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御巣鷹山ジャンボ機墜落から23年

JAL123便が御巣鷹山に墜落したのが1985年(昭和60年)8月12日、今年で23年です。520名の方が亡くなり、単独航空機事故としては最大の事故となりました。

Jal123 私は、この事故の名前は「ボーイングのジャンボ機御巣鷹山墜落事故」とすべきではないかと思っています。事故の直接の原因となった圧力隔壁の修理ミス(ミスというより手抜き施工でしょう)は、ボーイングの技術者によって行われたものでした。(図は 失敗知識データベース「御巣鷹山日航ジャンボ機墜落事故」より)

圧力隔壁が破壊して、その後方に4系統あった油圧のパイプがすべて吹っ飛んだのも、言ってみれば構造上の問題で、設計したボーイングの責任です。

メーカーに修理に出したら、デタラメな修理をされてそれが原因で大事故になったのですからね。このブログで日本航空の肩を持つ義理はないのですが、ボーイングがこの事故でこうむった損害はどのくらいなのだろう、と考えると、たたかれている人の肩を持ちたくなります。判官びいきというやつです。

もちろん、日本航空側にも確認の義務はあったといえるでしょう。しかしあの修理ミスは、施工の現場に立ち会ってすべてを監視していればわかるでしょうが、事後に目視点検したぐらいではわかるものではありません。

それでも、日本航空側で事前に発見できたかもしれない兆候はあったというのです。

それは、

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タバコのヤニと臭いです。

事後の破壊力学的な考察では、疲労亀裂がおよそ800mm(80cm)に達したところで亀裂が急速に進展する不安定破壊に至る、ということがわかっています。通常の疲労亀裂なら補強材で仕切られた500mmのベイと呼ばれる範囲で収まるはずでした。しかし、かの修理ミスが2つのベイにまたがっていたために800mmにまで達してしまいました。

圧力容器の設計では、亀裂が進展して不安定破壊に至る前に、板厚を亀裂が貫通して漏れが出るようにする破断前漏洩(Leak Before Break:LBB)が良いとされています。

しかし、航空機の圧力隔壁の場合は、漏れるのは空気、漏れ出てくるのは圧力隔壁の外、数千から1万メートル上空での出来事ですから、現認は難しいかもしれません。

以前は、旅客機内でタバコを吸わせていましたから、123便の場合では圧力隔壁に生じた亀裂からタバコの煙が漏れていました。その跡が残っていますし、地上に降りてきてからも、圧力隔壁の裏側に入るとタバコくさかったといいます。

他の飛行機とはちがうもの、このことがいったい何なのか、ここにこだわれば、この修理ミスは事故前に発見できた可能性があったのです。さあ、ここからです。忙しい業務に追われながら、マニュアル通りきちんと仕事をすることを求められて、まじめに仕事をこなしてきた整備士たちが、どこまでこのタバコの臭いにこだわれるか・・・。

私の勝手な想像だけれど、こういうことに気づくのはルーチン業務の中というより、休憩室での雑談の中からではないかと思うのです。組織の機能だけを求めて、上意下達で締め上げる組織では浮かび上がってこないのではないか。

このタバコの臭いに誰かが異常だと気づいてその眼で点検をすると、ヤニがついていたところが見つかり、おかしいということで調べれば程なくわかったはずです。破断前漏洩(Leak Before Break:LBB)の有効性が発揮された例になったわけです。

たぶん、そういうことが行われて、事前に防止された事故はたくさんあるはずです。最初にアクションを起こした人は、部内では褒められてもそれ以上ではないでしょう。あたりならともかく、はずれだと「余計な仕事を増やしやがって」と白い目で見る上司もいるのかもしれません。

それでも冗談を言いながら、淡々とやるべきことをやる、メンテナンスにかかわる仕事をするプロはそういうものでしょう。

本日日本航空の西松社長は御巣鷹山に慰霊登山をしたようですが、ボーイングの関係者は調査以外で来たことがあるのでしょうか。

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コメント

SUBALさん おはよう

今朝の朝日に那覇空港で炎上した737のことが出ていました。737はマレーシア往復・福岡往復で乗りましたが、ワッシャーが無いとボルトが外れるような設計で驚きました。
整備のときもヒューマンエラーはあるものとして、それを防ぐ設計がなされていないのですね。

投稿: 271828 | 2008年8月15日 (金) 09時15分

271828 さん
情報ありがとうございました。
この件、新しい記事にしました。

投稿: SUBAL | 2008年8月15日 (金) 11時18分

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