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国産ジェット旅客機機(MRJ)本格始動か

三菱重工業が、国産ジェット旅客機(MRJ)の事業化と、全日空(ANA)から25機受注したことを発表しました。こちら

YS11が引退して以来国産の旅客機は姿を消したことになり、いくつかの問題はありつつもMRJの本格始動が待ち望まれていました。

日本では航空機を作っていないとの誤解があるのですが、実はボーイングでもエアバスでもその機体の30~40%は日本で作っているのです。「どうせ下請けで作ってんだろう」などという人もいるのですが、たとえばボーイング787の主翼は三菱重工の責任設計・製造なのです。その素材は、東レの炭素繊維を使ったCFRP(炭素繊維複合材)です。世界の航空機製造産業は、日本の技術抜きには成立しない、といっても過言ではない状況なのです。それでも、旅客機をトータルとして責任を持ってつくり世界の市場で勝っていくことは、ハードルも高いでしょうしそこを超える意味も大きいと思います。

今月はじめに三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所の方と話をする機会がありました。MRJの事業が動き始めるとその素材の中心はCFRPになるので、品質保証の手段たる非破壊検査は超音波がますます重要になる、というお話でした。「いいところに目をつけたよね」と、誉めていただきました。ボーイング787でも非破壊検査は超音波が主流なのです。15年ぐらい前から、こつこつと準備をして教育の充実をはかってきましたから、お世辞分を差し引いても嬉しかったですね。すでに、MHIの品証部の中核には教え子たちが大勢います。

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ANAがMRJの導入を決めたのは、ボンバルディア機の相次ぐトラブルが背景にあったのかもしれません。たとえば昨年3月に起きた高知空港での胴体着陸

国も「航空機製造事業法」という法律まで作って、戦後いったん解体された航空機製造産業の保護育成を国策としているはずなのですが・・・。統合されたJAXAの中では、航空機の部門は予算が削られ縮小傾向だという話も聞こえてきます。ここは国も腹をすえてほしいですね。

航空機の損傷とその評価に関しては、やはり米国が世界をリードしている現実はあるのですが、日本の中にもあまり名を知られてはいませんが、世界的な研究者・専門家はいるのです。複合材の損傷についてもこつこつと地味な研究は継続されています。その一端は「絵とき 超音波技術 基礎のきそ」にも掲載しました。

航空機製造産業は、峰が高く裾野も広い大きな山ですから、ぜひ順調に育ってほしいものです。

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コメント

私も興味があって、調べていました。
日本はその技術を部分最適化し、比類なき管理体制(保守技術)をとることは、世界に率先できる所ですが、その分、配置レイアウトなどのソフト面などのところでは、企画力がいまひとつというところがあるようです。YS-11は当初から機能は優れていたものの、接客の勝手とかいうソフト的な要素が立ち上げまでに問題になったという事も聞きます。
今回、最初にANAが手を挙げていることは、民間活力と言う意味では非常に喜ばしいとおもいますが、それらの総合的管理が出来る人材を見出すのも、これからの時代必要かと思います。(国はどうもこのような製品化の個々技術育成には力になりますが、商品への導きの重要性の認識は不足だと感じています)
ところで関東の電車内の広告に「三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所」が設計者を募集してるのがあるそうです。名古屋はそもそも設計者不足なんだそうですが、都内でとて、市中にそのような人材が中途採用で取れるのかというと???と言う気もします。願わくはプロジェクト統括責任者になれる視野の広い設計者を『育成』できる姿勢を持つことを望みたいです。

投稿: デハボ1000 | 2008年3月31日 (月) 02時34分

デハボ1000 さん こんばんは
そうですか、電車広告にMHIが「設計者募集」ですか。中京地区は活況の裏側で人手不足が深刻という話は聞いていますが、そこまできましたか。MHI名航さんぐらいになると、設計部門でも人がだぶつくときと不足するときの波があるそうですが、高波が来ているのかな?

>統括責任者になれる視野の広い設計者を『育成』

多分、設計者に限らずそれに見合うプロジェクトがあって優れた技術者が育つのでしょう。

MHI名航さんが、非破壊検査の経験者を中途採用するということでインターネットに広告を出したことがあります。私のところにも直接電話が来たりしましたがね・・・。


>統括責任者になれる視野の広い設計者を『育成』できる姿勢

それがMRJ成否のポイントでしょうね。

後世に名を残す人が現れて、名指揮者と、経験と技量の確かなオーケストラが奏でる名演奏になることを期待したいです。

投稿: SUBAL | 2008年3月31日 (月) 19時12分

MRJのニュースは私もWBSで見ました。
間接的に関係がありますし・・・
私は直接携わることは少ないですが、うちの会社も787のUT検査にはだいぶ苦しめられているようです。航空機の世界は最新ゆえに未知の部分が多いので言われる側は大変です。
なので個人的には(検査側としては)新型、新素材には両手を挙げて喜べない気持ちもあります。

しかしMHI/名航には先生の優秀な生徒さんが多く所属しているのであれば非破壊検査に関しては安心ですね。
先日もここにお勤めの新入社員の方とお話しをする機会がありましたが、UTレベル2を先日受験したそうです。上司から若手へと教育も多くやっているとのことでした。すばらしいですね。

投稿: murakami | 2008年3月31日 (月) 20時10分

murakami さん こんばんは
数年前に訪問したとき、どこのメーカーのものかは聞き忘れましたが、フェイズドアレイのUT装置が入ったばかりで、卒業生の某君の説明によれば、これから検証試験を行うのだ、とのことでした。
CFRPの検査は、超音波が主流になりますし、狭い業界ですから、うちの卒業生がmurakamiさんに相談することもあるかもしれません。そのときはよろしく面倒を見てやってください。

投稿: SUBAL | 2008年3月31日 (月) 20時47分

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