、最近起きたショッキングな少年による犯罪の数例をとって(映像を何度も繰り返し流しながら)「最近の青少年の凶悪化」などと問題を立てる錯誤に似ています。

AirNHKは昨年8月12日(JAL123便事故の20周年の日)、たまたま福岡空港でJAL-ways機が離陸の際、IFSDを起こし緊急着陸をしたときの様子を撮影しており、その映像を何度も流しています。確かに、ジェットエンジンの後部から火を噴いている映像はショッキングではあります。

でも、ひにくれものの私から見ると・・・

* 炎は一瞬見えるものの、1秒前後で消えている。

これって、すごいと思いません。エンジンで異常が起きて、コックピットに警報が鳴り、パイロットがエンジン停止と消火操作をして、実際に火が消える、というプロセスがこの間に起きているのです。(自動消火のシステムではありません)

* エンジンから炎が出て、止まってしまったにもかかわらず、何事もなかったかのように空港に引き返している。

たとえエンジンが1基しか稼動しなくなっても、最寄の空港に着陸できるようにパイロットたちはシミュレータで訓練されているのですね。もちろん、エンジントラブルが発生した際の対処も・・・。

私は、このNHKの番組でなぜ飛行中エンジン停止率(In Fight Shutdown Rate )について具体的に説明をしないのか、が疑問です。(これを出すとストーリーが成り立たない?)

飛行中エンジン停止率は、大型旅客機に搭載されているターボファンエンジンで飛行時間あたりおおよそ10万分の1です。年間に24回飛行機に乗る人(1ヶ月に1回千歳-羽田を往復 誰のこと? 24×1.5=36時間)がいるとして、IFSDに遭遇するのは、およそ2800年に1度ということになります。もう少し詳しくはこちら

1基止まっても大丈夫。2基とも止まる確率は100億分の1。先ほどの例では、2億8千万年に1度。航空機エンジンの信頼性は、年々高くなっています。

私は、テクノクライシスがこの問題にあるとしたら、2万円そこそこの金額で地上1万メートルを飛び東京-北海道を1時間半で行くのに、それを当たり前だと思っている感覚にあると思います。便利は享受するが、地道に安全を守っている技術者への眼差しは、どうなのでしょうか。

問題があったときに袋叩きにするという姿勢をとって、なお、「完全」を要求することに傲慢さはないでしょうか?彼らも、同時代を生きる人間であり、もしかしたら小学校の時には同じ机を並べたA君かもしれない、と想像をしたときに見えてくるものがあると思います。

明日、飛行機で上京します。明日が2億8千万年に1度の大当たりではないことを祈りつつ・・。

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ニンテンドーDS えいご漬け

3月から「ニンテンドーDS えいご漬け」をやり始めましたが、昨日すべてのトレーニングを終了しました。

昔もあまり性能の良くなかった工作機械を30数年海辺にほったらかしにしていたようなものですから、英語の実力は推して知るべし。

聞き取ってペンで書くのがいいですね。やっていくと、少しずつブラッシュアップされていくのが分かります。

私は、仕事をしながらより高い資格に挑戦してきましたが、疲れて考えることもままならないときの勉強法として、「ひたすらノートに書く」ということをやっていました。これ有効だと思っています。

丈夫なタッチパネルを搭載できたDSだからできたことでしょう。高校時代、単語カードをめくりながら憶えるのにいらいらしていたことを思い出します。「書き取りマラソン」のようにタイムや点数を目標にやるのは、なぜか熱くなりはまります。

中学2年の息子と「通信対戦」を行うと、半分以上負けます。書くスピードではとても勝てない(eとiとoがよく認識してくれないことがある・・・書き方悪い?悔しい!)。

私に負けると、息子も悔しがってトレーニングを積んで挑戦してくる・・・。息子とのコミニュケーションにもなっています。息子は、意味はよく分からなくても、耳で聞いてスペルを書けるようになっているようです。学校の勉強でも英語は自信を持っているよう。

全部トレーニングが終わったら、どうなるのかと思っていましたが、トレーニングのどのレベルでもひとつやれば、「英語力判定」はできるようです。

いまは、SとAAAを行ったり来たり。時にAAやAに落ちることも。体調のバロメーターにもなります。ただ、ハンコがまだひとつ足りません。どうも、「書き取りネズミ捕りHARD」で2000点以上取らないといけないらしい。これは難しい。スピードについていけない。現在790点。

それにしても今の子どもはうらやましい。高校の英語の先生「impossible」を「インポシブル」と発音していたものなぁ・・・。

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