« 本を出すこと | トップページ | アンモナイトの輝き »

金属疲労がわかる本

東京デズニーランドでパレード中に塔が折れて倒れたようですね。NHKの職員が家族で遊びに行っていて、たまたまビデオを撮っていたようです。その映像が何回も流れていました。オリエンタルランドにはライド整備課という部署があって、非破壊検査を含めた点検整備は他所に比べてきちんとやっているほうだとの認識をしていました。けが人が出なくて良かったですが、今回も「手抜き点検」とか「金属疲労」とか、ほとんどごりやくのない念仏のような言葉で片付けられてしまうのでしょうか。

「金属疲労」に関して、わたしが待ち望んでいた本が出版されていました。

Fatigue西島敏著「金属疲労のおはなし」日本規格協会発行です。

以前にこのブログでこの方に金属疲労に関して啓蒙書を書いてもらえないかなぁ、と書いたことがありました。一口に金属疲労といってもアプローチの仕方はいくつもあって、それぞれ専門に研究している方はいらっしゃるようですが、トータルに金属疲労とはどのようなことなのか、その有効な防止策は何なのかを書いた一般向けの本はないといっていいと思います。

西島敏さんは、長く金属材料技術研究所におられた方です。

にほんブログ村 科学ブログへ←このアイコンをクリックして「科学ブログ村」のページが出てくるとこのブログへの応援1票になります。1日1回よろしく。

一通り読みましたが、期待以上でした。金属疲労を次世代の人にわかってもらおうという情熱が伝わる本です。

金属疲労を勉強する入門書としてこれ以上の本はないと、太鼓判を押します。疲労を専門的に勉強した人はともかくも、機械工学を専攻して金属疲労を学んだことはあるという程度であれば結構目からうろこのところが多くあると思います。正直なところ、意外とみんな知らないよな、という感想を持っていました。

たとえば、疲労き裂が見つかったときにき裂先端付近にドリルで穴を開けるストップホールという手法、「応力集中を緩和する」という理論で有効だとされてきましたが、本当か否か説明できますか?この説明を自信を持って出来る人はこの本を読む必要はないでしょう。

金属疲労の原因が、本質的には転位・すべりであることが丁寧に解りやすくとかれています。延性材料と脆性材料での疲労き裂の発生と進展、金属疲労がなぜ弾性変形の範囲で起きるのか、応力集中と疲労、高サイクル疲労と低サイクル疲労、それらが階層と構造を持った知識として自分の頭の中に整理することが、可能になります。

わたしのお勧め本を並べた本棚を作ってみました。左の「SUBALの本棚」をクリックしてみてください。

|

« 本を出すこと | トップページ | アンモナイトの輝き »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

科学技術」カテゴリの記事

コメント

SUBALさん おはよう

良い本を紹介して頂きありがとうございます。遊具業界ではスプリング遊具の破損が問題になっています。私のブログで最初に取り上げたのがこの記事です。
http://blog.goo.ne.jp/slide_271828/e/7b6feb5880d5d78a0a24c475296967d3
早速購入して読んでみたいと思います。

投稿: 271828 | 2008年1月 9日 (水) 05時15分

こんにちは。家内に承諾不要で購入できる手頃な値段なので、さっそく7&Yでネット注文しました。発送は1~2週間後とか。
非破壊検査の範囲にとどまらず、構造物の保全に必須の本かもしれません。楽しみです。

投稿: niwatadumi | 2008年1月 9日 (水) 12時45分

271828 さん niwatadumさん

お二人とも金属疲労についてよく知っておられる方ですが、多分読んでいただけるとわたしが勧めた訳は解っていただけると思います。長く読み継がれる名著のひとつになると思います。

投稿: SUBAL | 2008年1月 9日 (水) 13時05分

湘南工科大でも授業をされてるようですねえ。
>http://www.shonan-it.ac.jp/syllabus/doc/dept06/sub062/65Q12.html

明日、日本規格協会の近く(赤坂見付)に行く用事があるので、見てみたいと思います。多分発行元ですから・・・
遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。

投稿: デハボ1000 | 2008年1月 9日 (水) 15時44分

デハボ1000 さん
こちらこそ今年もよろしくお願いします。デハボ1000 さんのブログ、年明けから快調に飛ばしていますね。読むのが追いつかないほどのスピードで、驚いています。ブログのリニューアルも楽しみにしています。

>湘南工科大でも授業をされてるようですねえ

近ければ聴講したいぐらいです。湘南工科大の学生さん、代返をしたり、居眠りをしたりしてないだろうね。もったいないぞ!!!。なんてね、自分の学生時代の姿から類推してはいけませんね(笑い)。

投稿: SUBAL | 2008年1月 9日 (水) 20時35分

こんばんは、お久し振りです。
私たちが金属製品を使う以上、金属疲労とは縁が切れないと思いました。
身近な例ではエレキギターの弦が切れること、モノコック・ボディの車のショックを硬くして極端に太いタイヤを履かせて走るとボディが割れる事、自転車のスポークや、ブレーキ・ワイヤーが時々切れることなど。振動するものは疲れてしまうんですね。

投稿: クマ | 2008年1月28日 (月) 04時45分

クマさん コメントありがとうございます。
この本では、日常目にすることの出来る振動が繰り返し応力を生じさせていることから、金属内部で起きていることを頭なのかに想起させてくれますね。

投稿: SUBAL | 2008年1月29日 (火) 07時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222291/17626970

この記事へのトラックバック一覧です: 金属疲労がわかる本:

» スプリングとリンク(その6) [271828の滑り台Log]
スプリング遊具の問題点は随分前から気がついて、私のブログでもしばしば取り上げて来ました。最初のエントリーは「スプリング遊具(その1)07/06/26」でした。その頃から、今後はスプリング遊具を生産することはしない、と心に決めていました。各自治体の遊具の点検作業が進むに従って多くのスプリング遊具が使用禁止になり、撤去も進ました。具体的な新聞報道は簡単に「スプリングとリンク(その1)07/10/30」で紹介した通です。 自社の数少ないスプリングの在庫品を冒頭に掲げました。具体的なスペックは、材質:SUP... [続きを読む]

受信: 2008年1月10日 (木) 07時06分

» 1月はこの本「金属疲労のおはなし」 [袖ヶ浦在住非破壊検査屋]
非破壊検査屋さん必携本、今月はリンクさせていただいているブログ「かたちのココロ」&「271828の滑り台Log」で紹介されていた、西島 敏 氏の「金属疲労のおはなし」(日本規格協会 おはなし科学・技術シリーズ)です。... [続きを読む]

受信: 2008年1月21日 (月) 22時24分

« 本を出すこと | トップページ | アンモナイトの輝き »