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低温下で超音波振動子の剥離

518 本州では、まだ残暑が厳しいのでしょうか。

今日取り上げるは、氷点下の環境における超音波探傷を実施する場合に、気をつけてほしい情報です。

氷点下の環境で、斜角探触子を使うと振動子が剥離するケースがあるという情報を実験データつきでいただきました。

斜角探触子はアクリル製の楔に接着されて厚み振動をして、アクリル楔内には縦波を振動させる、という仕組みについては昨日の記事に書きました。

Utprob低温下で斜角探触子を使うと、程なく感度が30dBも低下してしまう事例があったようです。30dBというのは、探傷技術者にとってはとてつもなく大きな値です(音圧で言うと1/30以下になります)。この感度低下に気がつかずに探傷すると、きずを過小評価するというレベルではなく、すべて見逃してしまうというレベルです。

低温下で脆化する質のよくない接着剤が使われていることが原因として考えられます。

詳細なデータは続きで・・・

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Stba2dac この件は、現在東北地方を拠点に仕事をされているIkegayaさんから、情報を提供していただきました。Ikegayaさんのレポートは、温度環境を変えて「入射点」「屈折角」「ビーム路程」「エコー高さ」の変化をデータとしてとっています。感度の下がった探触子の特異なデータは、振動子がアクリルの楔から剥離をして、部分的にしか振動を伝えられていないことを示しています。

このレポートからもわかるように、低温下で剥離してしまう斜角探触子は、特定メーカーの特定の探触子です。

そのような探触子があるということに注意をしておく必要はあるでしょう。

Ikegayaさんのレポートです。「IkegayaReport.pdf」をダウンロード

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コメント

こんばんは。参考になる情報、ありがとうございます。
なお、氷点下現場での探傷時、予備バッテリーは懐にいれて暖めておく、という技はご存知でしょうか(関東地方ではめったにやりませんが、北海道では当たり前ですかね)。
また、ソニコートを水で薄めたり、時にはウィスキーなんかも使ったり…。海っぺりの寒い(と言ってもたかが知れてますが)工場で夜勤音波屋をしていた時の話です。

投稿: niwatadumi | 2008年8月27日 (水) 23時33分

niwatadumi さん こんばんは

超音波探傷に限らず冬場のバッテリーにはずいぶん泣かされましたから、あの手この手を使いました。最近ずいぶんよくなりましたよね。
私は、冬場屋外で超音波はほとんどやりませんでしたから、あまり必要性を感じていませんでしたが、北海道機会工業会の研究会では、低温下での接触媒質に関するレポートがいくつかありましたね。内容は、すぐには思い出せませんcoldsweats02
磁粉探傷の検査液に不凍液を使う話は覚えていますが・・。

投稿: SUBAL | 2008年8月27日 (水) 23時51分

今年の7月9日、ドイツのケルンにおいて、最高時速300km/h以上の、最新高速鉄道 IC-3が脱線しました。幸い駅近くで減速していたために乗客260人に負傷者はありませんでした。原因は車軸の疲労破壊でした。高速時に脱線していたら、10年前のEschedeの101名の死者を出した IC-1の事故の再現になりかねない事故でした。
この車軸は30万km(6か月)ごとに斜角超音波探傷で亀裂の有無を検査されています。事故後急遽この間隔が6週間ごとに変更されました。亀裂を見逃したのか、それよりも亀裂の進展速度が速かったのか、実動荷重の推定が誤っていたのかが検察の捜査内容のようです。
超音波探傷が低温で信頼できない製品があるとはとは?人命にかかわる重大なことですね。

投稿: k.hirakawa | 2008年8月29日 (金) 21時55分

k.hirakawa さん こんばんは

ドイツのケルンは、友人から一度おいでと誘われて、今夏も行くことを検討して、いくつかの事情で断念したところでした。
そこで車軸の疲労破壊による脱線事故が起きていたとは・・・。
早急に解明してほしいものです。

今回紹介した探触子のケースは、某メーカーが十分な検討をせぬまま安手の接着剤を使った製品を販売した結果と推測できます。通常の探触子では大丈夫なのですが、そういうケースがあることを寒冷地の探傷技術者には知ってほしいのです。
30dBも感度が下がれば、いくつかの兆候でわかるはずです。ほかに何もなくても、送信パルスの波形だって違ってくるはずですから、経験のある注意深い技術者であれば気づくはずです。しかし、ゲート内のエコー高さを監視するだけという、マニュアル「技術者」がいたとすれば、大きな欠陥を見逃すことになりかねません。

昨年末(12月27日)に北海道千歳線で起きたレール破断では、実は3日前に超音波探傷を実施していて、問題なしとされていたところでした。
このときの超音波探傷がどのようなものだったのか、どのような探触子を使っていたのか、気になるところです。

投稿: SUBAL | 2008年8月29日 (金) 23時15分

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