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オウムガイの対数螺旋

「オウムガイの螺旋は黄金比の螺旋→自然の中にある黄金比」という俗説はずいぶん少なくなりました。でもまだ教育関係者の中にはこんな授業案を公開している方もいます。何を根拠に『「神の比」とも呼ばれ世界で最も美しい比です。』などというのでしょう。

大学の数学の先生もこんな見解を根拠なく披瀝しています。巻貝でも動物の角でもよいですからひとつでも黄金比になっている例を示してもらいたいものです。

ニセ科学以下の珍説でしかありません。

オウムガイの螺旋には黄金比はない」というのはだいぶ浸透してきているようで、大学の先生も講義で取り上げている例も見られるようになりました。こちらの講義録(PDF)。(某国立工業大学の講義録でしたが、削除されたようです。2009年4月17日追記)

でもこの先生ちょいと勇み足です。Wikipediaの「黄金比」に掲載された文章を引用してます。ということはその中にある

「黄金矩形に沿う螺旋もオウムガイの殻に見られる螺旋もともに対数螺旋であるが、螺旋の定数は異なる。」

という文章(書いたのは私です)も読んでいると思います。

この先生、その上で「(オウムガイの)外側と内側では曲率半径の増加率が対数螺旋と微妙に異なる」と言っています。黄金比にもならないが対数螺旋にも重ならない、ということですね。

001oumu 確かにこの先生が示している図では、対数螺旋の曲線とオウムガイの殻の輪郭線にはずれがあるように見えます。

でも、オウムガイの対数螺旋をたくさん調べてきた目から見ると、この作図法には初歩的な間違いが2つあることにすぐに気がつきました。続く以下で検証してみます。

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一目見て私が気づいたのは対数螺旋の中心がずれている、そして極方程式の定数が違っている、ということです。言ってみれば、半径の違う円を中心をずらして重ねて、合うところと合わないところがある、といっているのと同じなのです。

Oumlog 螺旋を調べるソフト「Spiral」を使って調べてみました。赤い線がSpiralで描いた線です。私はほとんど対数螺旋の曲線と一致していると判断しますが、どうでしょう。

対数螺旋の中心は、この先生が中心としたところとずれています。

Logspiral 極方程式の定数bは、0.446π=1.401です。この先生は極方程式でcot(コタンジェント)を使っていませんので、この先生のbに換算すると、cot(0.446π)=0.171になります。bの値(左の図中にある式のb)は中心からの線と曲線の接線とのなす角を表していて、曲線の開き具合を示しています。0.17と019・・・これだけ違えばずれますね。

はっきり言って勇み足でしょうね。私が残念に思うのは、「あわない」というまでには慎重な調査と考察が必要だと思うのですが、この先生にそれがかけていることです。

私は、ひまわりの種の配列や植物の葉序にフィボナッチ数列が出現する、という事実についてこれまで発言してきていません。それは、フィボナッチ数列にそう数列が現れる事例もあるようですが、私が調べたところではそうではない事例のほうが多そうなのです。でも、ずれる事例を持ち出して「ない」というのも間違いだと思っています。少なくても、この件に関しては私は見極めが出来ていません。

オウムガイの殻については、4種類あるというオウムガイについてすべて、そして個体数にして50を超える事例を調べて、対数螺旋から外れる事例が見つかりませんでした。オウムガイの殻は対数螺旋に沿うといってよいと思います。

ただし、巻きの最後のところでは多くの事例で少しずれる傾向がありそうだという事実もあります。対数螺旋を測る道具がないことも混乱の原因かもしれません。Spiralを一度使ってみてください。

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