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仕事にちゃんと役立つ材料力学

「仕事にちゃんと役立つ材料力学」というWEB上の記事を読みました。

長年構造解析の実務に携わってきた方が、設計業務にとって必要な材料力学についてやさしく解説をしています。語り口と視点が私好みで、連載記事を読み進んでいきました。

その中にこんなくだりがありました。

『材料力学については、約65%の人が「忘れてしまった」状態で製品を設計しています!  正直、これにはちょっと驚きました。さらに、有限要素法については、90%以上の人が仕組みをまったく分からずに解析ツールを使っているということが分かりました。 』

ほんとかよ!という気がしましたが、説明を読んでゆくとそういうこともあるのか、と納得しました。

で、連載4回目の『設計で欠かせない「ミーゼス応力」を押さえよう』の3ページ目、せん断力のところで紹介されているサイトを見ると、どこかで見たようなURLでした。

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クリックすると、私が書いた「金きりばさみ」についてのページでした。何年か前に書いてほったらかしにしていたページです。

面白いなぁ、時間があれば深く突っ込みたいなぁ、と思いながらほったらかしにしていることがいくつかあるのですが、これもそのひとつです。せん断力・曲げモーメント・断面二次モーメント・弾性変形・塑性変形のあたりをとても面白く説明できるネタだと思っています。

ついでに対数螺旋も説明できてしまうのです。

こういうページからリンクしてもらえるのは光栄なことです。

構造解析のソフトが便利になってくると、その仕組みや原理を知らずに入力作業に専念して出力結果を妄信してしまう、ということがすでに起きつつあるということなのですね。

私が若いころは、公式をたくさん覚えて約束に基づいた計算をすばやく正確に実行できる人は、数学の点数が良くて「頭の良い人」でした。でも少なくともこのレベルは、パソコンが人間よりは優れているのは、もう明らかです。そうすると、身につけなければならないことは何でしょうね・・・このページの著者は問いかけているようです。

ちなみに、

曲げモーメント、曲げ応力、をキーワードにしてGoogleで検索するとと、トップに私のサイトが出てきます。このことを解説するために書いたページではないし、説明もきわめて不充分だと思うのです。断面二次モーメントなんて何の説明もしていないのに、こちらのように言われてもね。

この連載を読むと、わたしが解説した程度のことを知りたい人が結構いるということなんだな、と妙に納得しました。

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コメント

こんにちは先生、お久しぶりです。
会社で構造修理の講義を受けました。
その際、「パッチの大きさはTotal Crack Lengthの2倍以上必要なのはなぜか?」と聞かれたのですが……。
「クラックの長さ分で失われた強度を、パッチのクラック長相当分では補いきれないから」というような説明ではどうやらだめなようです。

クラックの真上に位置するパッチ材(クラック相当分)は仕事をしていないのでしょうか?

うまい説明が思いつかないでいます。
先生ならどのように説明しますでしょうか。
ご教授お願いします。

投稿: たけひろ | 2008年4月20日 (日) 01時36分

たけひろくん こんにちは
研修中かな?
マニュアルに定められていることの意味、というあたりですね。
いくつかの角度からの説明があると思います。以下私流。

ここは「力の流れ」という視点で考えてみるとわかりやすいでしょう。力の伝達を流体とみなすのです。クラックがあるということは流れを妨げるものがある、とみなせます。流れは迂回することになりますから、必然的に速度が大きくなるところが出てきます。これが「応力集中」です。
「応力集中」は力の流れが変化するところに生じます。応力集中が起きている範囲は、クラック端部の外側に広がっています。イメージできるでしょうか。
クラックをピタッと閉じるような補修ができれば補修の範囲はクラックの幅ということで原理的に良いでしょう。流れを妨げるものを取り除いたことになりますから。
パッチあてによる補修は、流れを妨げるものを除去しないまま(スムージングを行ったとしても)バイパスの流れを作って、変化の少ない力の流れにしようとすることです。クラックが遮断している断面積分のバイパスを確保することで応力集中を回避することは不可能です。
もうひとつの観点は、リベットで止めているということです。応力直交方向にリベット1列で止めるとリベット孔の周囲に応力集中が起きますが、複数列で止めると大きく緩和されることがわかっています。力が面で伝わる、リベットは押さえつける役割。その観点からは、きちんと押さえつけるリベットの配列が問題になってくると思います。

あくまでも田舎のおじさんの参考意見としてください。

投稿: SUBAL | 2008年4月20日 (日) 09時08分

構造修理の講義で、バッチ長さがTotal Crack Length の2倍必要であるとのこと。初めて聞きましたが、散歩しながら以下のように考えました。
Ans.
無限版の端部に長さaの亀裂があり、引張り応力σysを受けたとします。亀裂の応力拡大係数はKは次式で与えられます。K=1.12√πa.
亀裂先端部の塑性域の大きさω=(1/π)(K/σys)^2. Kを代入すれば、ω=1.25aとなります。すなわち塑性域は亀裂長さの1.25倍の範囲にまで及んでいます。補修の範囲として、
バッチの効果を考えて、2倍としたのでしょうか。

投稿: K. Hirakawa | 2008年4月20日 (日) 20時43分

こんばんは、ありがとうございます!
なるほど、流体として考えたらわかりやすいのですね。
パッチを当てたとしてもクラックの周りにはやはり力がかかっているからバイパスを太くして少しでも緩和しようということですね。
リベットも複数列打つことで分散して、かつ板同士の摩擦を生み出して力を伝達させるということでよろしいでしょうか。

大変イメージしやすかったです。ありがとうございます!

研修をがんばりたいと思います!

投稿: たけひろ | 2008年4月20日 (日) 22時06分

>K. Hirakawaさん
数式で表すとそのようになるのですね。
材料力学は深くやっていないのでよく理解していませんが、言葉の意味から勉強してみたいと思います。
休み時間にいろいろやってみます、ありがとうございました!

投稿: たけひろ | 2008年4月20日 (日) 22時11分

K. Hirakawa さん こんばんは

パッチサイズの検討に破壊力学を使っていることは今でも多分ないでしょう。それでも検出できているき裂先端部延長に存在する「損傷」という表現で検出できていないき裂先端と塑性変形域を考慮に入れてはいると思います。

ただ、K. Hirakawa さんの計算に疑問があります。
まず応力拡大係数はK=1.12σ√πaですね。σが抜けているのは入力ミスでしょう。次にき裂先端部の塑性域の式ですが、ω=(1/2π)(K/σys)^2で、σysは遠方引張応力ではなくて降伏応力になるはずです。
K. Hirakawa さんの結論ω=1.25aになるには、σ=σysとなるときとなりませんか?この場合は塑性崩壊をすることになるでしょう。
亀裂が急速に拡大する線形弾性破壊をせずに降伏応力付近まで行った場合の最大の塑性変形域が1.25a(0.625a)になると考えればよろしいでしょうか。
私何か勘違いしていますでしょうか?

投稿: SUBAL | 2008年4月20日 (日) 22時28分

たけひろ くん

応力集中については君たちの科での授業ではそれがメインではなかったので、さらりと触れただけでした。破壊力学は損傷許容設計を説明したときに、そういうのがあるよと紹介しただけでした。
電気電子屋さんも、教養として身につけておいたほうが良いのだけれどね。
研修頑張って。

投稿: SUBAL | 2008年4月20日 (日) 22時38分

hirakawaです。SUBARUさんの言うとおり、部材がσysを受けた時の話です。すなわち、塑性疲労により数千回の繰返し荷重で亀裂が入ったと考えるとこうなります。この程度の荷重を受けて亀裂が入ったと考えなければ、2倍の亀裂長さを補修せよとはなりません。この式は完全弾塑性体の式ですから、実際には塑性崩壊ではありません。通常塑性崩壊をするためには降伏点の約2倍の応力が必要です。
また、降伏域の大きさ1.25aは亀裂先端からの最大距離で、あなたが0.625aとしているのは亀裂延長方向の距離です。

投稿: K. Hirakawa | 2008年4月21日 (月) 00時09分

K. Hirakawaさん こんばんは

平面応力状態ではω≒2γになることを失念しておりました。この計算ではγ=0.625aになり、ω=1.25aになりますね。

ただそれでもまだ私の引っかかりは解消していません。教えてください。

(1)降伏応力ですぐ塑性崩壊するわけではありませんが、降伏応力にまで周囲が達して線形弾性破壊していないとすれば、最終的な壊れ方は塑性崩壊になりませんでしょうか。そうか、弾塑性破壊もありますね。

(2)全体が降伏応力に達していればそもそも塑性域を想定すること事態が意味を成さないのではないでしょうか。あえて言えば塑性域は全体?それともき裂先端部で大きく塑性変形している領域という意味でしょうか。

(3)私の理解では、塑性域を求める上の式は亀裂長さに対して塑性域がごく小さい範囲で成立するものと思っていました。遠方応力が降伏応力やそれ以上の場合にも適用が可能なのでしょうか。

投稿: SUBAL | 2008年4月21日 (月) 21時17分

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