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エキスポランド事故 検査員の資格

エキスポランドの事故では、JIS(日本工業規格)によって年1回の探傷検査(磁粉・浸透・超音波)が定められており、これに基づく点検を行っていなかったエキスポランド側に非難が集まりました。

News 本日の北海道新聞に右のような記事が掲載されました。国土交通省の見解として、ジェットコースターなどの遊具施設が建物扱いであったのを、乗り物として鉄道並に扱う、という趣旨です。その流れは良しとしましょう。でも、その中身は唖然とするものです。

News2 右に掲載したの記事のところです。国土交通省の方やマスコミの人は、非破壊検査員の資格認証はJISで実施されているのをご存じないのでしょうか。「JIS Z 2305 非破壊試験-技術者の資格及び認証」です。参考PDF

3日間の講習で与えられる「遊具施設検査員」にできる探傷検査として、染色浸透探傷を考えているようです。

これってどうなのでしょう。私の考えをは続きで・・・。

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以下の点で間違っていると思います。

(1)危ないキズが早いうちに見つけられるかが基準ではなく、手軽にできるかが基準になっている。

(2)浸透探傷試験が、熟練やデータの蓄積なしにできる試験方法と誤解している。

(3)JISの資格認証制度があるのに、JISの有資格者ではない人に探傷検査を実施させようとしている。(JISに基づく点検をやっていなかったエキスポランドの担当者と同じ考えでしょう)

JISは当該方法や技術について、現在の技術水準を反映してまとめたものですから、それに基づかないからといって法的な違反にはなりません。もちろんJISが万能であるはずもなく、JISの有資格者が検査を実施したとしても見逃しが絶対ないとはいえません。でもあえてなぜ、水準を落とすのでしょう。

現実的には、検査員有資格者が大幅に不足してきます。今でも、検査員有資格者は逼迫しています。じゃぁ、だから現実的に考えて・・・ということでしょう。検査の充実を図るときにいつも出てくる「現実」というやつです。

事故が起きてから「JISがあるじゃないか、なぜこれに基づいてやらない!」と後出しじゃんけんのような非難はするけれど、いまJISに基づかない検査員の探傷検査で安全を確認しようとする動きに、新聞記者はなぜ疑問を投げないのですか。

Pttext 右は、浸透探傷試験のためのテキストの一部です。実技訓練も当然必要です。他の試験方法に比較すると浸透探傷試験のほうがマニュアル化しにくく属人的な技量と経験に基づく判断力が問われるのです。一般にある「簡単だ」の誤解に乗った判断は危険です。

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コメント

こんばんは。
装置を使わない浸透探傷試験は,それこそ打音検査なみに技能レベルが問われますね。しかも探傷試験中は処理時間に気を配り表面状況に目を配り,集中力も必要で気を張ります。手順としては確かに簡単に見えますけどね。

投稿: niwatadumi | 2007年5月14日 (月) 23時06分

niwatadumi さん こんばんは
この誤解多いですね。ハンマーで叩いて判断する打音検査は、マニュアルになりにくい属人的な技能に依拠しています。属人的だから道具はハンマー一つで良いわけです。打音検査に比べれば、超音波探傷はマニュアル化しやすい方法といえます。
浸透探傷試験を道具が簡単だから、熟練が要らないというのは、手を汚して仕事をしたことのない人のたわごとなのです。大きい傷なら、ど素人がやっても出てしまうことが誤解の要因かもしれませんが・・・。
現場で仕事をしていたときに、こぶしを握り締めたことが何度かありました。

投稿: SUBAL | 2007年5月15日 (火) 00時37分

こんばんは

エキスポランドでの軸損傷記事に関し、非破壊検査に関るものとして大変興味深く拝見しました。
非破壊検査は事故が起きるとクローズアップされますが、常時においては非破壊検査株式会社のTV、CMくらいしか一般の人には遠い存在であるのではないでしょうか?残念なことです。
検査員(インスペクター)の社会的地位はどうでしょうか?3K職場の代表のようです。多くの勉強と努力をして資格を取得しても医者や弁護士のような社会的地位はないのが、実情です。他方、米国や欧州では違うようです。
これらすべて、安全を軽視しているわけではないのでしょうが、日本人の民族意識に大元があるような気がします。明治維新・富国・戦後短期間での復興と打たれ強い国民性ということが災いしているのではないでしょうか?阪神大震災・美浜・グランシティなど喉元過ぎれば過去のこと。気になるのはコストと見栄え マンション買うときに構造と性能検査を考えるよりキッチン間取り、平米です。メーカもそちらを重視

やはり、国主導(安全に規制緩和無し+自己責任)でないと駄目なのだと私は思います。官の言う事は聞く国民なんですから。
そのためにも立派な指導者の育成と教育をよろしくお願いします。

投稿: UTを仕事にしている一人 | 2007年5月16日 (水) 23時41分

UTを仕事にしている一人 さんようこそ
おっしゃるとおりです。私は、この問題にあえて踏み込んで発言しています。このブログは、思ったより多くの方に読んでいただけているようです。信念を持って発言し続ければ、小さな声でも共感の輪が広がるかもしれないと期待しています。
このことで、もしもこのブログがつぶれることがあるとしたらそれでもよし、の覚悟です。
成熟社会への移行(せざるを得ない)の中で「安全安心」のにかかわる技術の見直しが必ずあると信じています。少なくともヨーロッパ並みにはしなければなりません。
おたがい、あきらめることなく、まっすぐに頑張りましょう。

投稿: SUBAL | 2007年5月17日 (木) 00時23分

>このことで、もしもこのブログがつぶれることがあるとしたらそれでもよし、の覚悟です。
成熟社会への移行(せざるを得ない)の中で「安全安心」のにかかわる技術の見直しが必ずあると信じています。

私は、仕事上技術者倫理研究という面から「安全・安心」という論旨で出てきてるトレンドがあることを仕事上知っています。問題認識の一元化ということに対しての齟齬はあるにせよ、技術認識は変ってきています。時代はSUBALさんのほうに吹いていると認識していますし、識者との議論の席でもそれを押しとどめることはもうできないでしょうと認識しています。非力ながら応援させていただきたいと思ってます。(妄言御免願います)

投稿: デハボ1000 | 2007年5月17日 (木) 22時26分

デハボ1000 さん ありがとうございます。
心強いです。
こういうのは言葉にせずに実行するのが良いと思いますが、ついつい言ってしまいました。
普段は、読む人が少ないだろうことを気にもせずに書いていますが、このシリーズだけは多くの人に読んでほしい、そう思っています。

投稿: SUBAL | 2007年5月17日 (木) 22時47分

こんばんは

皆さんのご意見をお聞きして、微力ながら信念と気概をもってやって行きたいと決意を新たにしました。
多くの賛同者(仲間)と次代を担う子供たちへの教育の中で安全・安心をもっと理解してもらえる、機会や場(教科書・体験学習)を提供するという努力が必要なんだと思いました。

投稿: UTを仕事にしている一人 | 2007年5月17日 (木) 23時22分

UTを仕事にしている一人 さん
同じ技術分野で頑張っている方に想いが伝わってとてもうれしいです。
業界狭いですから、どこかでお目にかかることもあるでしょう。語り合いたいですね。

投稿: SUBAL | 2007年5月18日 (金) 21時07分

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