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石を道具として使うサル

先週、NHKの番組で“石を道具として使うサル”がブラジルで見つかったという話をやっていました。

類人猿であるオラウータン以外のサルでははじめて見つかったのだそうです。この映像興味深かったですね。「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」の取材ウラ日記ページに概要があります。

フサオマキザルというそうで小型の猿です。石を持ち上げて固い椰子の実の殻を割るのですが、このとき2本足で立つのです。また、石を運ぶとき前足で持ち上げて、スタコラと二足歩行をするのです。

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この石、少し離れたところにある硬い石だそうで、猿たちが運んできたと考えられています。この行動が、二足歩行に必要な筋肉を鍛えるのではないか、人類が二足歩行を開始する起源を探れるかもしれない、ということで注目されているようです。

私が興味深かったのは、椰子の実を石で割る行為が意外と難しいのだということです。

(1)固い椰子の実の中においしいものがあることを知る(見えないものを想像する)。

(2)殻を割れば良い事がわかる(行為の結果起こることを予想する)が、たたきつけるぐらいでは割れないことを知る(従来のやり方の限界を超えなければと考える)。

(3)椰子の実を岩にたたきつけるのではなくて、石を椰子の実にたたきつけることを考える(発想の逆転)。

(4)石を片手で持ってたたきつけるぐらいではだめで、石を持って立ち上がり遠い距離から石をぶつける(殻が壊れることが石を落とす距離と関係していることを知る)。

ざっと考えただけでも、超えなければならない壁はいくつもあるのです。

さらに興味深かったのは、殻を割るのが上手い猿と下手な猿がいることです。

新米は、持ち上げた石を落としているだけ、添えている手は方向をコントロールしているのでしょう。

上手な猿は、石を落とすとき石の上から押さえつけるように手を添えて自分の体重を乗せているのです。持ち上げる石の質量を増やすのは筋力の限界で制限があります。自分の体重なら追加できるというわけですね。

しっぽで支える猿、横方向に走りこんで石を椰子の実にぶつける猿、この群れの中だけでもいくつかの試行錯誤が紹介されていました。

この映像を見ていると、たぶんここまで来るまでにいくつもの失敗だけでなく事故があっただろうなと想像します。

人類が人類になってゆく重要なターニングポイントに、いかにものを壊すかという難問への挑戦があったのかも知れない、という想像は私の気持ちを愉快にしています。

実は、衝撃でどのようにものが壊れるのかは未だに難問なのです。衝撃をうけると応力がどのようになるかというだけでも、エネルギー保存の法則からと応力波(音波と同じですが)の伝播からのアプローチがあって、両者の式は一致しません。

有限要素法の発達によって、シミュレーションの精度が良くなってきているとはいえ、衝撃力による破壊については、現在でも実験による検証は欠かせないのです。

航空機客室構造の耐衝撃特性の研究

国産旅客機YS11の落下衝撃試験

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