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パルテノン神殿 柱の組立

パルテノン神殿の柱をつなぐ部品に、日本製チタンを使ったのはどうも失敗だったらしいことがわかってきました。

皮肉なことに、チタン合金が強いことが仇になったようです。せん断の力(はさみで切るような力:柱のドラムがずれるときに接合部に生じる)で、木とチタン合金ではその強度に大きな開きがあります。木の種類もチタン合金の材質もわかりませんから、大雑把な計算にならざるを得ませんが、おおよそ40倍違います。パルテノン宮殿では、ポールの部分の直径は55mmだそうです。木では2.5トンの力で壊れますがチタンでは100トンにならないと壊れません。2.5トンでは、8トンもあるドラムが横にずれ始めたらひとたまりも無いでしょう。

しかし、この横にずれることに抵抗してしまうと、柱を傾けるほうの力(曲げモーメント)が生じ始めるのです。そして、傾ける力の方が、柱にとっては致命的になる。

Empolia では、ドラム中央につけられた3つのパーツ(empoliaとpole)の目的はなんなのでしょう。

私は、この作業にクレーンが使われたというところに答えがあると思います。271828さんが教えてくれた、クレーンの絵。設置する位置を決めるには、本体の位置(横移動)とブームの倒す角度で決めなければなりません。ブームを倒したり起こしたりすると、高さ位置も変わりますから、ワイヤー(ロープのようですが)の長さを巻き取りによって調整しなければなりません。結構難しそうです。

現代でも、たとえばポンプをクレーンを使って設置するときには、ポンプの台座にあいているボルトホールの位置にあわせて、コンクリートの床にあらかじめアンカーボルトを打っておきます。床からボルトがニョキッと生えている感じです。クレーンオペレータに合図を送る人が、うまく誘導して、ボルトホールにアンカーボルトが入るようにして、設置します。手際よく正確に行うには熟練が要る作業です。

Setup1 それから想像すると、かのポールはアンカーボルトの役割を果たしていたのであろうと考えられます。ポールが角柱にあけられた穴に入るようにすれば、中心が決まる。芯出しというやつですね。

この3部品には、芯出しのツール以外に、回転させるための軸としての役割もあったようです。それと、中央の面が粗い部分について・・・・次回書きます。

公開している文献は見つかっていませんから、ここは素人の強みでどんどん想像を膨らませてみます。「おかしい」と思っている方、ブレーキをかけてください。

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コメント

SUBALさんこんばんは。面白くなってきました。昨日クイズの解答が出たと思ったら、今日はもう先に進んでいる。どんどん推理が進む、面白いですね。次はどんな展開になるのか楽しみです。
 271828さんもただ者じゃないですね。あの論文の筆者がバークレーとギリシャの大学だというのは私も見ていたのですが、ギリシャのどこの町だというところまで突き止めるのですからしつこいです(ほめてます)。
 エンポリアと棒の材質ですが糸杉と書いてある本があります。100%は信用できません。ギリシャというとすぐなんでも糸杉だからです。BC400年頃(パルテノンはBC430年頃)の商船はもみ(fir)杉(cider)松(pine)で造ったとありますからそのあたりの木を使っているはずです。
 271828さんが以前クレーンのロープの材質はなんだろうと疑問を呈しておられましたが、恐らく船ロープ(索具)と同質のものを使ったと思います。
 パルテノンを建設した当時のギリシャ人は船で地中海を自由に走りまわる海洋商人でもあったので、クレーンにどんなロープを使えば良いかはすぐ分かったのだと思います。

投稿: 北川 成人 | 2006年9月15日 (金) 00時07分

SUBALさん、北川さん、こんにちは。

パトラス(ΠΑΤΡΑ)のことは以前から知っていたのです。この地に住んで3年のchottocafeさんのブログをほぼ毎日チェックしていました。googleで検索すると最初に表示されます。このブログで紹介された「パトラス風タコソースのパスタ」を作りましたが、これが簡単で美味しかったですね。

さてロープですが、北川さんの言われるように古代のギリシャでは索具の製造と運用技術が優れていたはずです。素材は大麻か亜麻だろうと見当をつけましたが専門家でないので分かりません。大麻(hemp)を検索するとドラッグのことばかり出てくるので閉口します。

一之瀬さんの本にも引用されている『構造の世界』(丸善、ゴードン著)に亜麻(flax)の強度が掲載されていました。約0.7GPa(7000kg/cm^2)で鋼線の1/2程度ですね。大雑把に言って同じ強度ならば直径は√2倍、それほど太くならないです。

投稿: 271828 | 2006年9月15日 (金) 07時50分

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