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アンモナイトと方解石

アンモナイトの化石を真っ二つにすると、隔壁に隔てられた気室が見えてきます。生きているときは気体と若干の体液が入っていたのだそうです。

Ammo2 この写真のアンモナイトも紀伊国屋札幌店で購入しました。この気室が、一定の比率で大きくなっています。

化石になると透明な鉱物に満たされている場合が多いです。そしてその鉱物はたいてい方解石(カルサイト CaCO3)だそうです。方解石といえば、複屈折。

Ammo3 方解石の結晶をスキャナーの上に載せてスキャンしてみました。

Oumg オウムガイとアンモナイトでは気室のそり方が違っています。

オウムガイの螺旋が黄金比になっているという伝説に反論してから、6年がたちました。さすがに「自然の中の黄金比」の例証としてオウムガイを挙げるサイトは少なくなりました。K大のデザインの先生もH大の数学教授もHPが消えていました。

Wikipediaの黄金比の項

「黄金分割された黄金四角形の辺上で正方形のかどとなる点を滑らかにつないでいくと螺旋が現れる。黄金四角形に内接する螺旋は自然界ではオウムガイの殻の形状としても見られる」

という記述が

「・・・という説があるが、これは俗説である。黄金矩形に沿う螺旋もオウムガイの殻に見られる螺旋もともに対数螺旋であるが、螺旋の定数は異なる。」

と書き換えられてから、めっきり減ったと思います。実はこれ書き換えたのは私なのです。その後誰かがまた書き換えるかなと思っていましたが、今のところ残っています。

自然の中の黄金比、という説は減りましたが、凱旋門やパルテノン神殿などの建造物が黄金比によって作られた、という説は何の根拠もないのに、まだまかりと通っています。科学技術振興機構のサイトでも堂々と主張されていますからね。

「自然の中の黄金比」よりはずっと前に、これらの建造物に黄金比を見出すのは作為的である、というのはたとえばこちらの本でも明らかにされているのです。こちらのHPに簡単な紹介があります。

科学技術振興機構のこのサイトでは、エジプトの測量について12等分した紐で直角を作り出した、との展開もあります。これは亀井喜久男先生の「エジプトひも」の話ですね。ご本人も述べていますが、エジプトひもはあくまでまだ仮説なんですよね。

私から見ると、「黄金比=美の基準」説は、その証拠の出し方も杜撰なニセ科学にしか見えないのですが、数学に興味を持たせるという観点から、高校や大学で堂々と教えられていることがまだあるようです。たとえば、こちらの報告、科学的方法という観点から読んでみてください。私はボロボロだと思いますよ。

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黄金比」カテゴリの記事

コメント

SUBALさん こんにちは

ある人曰く「数学は科学者と技術者にとっては道具だか、数学者にとっては宗教である」。数学者はある公理系の中での合理性が証明されればそれで良しとしてしまうので、現実から法則性を引き出してそれを体系化することが苦手なのでしょう。
昔の大数学者でも例外ではありませんね。例のニュートンの「虹の七色」があります。

投稿: 271828 | 2008年1月16日 (水) 15時11分

271828 さん
なるほどうまいことを言いますね。すべての数学者が、ということでもないでしょうが、結構高名な数学者が、ニセ科学の提唱者やインチキ宗教家も驚くような幼稚な論理で、「黄金比の神秘」を語っていますからね。私も最初はだまされていましたよ。私はこう見えても素直なんですよね。

投稿: SUBAL | 2008年1月16日 (水) 19時32分

はじめまして。
黄金比というのが以前から疑わしいと思っていたのですが、なぜか誰も疑うことなく信じるようです。あるサイトで黄金比の証明(数学的な証明でなく脳生理学的な証明)をして欲しいと言ったら、あちこちからバッシングされ、何の議論にもなりませんでした。
疑うことから科学が始まるはずなのに、なぜ疑いもしない人たちが科学的だと言えるのか不思議でした。

単純に黄金比のおかしさというのは、数学だけで証明しようとする点にあると思います。
「美しいとは何か?」ということはそもそも検証不可能な問題で、ある人間が「美しいと感じる」と言ったところで本当に美しいと感じているのかどうかさえ検証できませんもんね。

クオリアの問題に最終的にぶつかるはずで、その先はもう科学の力が及ばない世界だと思います。

黄金比を科学だと言っている人たちは
○黄金比は自然界に多く見られる。
○自然界は美しい。
○ゆえに黄金比は美しい。
とう単純な三段論法を信じているようですが、こんな単純な論法なら黄金比でなくともいっぱい作れそうです。

投稿: がみ | 2008年10月13日 (月) 14時06分

がみ さん ようこそ

黄金比については、このブログでもずいぶん取り上げてきましたが、最近は「外中比(1.168・・・)は黄金の服など着ていない」ということがわかった人も、相当増えてきていると感じているのですが、いかがでしょう。

>単純な三段論法

その上に、「だから神秘の比、神の比」などというようにとんでもないステップに飛躍をしてしまう「数学者」なる人たちがいるのは困ったものです。

三段論法・四段論法の論理的な怪しさ以前に、1段目が何の根拠もデータもない単なる思い込みでしかないのですから、もう笑うしかないのです。

黄金比を語る数学者なる人たちの思考回路のお粗末さ、黄金比を語るデザイナーの美的センスの頼りなさ、が見えてきて、本音を言うと少々寂しいです。

投稿: SUBAL | 2008年10月13日 (月) 18時44分

お返事ありがとうございます。
そういえば最近TVでは黄金比率の話を聞かなくなった気がします。

僕は美術の大学を出てるんですけど、黄金比率の話を疑っている人はいませんでした。15年ほど前の話です。
黄金比率を使って絵を描く人もいたくらいです。
まあ、もし仮に黄金比率が正しいにしても、自分の感性を信じようよ、と思いましたけども。

でもこういう話をあまりできないというか、言うと怒る人が何故か結構いるので、ここでお話しできて良かったです。
このサイト、面白いですね。
また覗かせて頂きます。

投稿: がみ | 2008年10月14日 (火) 01時49分

がみ さん こんばんは

>もし仮に黄金比率が正しいにしても、自分の感性を信じようよ、と思いましたけども。

そうですよね。私は、子供のころからピカソの絵に感動できませんでした。それをはっきり言うと、なんとなく白い視線をいくつも感じていました。

後年、河合寛次郎という陶芸家が、「ピカソは笑っているがピカソの皿は笑っていない」といっているのを知って、これだよな合点がいきました。ちなみに河合寛次郎の皿や壺は確かに笑っています。
自分の完成を信じそれを磨くのではなく、どこか外にある「美の基準」をなぞろうという美術家など、検証することすらせずに「神の比」を語る数学者と一緒に退場してほしいですね。

気ままに綴っているブログですが、これからも宜しく。


投稿: SUBAL | 2008年10月14日 (火) 20時15分

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