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はね瀧橋の構造 その3 カテナリーとアーチ

はね瀧橋についての3回目。はね瀧橋といいながら、実のところ「つまようじブリッジコンテスト」を通して学んだことを書いています。

(注:この記事の最後でカテナリーをパソコン上にサクサク描いて理解するフリーソフトを公開しています。)

P1000649 右の写真は、室蘭市にある白鳥大橋です。路床を高くそびえる支柱間に渡した鋼製のワイヤーで吊っています(写真をクリックすると拡大されます)。このワイヤーが作る曲線、カテナリー(Catenary 懸垂線)と呼ばれます。

Catenary カテナリーは、双曲線関数で表すことが出来ます。

式中のeは自然対数の底でe = 2.718281828459045・・・・・と続く超越数です。

Caterary1 式としてはややこしそうです。とりあえず置いておきましょう。式を使わなくても、実際にこの曲線を作るのは簡単です。均一なヒモもしくは鎖(チェーン)のようなものの両端を持って横に広げるとカテナリーは自然に出来ます。

鎖もしくはヒモは重力によって下向きに力がかかりますが、これに対してヒモに引っ張り応力を生じさせて抵抗をしています。ヒモの任意の点ではいずれも引っ張り合っているということです。

Caterary2 実はこれを上下で反転したものがアーチなのです。アーチでは、引張りではなく隣同士は圧縮しあいながら支えています。

もちろん、ヒモやチェーンでは圧縮しようとする力に抵抗は出来ません。アーチ構造の橋は、圧縮に強い材料、石やコンクリートなど作られます。

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Catenaryarch カテナリーを描くひもには、支柱間に同じ力が均一にかかっています。このことを等分布荷重といいます。橋の端から端まで同じ型の車に同じ人数が乗り込んで1列に隙間なく並んだ状態を想定してみてください。それが等分布荷重のイメージです。何も錘をつけなくてもヒモがカテナリー曲線を描くのは、ヒモ自身の重さが長手方向で均一だからです。

等分布荷重ではなくて、支間の中央部にだけ集中して荷重がかかったらどうなるでしょうか。ヒモの真ん中に錘をかけることを想像してください。V字になるイメージがわいたでしょうか。

このV字を上下で反転させると、そう、はね瀧橋の逆V、つまようじブリッジの逆Vになるのです。

逆Vにして中央に荷重をかけると、斜めの部材には圧縮の軸力が生じます。この逆V、一点に集中して荷重がかかるアーチである、ともいえますし、もっともシンプルな大きなトラスである、ともいえます。

今回はここまで。

次回は、三角形のかたち、トラスについてもう少し突っ込みます。

付録です。

Catenary_and_archsoftware カテナリーの双曲線関数において媒介変数 a が変化すると曲線の様子がどのように変るかを確かめるための簡単なソフトウエアを作ってみました。

まぁ、式を使って計算しなくても、式の中の値が変化するとどんな曲線になるのか、パソコン上でパッと描いてみよう、というわけです。

画面の左下にあるスライダーでaの値を変化させると、すぐにカテナリー曲線を描画するようになっています。aの値がマイナスになると、アーチの曲線になることがわかるでしょうか。

:このソフトでは、双曲線関数をそのまま表示しているわけではなく、100の間隔分だけを表示するようにして、始点と終点のY座標はいつも同じになるようにして描画しています。一ますは2に設定してあります。

「catenary_and_arch.zip」をダウンロード

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コメント

こんにちは。付録で楽しませていただきました。

>始点と終点のY座標はいつも同じになるようにして描画
幅一定の川に渡す橋のかたちをイメージしやすいですね。

軸のレンジを広げられれば、長さ一定の縄跳びで二重跳びする際に足幅によってジャンプの高さをどれだけ変える必要があるか、あるいは手の開き幅を変える必要があるか、なんてのもつかみやすそうだな、なんて考えました。(縄の空気抵抗は無視して。)
ムスメが二重跳びに挑戦中なのです。

投稿: niwatadumi | 2008年2月 9日 (土) 17時22分

SUBALさん こんばんは

群馬でも雪が降っています。明日は高津峡にいけるかどうか怪しくなっています。

さてカテナリーと言えば、一番有名なのはアメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスにあるジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアルですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jefferson_National_Expansion_Memorial
日本語版だとURLが長いので英語のURLを貼りました。

投稿: 271828 | 2008年2月 9日 (土) 18時28分

niwatadumi さん
なるほど縄跳ですか。多分、遠心力で引っ張られるのでカテナリーよりはとがったカーブになると思います。春になって外が暖かくなったら検証をして見ましょうか。

投稿: SUBAL | 2008年2月 9日 (土) 20時15分

271828 さん
ジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアルはアーチの力線がカテナリーになることを美しく見せてくれています。一度行ってみたいところのひとつですね。
かつて石のアーチをたくさん作った九州の石工たちは、円周率を学んでいたということです。あるところまでは円弧で作ると、石の構造体の中にカテナリーの力線が入ります。
こちらのページでお借りした京都の王子橋は、円弧のアーチとカテナリーのアーチが同時に見れて面白いです。
http://homepage2.nifty.com/SUBAL/Arch.htm

投稿: SUBAL | 2008年2月 9日 (土) 22時01分

SUBALさん niwatadumi さん こんばんは

今日、はねたき橋に行ってきました。簡単な訪問記を私のブログに上げたところです。

さて、縄跳びの形です。結論から言ってこれはカテナリーではありません。遠心力があるからですが、この形はヤコービの楕円関数で表すことが出来ます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%95%E5%86%86%E9%96%A2%E6%95%B0
出来れば私のブログで取り上げたいのですが、数学の頭がさび付いているのでいつになるやら保障は出来ません。

もう一つ。カテナリーはガウディが好んだ曲線で、彼で「逆さ吊り模型」でデザインしていたのです。いわば「重力式アナログコンピュータ」です。

投稿: 271828 | 2008年2月10日 (日) 18時33分

縄跳びの縄は、遠心力で引っ張られますからカテナリーより少しとがった曲線になることは想像できます。持ち手の近くは太く真ん中のところを細くした縄跳びの縄を考えると、「飛びやすい縄跳び」が出来るかもしれませんね。本当に飛びやすいかなぁ?思考実験としては面白いですね。

ガウディは対数螺旋も好きですよね。バルセロナも行ってみたい場所のひとつです。

投稿: SUBAL | 2008年2月11日 (月) 09時58分

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