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ガリレオの小天秤とVitruviusのTHE TEN BOOKS ON ARCHITECTURE

偽金すり替えの件から、アルキメデスの原理と、アルキメデスの実験方法について何回か書いてきました。

ガリレオガリレイが彼の処女論文「小天秤」の中で、巷間言われている「アルキメデスの実験」なるものが怪しい、と書いていることを271828さんから紹介された板倉聖宣著「僕らはガリレオ」(岩波科学の本)で知りました。

その後、「小天秤」のイタリア語の原文と英語訳と日本語訳を見つけて、Word文書にまとめました。ここで、公開するのはまずいでしょうが、興味のある方はメールをいただければ添付ファイルで送ります。とても面白いです。

ガリレオは、その論文の最初でこのように言っています。

『古代の著者のものを読む注意を払った人には良く知られているように、アルキメデスはヒエロンの金でできた王冠を盗んだ金細工師のごまかしを発見した。しかし、この偉大な人がそれを発見するさいに用いた方法については、今も知られないままになっているように思われる。何人かの著者は次のように書いている。彼は、等量の純金と純銀を前もって別々に水に浸した後、問題の王冠を水につけ、水面の上昇あるいはこぼれの差から、その王冠をつくっている金と銀の混合(ミスティオーネ)の割合を確認することができた、と。しかし、これはいってみれば非常に粗雑で精密さからほど遠いものである。この神のような人間(ディヴィーノ・ウォーモ)が行った神妙きわまる発見を彼自身の書いたもので読み、かつ理解した人にとっては、なおさらそう思われるのである。それらを読むと、他のすべての人々がいかにアルキメデスより劣っているか、そして、彼の諸発見に匹敵するような発見をそれらの人々が行う望みはいかに少ないか、非常にはっきりするであろう。私は、アルキメデスが水を用いる方法で盗みを見つけたという噂が広がり、たぶん当時の誰かある著者がそのことを書き残し、その中で、彼が噂で聞いたほんのわずかなことにいくらかつけ加え、それが後で信じられるようになった方法でアルキメデスが水を用いた、というようになった、のであると考える。』

語り継ぐ人の能力によって情報が劣化したのだろう、ガリレオは予想しているのです。ガリレオが参照したと思われる書物がVitruviusの「建築書」(THE TEN BOOKS ON ARCHITECTURE )です。この本現在手配中ですが、該当箇所はネット上にありました。つたない訳ですが、わたしが英語版から日本語にしてみました。

訳文は続きで・・・

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THE TEN BOOKS ON ARCHITECTURE
DE ARCHITECTURA
by Marcus Vitruvius Pollio (c. first century BC)

アルキメデスはさまざまな種類の優れた発明をしています。後で関連付けますが、そのすべての中でも次に示すものは、限りない創意の結果であるように見えます。
シラクサの王権を獲得した後、ヒエロンは彼の功績の証として、不滅の神々に誓った寺に金の冠を納めると決めました。彼は、金額を定めてそれ作る契約をして、請負者に正確な量の金を測って渡しました。
約束の日が来て、王は出来上がってきた手仕事のすばらしさに満足をしました。そして、王冠の重さは、渡した金の重さと同じであるように見えました。
 しかし後になって、王冠の製造過程で金が抜き取られて同じ重さの銀が加えられたという告発がありました。ヒエロンは騙されたとすると不法な暴挙であるが、この窃盗行為を看破する方法がわからないと考えて、この件を考えるようにアルキメデスに命じました。
アルキメデスは、この件をずっと考えていましたが、たまたま風呂に行って、バスタブに入るとき、彼の身体が沈めば沈むほど、より多くの水がバスタブからあふれるのを観測しました。これがこの件について説明する方法を指し示していると考えつき、アルキメデスは、風呂から飛び出て、求めていたものを見つけたとギリシア語で“Eureka, eureka わかったぞ!”と繰り返し大声で叫んで、裸ままで家路を急ぎました。
 この発見をきっかけにして、アルキメデスは王冠と同じ重さの金と銀の塊を作ったといわれています。それらを作った後に、アルキメデスは大きな容器をそのふちまで水で満たして、銀の塊を入れました。銀が容器に沈められるかさと同量の水が溢れ出しました。次に、銀の塊を取り出して、アルキメデスは、1パイント計測用容器(およそ0.5リッター)を使って無くなっている量の水を容器のふちのところまで来るように、すぐに戻しました。それで、アルキメデスは、銀の重さが示された水の量に対応しているのを確認しました。
この実験の後に、アルキメデスは同様に金の固まりを容器に沈めてから取り出して、前回と同様に測定し、前回のときより少ない量の水がなくなっているのを確認しました。すなわち、同じ重さの銀のかさと比べて金のかさは小さいということです。
最後に、再び容器を水で満たして、王冠自体を沈めて、アルキメデスは、同じ重量の金の塊のときよりもより多くの水がこぼれたのを確認しました。 これで、アルキメデスは、金の固まりのときより多くの水が王冠の場合でなくなったという事実から、金への銀の混入を検出して、請負者の窃盗を明らかにしました。

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この文と、たとえば『ウィキペディア(Wikipedia)』の次の説明と比べてみてください。

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この法則が発見されるまでの故事が、古代ギリシアらしい伝説として残っている。 シラクサ僭主ヒエロンが金細工師に金を渡し、純金の王冠を作らせた。ところが、金細工師は金に混ぜ物をし、王から預かった金の一部を盗んだ、といううわさが広まった。そこでヒエロンはアルキメデスに、王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかどうか調べるように命じた。アルキメデスは困り果てたが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われる。このとき浴場から飛び出たアルキメデスは「ヘウレーカ(ΕΥΡΗΚΑ)、ヘウレーカ」(分かったぞ)と叫びながら裸で走っていったという伝説も残っている。(もっとも、この時代のギリシアでは奴隷が裸で労働していたため、男性が裸でいるのは別に珍しくなかった。)

アルキメデスは金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、金塊と王冠のそれぞれを、ぎりぎりまで水を張った容器に入れた。すると、王冠を入れると、金塊を入れたときよりも多くの水があふれ、金細工師の不正が明らかになった。金細工師の名は知られていないが、その後死刑になったと伝えられる。

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証明をする方法において、ウィキペディアのほうに明らかな情報の劣化があるのがわかるでしょうか。

このテーマ、わたしはとても面白いので、あわてず腰を入れて何回か書いてゆきたいと思います。

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コメント

SUBALさん こんばんは

アルキメデスとガリレオの研究が進んでいるようで、少しばかりお手伝い出来た私も嬉しいです。
成果品はメールに添付して送って頂けると嬉しいです。

投稿: 271828 | 2007年12月16日 (日) 23時13分

271828 さん こんばんは

研究なんてものではありませんが、とても面白いですね。
アルキメデスやガリレオの人となりや、当時の思考手段など、想像しながら、推理小説を読み解くような楽しみ方をしています。
アルキメデスがニセ王冠を見破ったのも、ガリレオが「小天秤」を書いたのも22歳だったというのも因縁めいて面白い。

Wordファイルはメールで送っておきました。

投稿: SUBAL | 2007年12月17日 (月) 00時49分

はじめまして。この度はじめてコメントさせて頂きます。まだ、パソコンの使用に慣れていないので失礼があったら申し訳ございません。この度、私は物理学に興味がわき色々と調べております。そんな折、ガリレオの初めての論文である「小天秤」を原文のイタリア語で読みたいと思い立ち、あちこち探し回ったのですが見つかりませんでした。しかし貴所のページを見つけ、この論文のイタリア語の原文を配布していると知り、ぜひ私にも配布していただきたいと思いました。ただ配布していらしたのが2007年と数年経っているので難しいかもしれないのですが、よろしくお願いいたします。

投稿: チェシャ猫 | 2012年2月19日 (日) 03時17分

チェシャ猫 さん 

私はコレクションをしただけで配布はしておりません。イタリア語原文は以下のサイトにあります。そちらを参照してください。

http://www.math.nyu.edu/~crorres/Archimedes/Crown/bilancetta.html

投稿: SUBAL | 2012年2月19日 (日) 09時57分

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