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打点式記録タイマーを使った加速度の実験

以前栃木県の高校の先生から、WiiAccを使った加速度実験について研修資料に掲載したい、という趣旨のメールをいただいたことを紹介しました。その中に、これまでの加速度実験の問題点も記載されていました。

加速度実験には、単位時間当たりの移動距離を測定する方法として、打点式の記録タイマーが使われることが多いようです。どんなものなのか調べてみました。教材メーカーのHPに写真がありました。(独)科学技術振興機構のHP「理科ネットワーク」にその仕組みがわかるアニメーション(少々粗いですが)があります。

なるほど、交流の周波数を使って、東日本では50Hz(1/50秒毎)西日本では60Hz(1/60秒毎)に電磁石が反応して紙を打ち、カーボン紙を挟むことでロール紙に打点されるという仕組みです。

カーボン紙、懐かしいですね。昔領収書なんか全部これでした。ボールペンを使って書きますが、筆圧の少ない人はかすれていました。

打点式の記録タイマーのよいところは、メカニズムがシンプルでわかりやすいところと、打点間の距離が一定時間ごと(東日本では0.02秒ごと)の移動距離、すなわち速度の変化が目で見てわかるということでしょう。

奈良県高等学校理化学会のHPに、自由落下の実験方法が掲載されています。

高校時代物理は履修していますが、この実験は記憶にないですね。たぶんやっていないと思います。

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この実験、相当注意深くやらないと、誤差が大きくなり、混乱する可能性があるように思えます。紙が引っかかればそれが抵抗になるでしょうし、もともと打点時の摩擦抵抗があるはずです。特に落下当初の打点は、狭い範囲に多数の打点があることに加えて、ほんの少しの抵抗の影響が響いてくるでしょう。

実際のところはどうなのだろう、HPを検索してみても「きれいな実験結果」は出てきますが、生々しいところはわかりません。

こちらのHP、中学3年の授業のようですが、その辺の生々しいところが出ていて、興味深いです。同じ実験を繰り返して、テープを並べてグラフ化しようとしています。そのことでこの実験が、やり方によって誤差が大きくなることを教えてくれています。

さらに実験をしていて、まだ生徒が二次関数を勉強していないことに気づいたりします。

この先生、さすがです。次の実験からは、6打点ごとにテープを切って並べさせています。こうすることで、加速度のグラフ(等加速度運動なので一次関数になりグラフは直線)にしています。

こういう先生の下で勉強をすると「理科好き」になるでしょうね。

この先生のレポートは、とても興味深くいろいろなことを考えさせられます。特に打点式記録タイマーを使った実験で、何ができてその限界がどのあたりにあるのかがよくわかります。

斜面を力学台車を走行させて記録をとる実験では、等加速度運動になることはわかるとして、水平面に移ったところで等速直線運動になる、としています。このあたりはこの実験結果から理解しなさい、というのはどう見ても無理があります。ここでの急な減速のデータは、マイナスの加速度、つまり速度を減じる力が働いていることを示しています。その大部分は打点式記録タイマーの抵抗分であろうと想像するのですが、どうでしょう。

慣性の法則(力が加わらなければ静止か等速直線運動)は、「思考実験」を伴う実験手順を考えないと、素直な生徒は混乱するだけだと思います。

結構手間がかかる割りになかなか理論値と一致しない、こういう実験はやられなくなるのかなぁ。悪がき(私のことです)は、すっきり理論値と一致する実験よりは、先の中学の先生の実験のほうが楽しいのですがね。

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コメント

こんにちは。打点式タイマーは10年ほどくらい前まで、よく使っていました。この実験は多くの中学校でやっていることがわかったのでやらなくなりましたが。

当時、これと同時にモンキーハンティングという実験もやっていましたが、なかなかおもしろかったです。下記、参考映像です。

http://www.e.chiba-u.jp/~tkato/BorderlessPhysicsEducation/slowMotionMonkeyHunting.html

投稿: KADOTA | 2008年7月 5日 (土) 17時15分

KADOTA さん こんにちは

モンキーハンティングもやったことはありません。これはうまく当たると盛り上がるでしょうね。
紹介していただいたHPの中で、タイミングがずれても当たる上限が0.07秒という記載に注目しました。ターゲットの大きさと落下スピードからの計算でしょうが、0.1秒弱という時間は長いようでもあり短いようでもあり・・・休みの日にこういうことに頭を浮遊させるのも心地よいです。

投稿: SUBAL | 2008年7月 5日 (土) 18時04分

SUBALさん こんばんは

ガリレオの『新科学対話』第3日の冒頭で彼は自由落下の法則を発見した喜びと放射体の軌跡がアポロニウスによって研究されたパラボラになることを感動をこめて書いています。

現在の中学生は「ようつべ」や「ニコ動」に慣れ親しんでいます。いまさら何で打点式記録タイマーなんでしょうか?
1/30秒に進む距離を模造紙に書いて、ビー玉が落下する様子をビデオで撮影、大きなプロジェクタでコマ送りすればこんな不細工な実験装置を使う必要もありません。
実験装置の抵抗とかを考慮して教師はつまらない言い訳をせずに済みます。

2次関数を教えるには自由落下が最適で、そのまま微積分につながります。ここで教えれば良いのです。
高校の数学教師の教える2次関数って何でしたか?彼らには物理的なイメージなんてありませんでした。少なくと私の高校時代の教員は。

投稿: 271828 | 2008年7月 5日 (土) 22時30分

271828 さん こんばんは

ビデオカメラが5万円を切って購入できる時代ですから、私も打点式記録タイマーはもうどうかなと思っています。

高校ぐらいですと、加速度を直接読み取って、自由落下で加速度センサの値がゼロになるところまでやればよいのにと思っています。相対性理論の入り口になるでしょう。

私の場合は、高校の数学教師はましでしたが、物理教師が最悪。実験をやらずに計算問題しかやらないのに、計算問題を板書していて、間違って混乱しているなんてしょっちゅう。「予習して来いよ」といつも思っていました。かれの説明を聞いていると混乱するけれど、参考書を読むとわかるのだから・・・もう授業技術以前の問題でしたねangry

投稿: SUBAL | 2008年7月 5日 (土) 23時14分

高校の物理教師です。
私は、「記録タイマー」の実験実習に良い思いを持っていない者です。
高校の前は中学の理科教諭もやっていました。
もう30~40年も前から理科や物理実験の教材として普及していますが、赴任した学校の「記録タイマー」はたいがい壊れた物や調子の悪い物が多いため、まともな実験ができずに、だいたい想定した実験結果が得られませんでした。
生徒たちには「うまく実験操作すれば教科書のような記録が得られる・・・」とまとめざるを得ないことも多く、いまひとつ「記録タイマー」の実験実習に良い思いをもっておりません。
大学を卒業して(35年前)はじめて中学の教育現場で「記録タイマー」を見ましたが、「記録タイマー」というネーミングにまず違和感を持ちました。
「記録」の「タイマー」??・・・「タイマー」という言葉自体に「時間を記録する物、人・ストップウォッチ」という意味がありますから、名前からは何をする装置か全く意味がわかりません。
明らかにネーミングのミスマッチです。今になって言わせてもらえば、これは「運動レコーダ」です!!
前の方が言われていた「打点式タイマー」の方がまだ良いですね。
もし私がこの装置に価値と魅力を感じたとすれば、私費を投じてでも自分で10セットくらい購入して、私の授業だけで使うところです。
とにかく、学校の生徒みんなが使えばすぐに壊れたり調子が悪くなってしまうのは明らかです。
しかも簡単に買い替えられないほど高価です。
多くの学校では、少しずつ買い替えるため、同じ「記録タイマー」という商品でも微妙に異なる製品が混ざっているのが現状です。
そのため生徒への指導もしずらくなります。
私はそれほどの魅力を感じていませんから、そんはこんなで定年になろうとしています。(笑)

投稿: やまちゃん | 2014年4月29日 (火) 17時53分

やまちゃん さん

 コメントありがとうございました。
 私とほぼ同年代でしょうか?
 長らくの教員生活、お疲れ様でした。

 「打点式記録タイマー」を使った運動の実験というのは、運動を記録する安価な装置が無いときにどこにでもある交流電源に電磁石・バネ・ペン・テープといった手作りもできそうな装置で実験できる、単位時間・移動量・速度・加速度を段階的に実験で確認できる、ということで素晴らしいアイデアだったんでしょうね。
 しかし内部抵抗や機器の不具合で狙った結果が出ない、あるいは出にくいというのでは授業になりませんね。
 単位時間・移動量・速度・加速度だったら、何も「打点式記録タイマー」を使わなくても、271828さんが言うようにビデオやカメラの連写を使う方法もありますし、加速度はガリレオのような「思考実験」を使う方法もあると思います。
 現在は、ゲーム機のリモコンを使えば安価に加速度を測定できますから、特に高校では「加速度」から入るのもありではないか、私はそう思っています。
 力と加速度、力と変形・・・そのあたりを物理で教えて欲しいと思っています。

投稿: SUBAL | 2014年4月29日 (火) 20時03分

SUBALさん

批判めいたコメントで気を悪くなさらないでください。
今の私の率直な気持ちなのです。
実は、今ちょっと困っていることがあります。
4月から赴任してきた高校は進学校なので受験指導のために過去の模擬試験の問題冊子を見ていました。(ベ○○セの模試)
ここに、「記録タイマー」を使った実験で、そのテープを切り張りしてグラフを作りながら考えさせる問題があったのです。
しかも実験装置の名称として「記録タイマー」と記されています。
これでは、「記録タイマー」に触れたことのない受験生は圧倒的に不利ということになります。
前述のような問題もあり、私はこの実験はやろうという気持ちは全くありませんでした。
しかし、生徒実験はともかく、「記録タイマー」というのは、こういう装置で・・・と最低でも教師実験で説明しておくことが絶対必要ということになってしまいます。
このような出題は明らかに間違っていると私は考えています。
しかし、過去の大学入試(センターなど)でこのような出題があったのかなかったのかを調べようと思い、ネット検索していてこちらのサイトに辿りつきました。
みなさんはどう思われますか?
大学入試に詳しい方いらっしゃいましたらご教授お願いします。
このサイトには場違いな質問かもしれませんがよろしくお願いします。

投稿: やまちゃん | 2014年4月29日 (火) 21時44分

やまちゃん さん

あれっ?前のコメントは、私に対する批判だったのですか?
だとすれば、私の読解力不足なのでしょうか、まったく意味が分かりません。

私は、「記録タイマー」実験をしたことがありませんし、その推奨者でもありません。Wiiリモコンが加速度を測るツールとして使えますよ、という情報法を提供しているだけです。

私は、中学や高校の教員であった経験がありませんし、大学受験指導をしたことがありません。
まぁ、でも問題を解くだけであれば、下記URLの動画にあるような(これは中学バージョンのようですが)解説をすれば、10分程度で終わるのではないですか?
http://www.youtube.com/watch?v=f9zAxbo3rr0

投稿: SUBAL | 2014年4月29日 (火) 22時05分

SUBALさんへの批判ではなく、この装置に関して論議しているみなさんへ批判的な文章になっているのではないかと思い、そのように述べました。
深い意味はありません。
このサイトの他には理科教員のサイトなどで推奨されているみなさんも多く、私のような意見は特殊なのかなという思いもありました。
そうですね、10分程度の説明で十分な問題です。
あんまり悩むことでもなさそうです。
このことに関して自分がイライラした思いがあり、このような流れになってしまいました。ごめんなさい。
気にしないでください。

投稿: やまちゃん | 2014年4月30日 (水) 20時40分

やまちゃん さん

そうですか。了解しました。
まあ、見解の違い・意見の対立はあるもんで、だから議論があるともいえるとは思います。

「記録タイマー」実験はしない理由を、入試問題解説の時に具体的にデータを示して説明してくれたら、私のような出来の悪い生徒は目を見張るのではないかと思いますがね。

物理量の測定が物理現象に与える影響という、とても実用的で興味深い話になるのだと思います。高校レベルでは、そのくらいの話があっても良いように思います。

私は、「教科書通りになる実験なんか実際にやって見なくてもビデオで見せてくれればいいよ、つまんないから・・・」というタイプでした。教科書通りの結果にならない、もしくはなり難い実験の方が、よほどワクワクする、ワクワクしない実験なんか実験じゃない。ひねくれ者の見解なんでしょうけれど…。

投稿: SUBAL | 2014年5月 1日 (木) 12時43分

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