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磁粉探傷試験の原理

磁粉探傷探傷試験は、強磁性体材料の表面に発生するきずを検出するのに優れた試験方法です。

強磁性体材料というのは、簡単に言うと磁石に付く材料のことで、ほとんどの鉄鋼材料が強磁性体です。

磁粉探傷探傷試験の原理は、磁石に砂鉄がつくのと同じです。磁石に砂鉄がつくといっても、磁石のどこにでも砂鉄がつくわけではありません。磁極周辺に砂鉄がつきます。磁極にNとSがあるのは小学校で教わるでしょう。

鉄鋼材料に砂鉄を撒いても、普通はつきません。磁化という操作をして鉄鋼材料が持っている磁石の性質を引き出してやると、砂鉄がつくようになります。

Mtp 鉄鋼材料を磁化しても磁極ができたところにしか砂鉄は付きません。棒磁石を半分に切ると切ったそれぞれに磁極が出来ます。鉄鋼材料にきずがあると、そこに小さな磁極が出来るのです。小さな磁極の近くに、細かく砕いた砂鉄の粉を近づけてやると、きずの部分だけにこの粉が付きます。

Mtj この粉にあらかじめ蛍光物質をつけておくと、紫外線照射灯で照射することできずの部分が明るく輝いて、きずのありかがわかるようになります。

これが磁粉探傷探傷試験の原理です。

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磁化した鉄鋼材料に砂鉄を近づけると、全体に砂鉄が付くものだと誤解した人がいました。この人が磁粉探傷試験を何らかの文献だけで「理解」しようとしたとします。

鉄鋼材料を磁化して磁粉を振り掛けることできずを見つける方法がある。それはどうしてだろうかと考えます。きずの部分ときずのないところが区別されるはず、それは「きずの部分には磁粉は付かないのだろう」と想像だけ頭の中だけの「結論」が出てしまいます。

まずいことに、そこからさらに想像が展開します。「だとすると、試験体を磁化するのではなく、磁化した鉄粉を振りかけても同じことがおきるはず」

でもこれは、磁化のことも、もちろん磁粉探傷試験のことも知らない人の、頭の中での誤った想像なのです。磁粉探傷試験では、きずの部分に磁粉が付着し、出来るだけ他の部分(健全部)には磁粉が付着しないようにする試験方法なのです。

頭の中での想像は、しばしば現実と食い違います。私は、誤った想像を頭の中で展開したことの無い人とは付き合いたくありません。きっと面白みの無い人でしょう。

でも、確認行為は必要です。

追記:磁粉探傷探傷試験の原理については、下記の本で電子スピンと磁区の関係を含めてこのブログ記事よりは詳しく解説しています。ご参照ください。

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