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アルキメデスがまがい物王冠を見破った方法

アルキメデスの原理は、浮力の原理です。この原理をアルキメデスは、まがい物の王冠を見破る方法を考えて思いついたとされています。

以下Wikipediaからの引用

シラクサの僭主ヒエロンが金細工師に金を渡し、純金の王冠を作らせた。ところが、金細工師は金に混ぜ物をし、王から預かった金の一部を盗んだ、といううわさが広まった。そこでヒエロンはアルキメデスに、王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかどうか調べるように命じた。アルキメデスは困り果てたが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われる。このとき浴場から飛び出たアルキメデスは「ヘウレーカ(ΕΥΡΗΚΑ)、ヘウレーカ」(分かったぞ)と叫びながら裸で走っていったという伝説も残っている。(もっとも、この時代のギリシアでは奴隷が裸で労働していたため、男性が裸でいるのは別に珍しくなかった。)

アルキメデスは金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、金塊と王冠のそれぞれを、ぎりぎりまで水を張った容器に入れた。すると、王冠を入れると、金塊を入れたときよりも多くの水があふれ、金細工師の不正が明らかになった。金細工師の名は知られていないが、その後死刑になったと伝えられる。

この説なんかおかしい。ちょっと突っ込みを入れてみます。

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金に何をどのくらい混ぜたのかわかりませんが、次のように想定してみます。

王様が金細工師に渡した純金は2kgであった。金細工師はそのうち半分を銀にすり替えた。

半分をすり替えるというのは大きすぎると思いますが、まあこれでやってみます。

現在の価格で金はおよそ3000円/g、銀はおよそ60円/g。金1kgで300万円、銀1kgで60万円ですから、240万円をネコババ出来ることになります。

金の比重は19.3、銀の比重は10.5です。

全部金なら体積は103立方センチメートル、半分銀にすると147立方センチメートルになります。容積にして44ccの差が出ます。

王冠を沈めるには直径で最低20cmぐらいの容器は必要でしょう。44立方センチメートルを直径20cmの円柱にすると1.4mmの高さにしかなりません。

これでは、現実的に「こぼれた水の量」を測るのは困難です。これは、この前の記事へのコメントで「水には表面張力もあり、水は容器を濡らし」と271828 さんも指摘しているところです。

それでも、こぼれ出るところを狭くした特殊な容器(やかんのような)ものを工夫すれば出来ないこともないかもしれません。

仮にこぼれた水の量が正確に測れるとしても、こぼれた水の量で得られる情報は体積です。浮力ではなく、アルキメデスの原理を適用することなく、単位体積あたりの重さ(質量)である密度の差を使ってまがい物の王冠を見破ったことになります。

巷間言われている方法でも絶対に不可能であるとはいえないでしょう。それでも私が金細工職人だったら、命をかけていちゃもんをつけるでしょうね。混ぜ物をした割合がもっと少なければとても微妙な話になります。

Archimedes特殊な容器をつくるなどという面倒なことをしなくても、浮力の原理が思いついたのであれば、左の図の方法で確認できるはずです。天秤の両側で44グラムの差が生じることになりますから・・・。

実は、この絵は超音波本の挿絵です(王冠の形が違うかもしれません)。私は、この方法も本心しっくり来ないのです。違うのではないかと思っています。本の中では、アルキメデスの原理を説明するところではありませんので、この挿絵を示すにとどめています。

私の疑問は、同じ重量の金を用意しなくても、アルキメデスなら判定できるのではないかと思うのです。

追記:

 調べてみると、天秤でバランスを取ってそのまま水に沈めればわかるじゃないか、という考え方は一部ににあるようです。下記のサイト( New York UniversityのCourant Institute of Mathematical Sciences )には、1000グラムの金王冠に30%の銀を混ぜて20cmの容器に入れたら0.4mmしか液面は上昇しない。このスケールでは、Vitruvius’s method は無理、と書いてあります。

http://www.math.nyu.edu/~crorres/Archimedes/Crown/CrownIntro.html

ほとんど私が書いたのと同主旨でしたが、王冠の形はやはり違っていたかな。

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コメント

SUBALさん こんにちは

板倉さんの『ぼくらはガリレオ』は落下の法則をメインに取り扱っていますが、前半はアルキメデスのことも詳しく書かれています。ネタをばらすと面白く読めないのでこれ以上は書きません。ご一読をオススメします。

またウィトルウィウスの『建築書』には「金細工師の名は知られていないが、その後死刑になったと伝えられる。」てなことは書かれていません。当該箇所をスキャンしてPDFにて送ります。アルキメデスの「浮体について」のさわりも。 

投稿: 271828 | 2007年11月18日 (日) 10時14分

271828 さん

追記にも書きましたが、Vitruvius’s method はおかしいという主張はあるようですね。ネットで調べてみると「実験をやってみたけれどうまくいかない」というのもありました。でも、wikipediaのように書いてあるほうが圧倒的に多いように見えます。教科書にはどう書いてあるのでしょう。

『ぼくらはガリレオ』はすでに絶版のようで、Amazonの古書市場にありましたので注文しました。週明けには届くと思います。

投稿: SUBAL | 2007年11月18日 (日) 11時24分

 はじめまして。アルキメデスの原理がらみで調べていたら、いきつきました。中1の発展教材で、浮力が扱われていて、そこには①空気中での物体が引く力―水中に沈めた物体が引く力=浮力(表現を変えました)とともに②物体が押しのけた水の体積分の重さ分の力が浮力と書かれています。
①は分かりやすいのですが、②は分かりにくいので、実験で示しました。ちょうど手元にあった石が、700g(7N)と450g(4.5N5N)を示したので、①で計算させ、すり切れいっぱいの水の水槽で、こぼし逆に450ccの水を継ぎ足します。別のところで触れてみえるように、表面張力のこともありかなりアバウトでも収まります。さて、これは教育的なやり方として許されるのでしょうか?
本の一部読ませていただきました。おもしろそうですね。読ませていただきます。

投稿: 理科大好き人間 | 2008年11月 9日 (日) 23時18分

理科大好き人間 さん ようこそ

面白い実験をいろいろとやられているようですね。とても興味深いです。ホイヘンス原理の展示は、2段階でやれれるのがわかりやすいですね。悪がきはあれからいろいろやってみたくなりそうです。周波数を変えるとか、櫛の幅を変えるとか・・・。

ご提示の実験は、①の浮力が別の量(押しのけた水の量)と等値になることを示すという意味ですよね。
表面張力分で誤差が出るとしても、納得できる範囲であればよいのではないでしょうか。気になるようであれば、水に少し洗剤を混ぜてみるのも手かもしれません。

ただ、悪がき(かつても私のことです)は、これでは納得しません。「偶然の一致じゃないの」といちゃもんをつけます。

この浮力の実験では、板倉さんの本の中にある実験をして考えさせると悪がきも納得すると思うのです。

スーパーかコンビニのの買いもの袋に水を入れて、バネばかりにつるして重さを量る。次に、そのまま袋の部分を水につける。重さがゼロになるのを確認する。水の量を変えるのは簡単にできますよね。最初???となってもimpactとなるように思うのですが、いかがでしょう。

投稿: SUBAL | 2008年11月10日 (月) 00時03分

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