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レールの金属疲労に関する本

北海道では、昨年からレールの破断事故が続けて何件か起きています。それも時々使う千歳線で起きていましたから、専門の非破壊検査技術云々を超える関心を持っていました。私の情報元は新聞報道などに限られ、またレールの破損とその検査方法については門外漢で知識もありませんので、このブログでも取り上げるのを控えていました。

しかし、5月30日未明に私の居住区である苫小牧市内でまたレール破断が起きたとの報道に接して、翌日現場に出かけました。その現場で見たことをブログ記事にしました。

Rail_fatigue 勝手気ままに書いているこのブログも、色々な方に読んでいただけているようです。この5月24日に「英国高速鉄道 ハットフィールド脱線事故の真相-レールの金属疲労は何故起こったか」(慧文社刊)を上梓された平川賢爾さんからご著書を送っていただきました。

平川さんの本は、昨年「ドイツ高速鉄道脱線事故の真相-技術者の責任論から-」を、エキスポランド・ジェットコースター事故について連載している中で紹介させていただきました。事故が起きるたびに、被害者の代弁するという衣をつけながら「でたらめ」「杜撰」という乏しいボキャブラリーで道徳的に当事者を責めるだけのマスコミの論調に辟易していたところでした。技術者の倫理・責任を“State of the art”(当時の技術水準に照らして最善を尽くしたか)の観点から検証すべきという主張は目を開かせてくれるものでした。

めぐりあわせということはあるものだと思いますが、このタイミングで「レールの金属疲労」に関する本があれば、事前に平川さんのことを知らなくても購入しました。著者署名入りの本をいただけるのは、光栄であり嬉しいことでした。

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さて、本の内容ですが、ごめんなさいまだ全部は読めていません。簡単に読み流せる本ではありません。

2000年10月に英国のロンドンの北に位置するハットフィールド駅近くで高速鉄道が脱線して4名の死者と70名の負傷者を出した事故がありました。脱線の直接の原因が、レールの金属疲労だったということで、この事故を題材にして、レールの金属疲労についての解説とその破壊力学的な解析を行っている本です。

Cimg2358 レールの金属疲労は他の機械要素の疲労とは様相がずいぶん違うようです。私は、ベアリングの損傷形態を思い浮かべながら読んでいます。

「まえがき」には、「鉄道技術者のみならず、金属材料学や材料力学・破壊力学を専門とする技術者にとっても、実際に役立つ金属疲労と破壊力学の応用例として活用されれば幸いである。」とあります。

本屋でこの「まえがき」を読んだら、迷わず購入したでしょう。いずれにせよこの本にはめぐり合う運命にありましたね。

非破壊検査技術者も、定められた規格や要領にしたがってきずを見つけて測定することにとどまらず、金属材料学や材料力学・破壊力学を教養として身につけておくべきだと考えています。金属材料学や材料力学はある程度勉強している人はいるのですが、破壊力学となると私の知る限り(大学の先生や学者さんは別にして)あまりいないでしょう。

破壊力学がわかりにくいということもあると思います。どこまで突っ込むのか、どこまでが教養としての破壊力学として実践的なのか、見極めは難しいところです。

ひとつの風穴は、事故事例の解析だと思っています。英国の研究者は、現場からばらばらになったレールの破片を300個拾い集めて解析をしたそうです。飛び散った破片を拾い集めて観察し、結果解釈ではない解析に向かう、その武器として破壊力学がどのような役割ができて何ができないのか、私は学んでみたいです。

後半をチラッと見ると、難しそうですが、頑張ってみましょう。

前半を読んだところでも、この間北海道で発生しているレール破断が、それぞれ原因が違う(少なくとも3つある)ようだということがわかります。単一の原因なら対策も同じということになりますが、原因が別なら対策もそれぞれとなるでしょう。

この本の目次の詳細は、こちらにあります。

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