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本を出すこと

自費出版を大掛かりに手がけていた新風舎が倒産したようです。正月に新風舎についてのいくつかのサイトやブログを読んでいましたので、機会を見て取り上げようかなと思っていました。

被害者であるという方のHP(たとえばこちら)を読むと、だまされる側に対する意見もあるにせよ、やはり人の夢を食い物にしようとする意図と手口に腹立たしくなります。

Cimg2142わたしも実は自費出版の経験者です。左の写真は、わたしがかかわった本ですが、右の2冊は自費出版です。「シルクロード遥か」は、公私共にお世話になった森田修吾先生の講演(テープが残っていてこれを起こした)と新聞や紀要などに掲載されていた原稿をまとめたものです。オンデマンド出版というのをネットで見つけて、これでやりました。テープ起し・原稿の打ち直し・写真の配置・PDFへの吐き出しすべてやりました。出版社のほうは、本としてのレイアウト、表紙のデザインそして校正ですね。136ページ50部印刷ででおよそ18万円かかりました(2001年)。1部でも注文があれば、印刷をして販売もしてくれるということでした。2年間でネット上で数冊売れたのかな。手数料と送料が引かれて印税として封筒に10円の桁の切手が数枚送られてきました。

もともと追悼の意味で作りましたから、たくさんの人に読んでもらうに越したことはないけれど、そう売れるとは期待していませんでした。それにしても少ないかな。森田先生の教え子や知人に配っておしまいというものですね。(内容は個人の記録や趣味の域を超えて結構面白いのですがね。)

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Blogbook0 そしてもうひとつは、昨年このブログの記事を本にしました。エキスポランドでの事故に関する記事とコメントは、わたしにとっても勉強になりましたのでプリントアウトして綴じて保存しようかなと思っていたところに、タイミングよくブログ出版の広告を眼にしましたのでこれに乗ったのです。

            

* 本の仕様 *サイズ: 四六版 印刷: モノクロ印刷 表紙: レザック(象牙) 見返し: アイボリー p.p.加工: なし           

で料金は、単価: ¥1840

(内 基本料金:¥840 + オプション:¥200 + ¥8 x 100 ページ)
3 冊分料金: ¥5520 送料: ¥500 合計: ¥6020

でした。

Blogbook2 編集はすべて自分です。レイアウト出力はプログラムが組んであるらしくて、自動です。自分で確認は出来て何回もやり直すことが出来るのですが、出来上がったのを見ると抜けていたり飛んでいたりするとこもありました。仕上がりはおおむね満足です。インクジェットプリンタで出力して紙ファイルに綴じるよりはコンパクトになって読みやすいですね。1冊2000円、まあまあでしょう。

自費出版というのは、製本+αを業者にお金を払って行うもので、原稿の作成からレイアウト構成・配布までを自己責任で行うものと考えれば、そうだまされることもないかもしれません。

超音波探傷入門」は、わたしが作った初心者訓練用のソフトウエアを公表したところ、日本非破壊検査協会が編集委員会を組織してくれて本にしてくれたものです。ISBNをとっておらず、一般の書店に並ぶことはないのですが、少しずつコンスタントに売れていて4刷り目に入っています。

昨年「絵とき 超音波技術 基礎のきそ」を日刊工業新聞社から出すチャンスに恵まれたわけです。やはりさすがにインパクトが違いますね。どのくらい売れているのかは解りませんが、7&Yのランキングでは昨日「機械工学」のジャンルで、5795冊中3位でした(今日は42位かな)。出版社が朝日新聞の1面に広告を載せてくれました。

もっと驚いたのは、図書館の購入です。正月3日に調べたところネット上に掲載されているものだけで全国41の図書館に入っていました(そのうち16冊が貸し出し中)。地元北海道の図書館は江別市情報図書館だけというのは寂しかったですが・・・。

人気シリーズの「基礎のきそ」に入れてもらえているので、それで買ってくれている人も多そうです。執筆の過程ではそのことがプレッシャーになりました。その程度のプレッシャーに負けるほどの繊細さは幸か不幸か持ち合わせていませんでいたが・・・。

出版契約書には「第10条 (費用の分担)本著作物の著作に要する費用は甲(引用注:著作権者)の負担とし、製作・販売・宣伝に関する費用は乙(引用注:出版権者)の負担とする。」とあります。要するに、出版権者の側から言えば「印税を払う代わりに、このコンテンツで商売(投資をして費用と利益を回収)をしますよ」ということでしょう。

大手の出版社から本を出すと、「どっさり印税が入って・・・。」などということを陰で言う人が出てきます。面と向かって言ってくれると説明が出来るのですが・・・しょうがありませんね。世の中そんなにうまい話にはなりません。

印税は、本体価格の10%、源泉徴収1割が自動的に引かれますから実質9%。この本を書くためにおそらく10万円を超える書籍を買い求めています。北海道から首都圏と中部圏に2回の取材旅行をしています(およそ16万円)。郵送代電話代等の雑費は少なく見積もって3万円。それらの経費を差し引いて、これから入ってくるであろう印税を費やした時間(およそ1000時間:かけすぎですが・・・)で割ると、時間単価は最低賃金を遥かに下回ります。お金のことを考えたら、その時間何かの内職をしていたほうがよほど気が利いているわけです。

でも購入した本も、取材旅行で出合った人やそこで学んだことは代えがたい大きな財産なのです。出来・不出来その評価は様々でしょうが、自分がこういう本があればよいなと思ったものが自らの作として出来て、多くの人に読んでもらえる、この喜びはなんともいえないです。費用の点でも、著作に関してかかった費用は回収できます。それ以上出る分があれば、わたしは自己投資に使うつもりです。

このチャンスを与えてくれ、またやり遂げることが出来る環境にしてくれたすべての人に感謝の気持ちでいっぱいです。

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