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エキスポランド事故と金属疲労

エキスポランドの事故について、疲労破面の様子が明らかになりつつあります。

「折れたのはナットが付いた車軸のいちばん端の部分で、軸の方向に対し垂直に真っ二つに切れたように折れていました。警察が折れた部分の断面に光を当てるなどして調べたところ、断面の4分の3ほどに波状のしま模様が残されていることがわかりました。これは、力が繰り返し加わることで徐々に亀裂が広がる金属疲労に特徴的なもので、警察は、金属疲労が起きて車軸が折れたと断定しました。また、断面の残る4分の1ほどには表面に凹凸がみられるということです。」(NHKニュース

Fati上記の引用の最後の部分が重要です。最終破面率25%ということです。前回の記事で予想したうち高靭性材料の高サイクル疲労、と考えられます。(注:左の写真は、今回の事故の車軸のものではありません。疲労破面の参考例です。)

とすれば、次のことが言えます。

          

(1)解体して点検すれば、注意深く見ると目視でも確認できた時期があるはずです。(エキスポランドの行った目視とは、解体もせずに外側から眺めただけ?)

(2)非破壊検査をしていれば、JISに定められた3つの方法のどれを適用しても、ごく早いうちに間違いなく発見できています。(これを見つけられない非破壊検査なんて存在意義がない、とまで言い切れます)

(3)疲労亀裂はこの車軸だけであることは、ほとんど考えにくい。(ほかにもいっぱい出てきて当たり前)

超音波で模擬実験を行った映像は、続きで・・・。

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車軸のサイズや形状がわかりませんので、手許にあった丸棒に深さ1.5mmの切込みを入れて探傷してみた結果です。探触子は5MHz、振動子直径10mm、振動子材料:ジルコンチタン酸鉛。測定範囲は125mm。

Shaft1 こちらは、切込みがないほう。反対面からの超音波の反射信号(エコー)が122mmの位置に確認できます。

Shaft2 こちらは、切り込みがあるほう。切り込みからのエコーが99mmの位置に表示されています。ゲインは72dBと少々高めですが、SN比は十分、きれいなきずエコーが採れています。

超音波探傷にとって、超音波の伝搬方向に直角に近い面状きずは、最も得意とするところです。割れが、断面の1/4、1/3、1/2と伸展して行けば、いっそう楽に検出できます。

上の報道が正しければ、割れが3/4にまで進行してはじめて破断したわけですから、その過程でごく初期のうちに(割れが入り始めてから数年のうちに、まだ強度的には十分持っているうちに)検出可能です。

たくさんの、まだ破断していないが疲労割れがある車軸が現場にあるはずです。これは回収して今後のために研究をすべきです。金属疲労の専門家にすべて渡すと、すべて割ってしまいます。一部は、検査の専門家に渡して、検査技術の向上に役立てるべきです。(割ってしまっては意味がありません)専門領域の垣根を取り払って、共同すべきです

不幸な事故でしたが、担当者をつるし上げることではなくて、原因の科学的解明と、技術向上に役立てることこそ、肝心です。

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コメント

こんばんは。
直径50mm,長さが1m程度の車軸なら,垂直探傷で割れを見つけるのはたやすいですよね。船舶のエンジン回りの長いボルトは分解点検時にこの方法で検査します。
橋梁の埋め込みアンカーボルトの長さ不足もこんなふうに検査して,ついでに破断も調べているはずです。もっとも,こちらも手抜きが判明してから取り掛かった点検でしたけど…。
デジタル器が売れたんですよね…。
とても複雑な思いでこのニュースを見守っております。

投稿: niwatadumi | 2007年5月11日 (金) 00時08分

niwatadumi さん
「俺たち非破壊検査屋に依頼してもらえれば、いとも簡単だった」と声を大にしていいましょう。
私の予想では、たくさんの疲労割れが入った車軸があるはずですから、ここで疲労割れサイズの非破壊評価技術を一気に向上させる機会かもしれない、そう考えています。そうしたい。

投稿: SUBAL | 2007年5月11日 (金) 01時37分

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