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「応力拡大係数・・」ソフトの注釈

3月に「応力拡大係数と破壊靭性値を理解するソフト」公開していました。特殊な分野なので、見る人もほとんどいないだろうと思っていました。

しかし、「応力拡大係数」をGoogleで検索すると、2番目に現れて、このブログの記事の中では黄金比の記事に続いて訪れてくれる方も多いようです。

ほとんど自分のメモのようなソフトウエアですので、何の解説も注釈もつけていませんでした。「注釈を入れておいたほうが良いかもしれない」とのアドバイスもいただきましたので、少し書きます。

1.これでなにが分かるのか

応力拡大係数というのが、き裂先端近傍の応力場(応力の分布の激しさ)を表しているのだということです。部材にき裂があると強度は低下する、ということは多くを説明しなくても直感的に理解できることでしょう。では、どの程度になるのかというと、応力だけでなくてき裂の長さが関係しそうだ、ということも容易に想像できます。

Sfi3 き裂の存在を無視して求めらられる応力とき裂のサイズによって決まるき裂先端近傍の応力場を、イメージとして表示できるようにしてあります。この応力場の激しさ(これを係数として簡潔に表現したのが応力拡大係数)の程度によって、破壊するかしないかが分かるということです。

Sif2 左の図で、赤い曲線は応力拡大係数の限界値です。この線を越えると、き裂が急速に進展して破壊に至るということです。画面の上方に、応力場をカラースケールで図示しています。あたかも線香花火の火の激しさのようです。この線上では、き裂のサイズも応力も異なりますが、応力場の激しさは同じになります。

なんだそれだけのことかと感じた方、そうですごめんなさいそれだけです。このことをクリヤーにしたかったのです。

Sfi4この応力場の表示は厳密解とはずれがあリます。どこがずれるかというと、き裂の最先端とき裂から遠く離れたところ。左の図では、xがゼロに近いかaに比較して大きい範囲では大きくずれます。応力拡大係数が破壊靭性値になる前に壊れる場合も起きるのです。

 

 

2.弾塑性破壊について

き裂があるからといって、すべてき裂が進展して急速破壊するわけではありません。き裂が小さいか、粘り強い材料ではき裂は進展せずに、大きく塑性変形して破断します。これを塑性崩壊といい、残余の断面積がきいてきます。応力集中に関する初歩的理解(き裂先端の応力集中係数は無限大に近くなる)からは説明できません。(破壊力学を学んだはずの人でこのことを知らない人は結構います。現実を知らずに勉強するからだろうと推測しています。)

このソフトでは、き裂長さがほとんど0まで表示できますから、どのあたりで塑性崩壊になるのかが確認できます。

塑性崩壊 大きく塑性変形して破断する

線形弾性破壊 き裂が進展して急速に破壊する

Sifだだし、この2つの領域の境目はこのソフトで示しているようにはすっきりしていません。左の図のようにダラダラと移行します。この遷移領域では、塑性変形を伴いながらき裂も進展していく、という壊れ方をします。弾塑性破壊と呼ばれています。このソフトでは、面倒なので捨象しています。

き裂を探している非破壊検査技術者は、この領域をもっと勉強していくべきだと思います。(自分にも言い聞かせています)

けれども、理学的厳密性から離れて工学的な実用性を追求した概念であるはずの「応力拡大係数」が、まだまだ一般の技術者の武器足りえていないことも、偽らざる現実だと思います。応力集中係数は知っていても応力拡大係数を知らない人もまだ多い。何とかしてほしい、何とかしたい。

「応力拡大係数と破壊靭性値を理解するソフト」のダウンロードページはこちらをクリック。

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