« アルキメデスがまがい物王冠を見破った方法 | トップページ | アルキメデスの原理とガリレオ »

アルキメデスと非破壊検査

アルキメデスが命じられた「王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかどうか調べる」というのは、非破壊検査ですね。

非破壊検査は、壊さずにということが大前提ですから、何らかの間接的な情報から判断します。既知のものとの比較が多くの場合判断基準です。たとえば、位置大きさ形状がわかっているきずからの信号と試験体から得られる信号との比較。

水をあふれさせるにしても、天秤で吊り合わせたまま水に沈めるにしても本物の金と比較する、という手法はまさに非破壊検査そのものです。

目的とする現象(この場合あふれる水の量とか天秤の傾き)が別の要因で左右されることが大きいと、非破壊検査方法としては成立しないことになります。S/N比(シグナルとノイズの比)が小さいということになるからです。そこから見て、あふれる水の量をシグナルとするという方法は前の記事で触れましたが、難しいだろうと思います。

仕事として考えた場合にいちいち同じ重さの金を用意しなければならないのはいかにも面倒です。(貧乏人の発想かな?)

このページにあるようなさおばかりを使えば、純金かどうかの非破壊検査は可能だと思います。

にほんブログ村 科学ブログへ←このアイコンをクリックして「科学ブログ村」のページが出てくるとこのブログへの応援1票になります。1日1回よろしく。

まず空気中で王冠と錘をつりあわせます。次に王冠のがわを水に沈めれば、浮力の分だけバランスが崩れることになります。そこで、錘の位置をバランスが取れる位置までずらすようにします。

そのバランスが取れる位置はその物質固有の(比重に対応した)位置になるはずです。支点と錘の間の長さを1とすれば、錘から比重の逆数分だけ支点側に寄った位置がバランスの取れる位置になるはずです。

純金ですと、およそ1/20のところ。純銀ですとおよそ1/10のところ。金と銀が半々ですと1/15のところになります。空中での支点・錘間が1mだとすると、金では50mmのところ、銀だと100mmのところ、半々では67mmのところになります。これは使われている金の量にかかわらず同じになります。

あらかじめ金や銀で確認を取っておけは、実際の判定には「同じ重さの金」を用意しなくても錘は何でもかまわないことになります。色々な物質ごとに目盛りをつけておけば物質の判定をすることが出来ますし、金と混ぜるものが銀だとわかっていれば混合比を目盛りに刻んでおくことも可能になります。

ここまで来て、汎用性の高い非破壊検査の検査機器と検査方法が整うことになります。

これはもちろん私の想像です。が、アルキメデスは、敵船を転覆させるためのクレーンを考案した人ですし、「我に支点を与えれば地球を動かしてみせる」といったという逸話が伝えられている人ですから、「てこの原理」は熟知していただけではなく、得意技であったはずです。このくらい考えたとしても不思議ではないでしょう。

ここまで思考実験です。実際に可能かどうか実験をしてみたいと思います。幸い手許に金メダルがあります。近いうちに試してみます。

|

« アルキメデスがまがい物王冠を見破った方法 | トップページ | アルキメデスの原理とガリレオ »

科学技術」カテゴリの記事

非破壊検査」カテゴリの記事

コメント

SUBALさん おはよう

超音波本なのにアルキメデスとは?と疑問に思っていたのですが、これで謎が氷解しました。

さて、アルキメデスが生きていた古代ギリシャ世界では王と言っても西欧の王(king)とはちょっと性格が異なります。僭主(tyrant)ですね。シュラクサイを建国したゲロンもアルキメデスが仕えたヒエロンも僭主です。
「王冠」もエリザベス女王が被っているようなもではなくて、ステパノスと言い、古代オリンピックの勝者に与えられる月桂冠のような形をしていました。

投稿: 271828 | 2007年11月20日 (火) 05時45分

271828 さん

>超音波本なのにアルキメデスとは?と疑問に思っていたのですが、これで謎が氷解しました。

はい、そうなのですが、実はもうひとひねりあります。超音波に直接関係してきます。このシリーズ、ミニ実験報告(これからやります)ともうひとつありますが、そこで触れます。

>古代オリンピックの勝者に与えられる月桂冠のような形

なるほど、このかたちは違っていましたね。王冠という言葉から頭に浮かぶ形にしていました。

投稿: SUBAL | 2007年11月20日 (火) 07時18分

なるほど、計量関係に話が及ぶわけですか。

さおばかりの原型は、かなり古くからあるものです。中国の古代遺跡にも今の天秤はかりに類するものがあると聞きます(基準価は勿論時代によって変化する)

この話題、期待しています。

投稿: デハボ1000 | 2007年11月20日 (火) 22時48分

この話、半年前から暖めていたものです。でも、こうして公開してみると思いがけない展開になっていきそうです。面白い。
実は、最後は超音波本の宣伝になるのですが、どうか最後までお付き合いの程。

投稿: SUBAL | 2007年11月22日 (木) 00時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222291/17125559

この記事へのトラックバック一覧です: アルキメデスと非破壊検査:

« アルキメデスがまがい物王冠を見破った方法 | トップページ | アルキメデスの原理とガリレオ »