« エキスポランド事故と非破壊検査 | トップページ | 木蓮 »

公開されない情報 ジェットコースター事故

足掛け3日にわたって、大阪府吹田市で起きたエキスポランドジェットコースターの事故が報道されています。

事故原因が金属疲労だと言われているのですが、なぜか重要な情報が公表されません。「破断面の写真」です。なぜこの情報が重要かというと、事故原因の直接の手がかりであるばかりでなく、全国の同様な施設の緊急点検の目安になるはずだからです。

車軸の疲労破壊であるならば、ある程度勉強をして経験をつんだ人であるならば、顕微鏡に頼らなくとも、マクロ観察で概要はつかめるはずです。

Fati重要な情報は疲労の起点と、疲労破面率(もしくは、最終破面率)です。右の写真(この写真は今回の事故のものではなく、軸の疲労破面の参考例です)では上方と下方に疲労の起点があることがわかります。その下の縞模様は貝殻模様(もしくはビーチマーク)と呼ばれる疲労破面の独特の模様です。(5/21 一部加筆訂正)

にほんブログ村 科学ブログへ続きはクリックの後で。

Fatigue4 もしも、次の模式図のような破面だとすると、小さな割れでも壊れる破壊靭性値の低い材料ということになります。これだと、破壊前に危険な兆候をつかむとしたら分解をして磁粉探傷を行わなければなりません。そもそも、そのような材料を使っていること自体が問題で、点検前に全数交換をする必要があるかもしれないのです。これも、引っ張り強さか疲労限の高さに着目をして材料を選択するとありえない話ではありません。

少なくとも、報道を見る限り、この破面に関する情報は流れていません。それでいて各地で「点検」がなされているといいます。正直なところ不思議です。

エキスポランドが過去適切に点検をしていなかったことをなじる前に、今なされていないことを報道する責任が報道機関にはありませんか?

精密検査と報道されている非破壊検査を実施するにしても、どのくらいの割れをどのような条件で探傷するのか、的確な作戦を立てなければ適切な探傷はできません。

|

« エキスポランド事故と非破壊検査 | トップページ | 木蓮 »

科学技術」カテゴリの記事

非破壊検査」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。飛行機事故や遊園地事故などで、金属疲労とそれに関わる探傷試験がよく登場しますね。今こそ、一般の方にこれらのことを広く知ってもらう必要があるのではと思います。探傷という単語は私のワープロではでてきません。一番に出てくる探勝の意味「景色のいいところを見て歩くこと」を知らなかったので、こちらの方が問題かもしれませんが。

ということで、書籍を楽しみにしています。もしかしたら、私のロボット本と同じ頃に店頭に並ぶのでは?

投稿: KADOTA | 2007年5月 9日 (水) 12時54分

 SUBALさんの得意分野ですから大いに書いて啓蒙してください。エキスポランドは素人の集団だ。あれだけ人の命を預かっているとの認識がないのではどうしようもない。

投稿: 秋葉原の友 | 2007年5月 9日 (水) 21時21分

KADOTA さん こんばんは
こういうときこそ、人々の安全を保つ仕事に携わり、今日も何事もなく、自分たちの仕事について意識されないことが「成功」であり、そのことにプライドを持っている一群のプロフェッショナルがいることを、特に若者に知ってほしいです。
今書いている本は、超音波一般についてですが、第5章は「超音波探傷」です。超音波探傷の基礎と最前線を紹介できると思います。全体の中では、得意分野ですので、全体とのバランスを考えて後回しにしています。
KADOTAさんのペースにはとても追いつけそうもありませんが、次に雪の降るころにKADOTAさんの本と書店に並ぶことを夢見て頑張っています。

秋葉原の友 さん
いやー、お元気そうで何よりです。この記事は、少し硬めになることをあえて覚悟して、大げさに言えば、私の魂をこめて書いています。それゆえに言葉がいつもより自重気味になっています。

投稿: SUBAL | 2007年5月 9日 (水) 23時28分

>第5章は「超音波探傷」です。超音波探傷の基礎と最前線を紹介できると思います。全体の中では、得意分野ですので、
自動車の車体のプレス技術の研究をしていたころ、スポット溶接の全数非破壊検査の評価をやっていたことがあります。(プレス部品の評価は後段の溶接技術も含まれるのです。品質保証技術として必須。)でSUBALさんが執筆されている本は私にとってもバイブルになるのでしょう。(その経緯で溶接学会に属しております)その熱意も伝わってくる記事でした。

投稿: デハボ1000 | 2007年5月10日 (木) 01時41分

デハボ1000 さん こんばんは
一昨日のNHK特集で、新日鉄の買収についての話題をやっていました。その中で自動車用鋼板ハイテンの落錘試験をやっていました。これを見ながら、高張力化させながらスポット溶接は続ける、それで超音波でより小さな割れまで見つける要求が出てくる・・・てぇことだな・・・と、デハボ1000さんの以前の話を思い出していました。

「バイブル」は勘弁してください。想定している読者は、高校生から、機械系に興味がある、もしくは超音波にかかわるの何らかの仕事をしている若い人たちです。専門的に勉強をしてゆくステップにしてほしい、というスタンスです。
デハボ1000 さんのような専門家の方には、「へー、こんな説明のしかたもできるのか」と読めるような本にしたいと思っています。

投稿: SUBAL | 2007年5月11日 (金) 01時29分

初めてメール差し上げます.小生も職業がら疲労には非常に関心が有るのですが貴殿の掲載されておられる構造図や破断面から見てなぜこの箇所が破損したのかいささか理解に苦しみます.
Q1;破断面のストライエーション間隔,波数等の参考情報はお持ちでしょうか?低サイクル疲労でしょうか?
Q2;軸には回り止めはあるのでしょうか?
Q3;上下に発生あることから圧入しているはずの太端側に余程のガタがあり過大なモーメントが小端側に繰り返し付加されたとしか思えませんが貴見は如何でしょうか? よろしく御教示お願いいたします. 興野

投稿: 興野 文人 | 2007年5月30日 (水) 15時15分

興野文人 さん ようこそ
やはりそう思われますか。
私は、通常考えにくいところが破断しているその要因こそが、事故原因の核心だと思っています。
Q1.現時点で破面は公開されていません。(私のブログに掲載しているのは、今回の破面ではなく疲労破面の参考例です。ただし、この参考例とよく似ているらしいとの情報もあります)ストライエーションの情報はありません。疲労の専門家に鑑定を依頼していれば良いですが、いたずらに破面を触って、ストライエーションの情報が得られなくなることを心配しています。
Q2はわかりません。ないように見えますが・・・。
Q3. 私の推測もここにあります。これは圧入部の本体側を見ればわかるはずです。これが違うとすれば、激しい横揺れのときに引張の繰返が作用したのかもしれません。この場合も圧入部にガタがあるでしょう。

投稿: SUBAL | 2007年5月30日 (水) 22時57分

SUBAL様
早速の回答有難うございます.小生添付の破断面写真が今回の物と勘違いして意見を記載し大変失礼しました.
私はさる機械製造会社の技術部長をしておりますが10の9乗クラスの寿命問題となる製品の為,若手設計者に金属疲労の教育は欠かせません.疲労に興味を持って勉強してもらう為に今回の様な生きた教材(事故に遭われた方には不謹慎ですが)が必要です.今後とも何か情報有りましたら御教示お願いします. 興野

投稿: 興野 文人 | 2007年5月31日 (木) 08時29分

>デハボ1000 さんのような専門家の方には、「へー、こんな説明のしかたもできるのか」と読めるような本にしたいと思っています。

バイブル・・というと一寸意味が異なってきますよね。語彙の選択を間違えたようで。
さて、このような疲労という概念や、未然防止のための探傷技術という言葉や概念を理解して貰うことは大変なことがよくあります。その際分かりやすく、推奨でき、そのような「現場の技術・技能者」に呼んでもらえるように貸し出したり推奨できる本。これがなかなか見当たらないのが現実です。その架け橋となる本がSUBALさんなら実務者向けとして書けると思います。妄言失礼。

投稿: デハボ1000 | 2007年5月31日 (木) 13時51分

興野文人 さん
私の書き方が少し配慮に欠けていたようです。事故の現実の中から「学びつくす」ことこそ犠牲になった方に対して技術にかかわるもののなしうる供養だろうと思っています。こちらこそ、よろしく。情報交換をしていきましょう。

デハボ1000 さん
いやまぁ、その・・・頑張ります。

投稿: SUBAL | 2007年5月31日 (木) 21時51分

始めにCGを見て変な所が 折れるもんだと思った
実際の写真は違いましたね
ただ テーパー部があるのに変だな
端断面が均一ですね
長年の金属疲労にも見えないし
過締めかな??
不可解な破断です
専門の方 教えてください
それにしても
2~3年に1回取り替えても良い部品ですね

投稿: ワカラン | 2007年6月 5日 (火) 18時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222291/16452788

この記事へのトラックバック一覧です: 公開されない情報 ジェットコースター事故:

« エキスポランド事故と非破壊検査 | トップページ | 木蓮 »