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つまようじブリッジコンテストを終わらせる理由

今回の大会でつまようじブリッジコンテストを終わらせるとアナウンスをしてから、「なぜ終わらせるのか」という質問を何度も受けました。

今回新記録が出たこともあり「復活も考えていますか?」という質問も報道機関から受けました。復活はありません。

なぜ終わらせるのか、色々な角度から述べることが出来るのですが、改めて考えてみると、はじめるときに考えたこと、そしてこのコンテストが面白く発展してきた原動力になってきたことこそが、今回終わらせる一番の理由です。

それは、

Br200128「なるべくシンプルなルールにする」ということです。主催者が作らせたい形や、教え込みたい形に「導く」ために、様々な禁止事項を設けるやり方はとりたくなかったのです。結論ははじめから見えていて、それを確認する実験を繰り返して何らかのことを教えているような雰囲気をかもし出すことはしない。

方向性を与えるだけのシンプルなルールを定めて、その範囲であればすべてを許容する、そんなコンテストにしたかったのです。生まれ出るアイデアは、ルールの項目数に反比例する・・・そんなことを開始当時スタッフの間で確認しあっていました。

だから丸太棒でもOK。ただしもちろん強度が低ければ評価も低い。実際には丸太が強いのに「丸太はダメ、トラスにしなさい」といルールは作りたくなかったわけです。

橋に限らず現在の構造物の多くは鋼という材料の特性を生かしたカタチに(多くの事故事例を教訓に)なっています。つまようじと木工用ボンドで500mmのスパンに架けて中央部に集中荷重をかける、それに強い形はどんなんだろう、シンプルなルールはこのことを問うていました。

当初は「橋」のネーミングにこだわっていましたから、このルールがシンプルに問うているところに気づくまでに時間がかかりました。ただ、この間に様々なアーチ橋が考えられ工夫されてきたのは、とても面白かったのです。

5thsc11 「わかってしまったこと」から試行錯誤の過程をなで切るのは、簡単なことです。結果を解釈しているに過ぎませんから、いわば答えを見てから計算問題を解くようなものです。そうではなくてわかってゆく過程を楽しみたいと、考えたのです。ものを作ってゆく過程は、計算問題を解くことに比べるとずっと複雑でしかもダイナミックです。

最初は接着剤でコーティングすれば強いのではないか、と接着剤を塗りまくるのもありました。でも酢酸ビニル樹脂の接着剤と弱いとはいえ白樺材のつまようじではその強度は桁違いですから、コーティングは何の意味もないばかりかマイナスです。こんなことも、実際にやってみると一目瞭然にわかってきます。そういうひとつひとつの確認の積み重ねが伝統として引き継がれ、次第に進歩していったのです。

そうして、10年かかってほぼ答えに行き着いたのです。つまようじと木工用ボンドで作った構造物で500ミリのスパンの中央に力をかけても、300キロに耐えるものが出来る、これがひとつの答えです。わかってしまえばシンプルです。だから終わるのです。終わらせるべきだと考えました。

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逆Vになってからもつまようじブリッジは、確実に進化をしています。進化をしていなければ強度は上がりません。ひとつは部材の断面の作り方、もうひとつは台からの反力の受け方、そしてつまようじ一本一本の品質管理・そして精度(まっすぐであること)。でもこれらはちょっと見た目にはわかりません。ですから、ここ数年の作品はみな同じように見えます。違いを説明をしようにも、説明を受ける側にある程度の予備知識がないと難しい事項になります。

100人近い人数で10日前後の整作期間で、アイディア競争としてのコンテストとして追究するのではなくて、「卒業制作」の研究テーマとして1年かけて要素試験もしながら、精度を上げて行きます。300キロを超えてさらに強い「つまようじブリッジ」をこの世に出現させることは、おそらく可能です。

コンテストとしては終止符を打って、「つまようじブリッジ」の進化は、新たなステージでの追究になります。

つまようじというありふれた材料でも、使い方・生かし方次第でこんなにすごいものになるというのは、私にとってもなにか深く胸を撃つものがあります。

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コメント

いろいろな意見があるでしょうが、マンネリ化する前に幕を引くのは、一つの高い見識かなあと思います。
但し、知見をまとめた本はまとめるのもいいかなとか思っています。(もっとも教育の方法論ではありますが)その意味で、
>「つまようじブリッジ」の進化は、新たなステージでの追究
と言う言葉は、深いです。

投稿: デハボ1000 | 2007年11月 6日 (火) 03時12分

続けるより幕を引くほうが大変ですね。まぁ、良い終わり方が出来たと思っています。

>知見をまとめた本

これは、何らかの形でまとめてみたいです。「つまようじで学ぶ力とかたち」引き受けてくれる出版社があるでしょうか。

まずは今回の本が大きな失敗がなくてそこそこ売れてからでしょうね。

投稿: SUBAL | 2007年11月 6日 (火) 22時02分

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