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Pohlmann Whistle

ドイツの友人に私の超音波本を送ったら、Pohlmann Whistleに関する資料を送ってくれました。日本語はわからないが、絵はよくわかるとのことでした。

Pohlmann_whistle Raimar Pohlmannはドイツ人で、1930年代から現在の超音波探傷につながる研究をしていた人です。強力な超音波を発生するPohlmann Whistle(or Pohlmann pipe)を発明したという話は聞いていました。資料の中にあった写真を参考にShadeで再現してみました。

これ、液体の流れで超音波を発生するのです。では、この超音波発生装置はどのような目的に使われたのでしょう。

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私は、潜水艦対策のソナーだったと想像していました。第1次世界大戦中にフランス人のランジュバンが発明したランジュバン振動子を使って強力な超音波を発生させることが可能になりソナー作られ、それによってドイツのUボートが発見されて沈められたという歴史がありましたからね。

ところが、送ってもらった資料によると、このPohlmann Whistleは油の攪拌や乳化のために使われたということです。

空気の流れを使ってエッジトーンで超音波を発生するガルトン笛は、マイクロメータの機構で共鳴筒の大きさを調整して周波数を変えていましたが、ポールマン笛は流体を当てるブレード(エッジを持った板)の長さと厚さで周波数を変えるようです。

ギアポンプで10から20気圧の圧力にした液体をブレードに当てて1W/cm^2程度の超音波を発生させていたとのことです。強烈な振動ですね。

友人は、大学時代指導教官としてRaimar Pohlmannから直接教えを受けたそうです。

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超音波」カテゴリの記事

コメント

ドイツの超音波探傷は7月にドイツ高速鉄道ICE-3の車軸が金属疲労で破壊しケルン駅近くで脱線したことで注目されています。鉄道車軸は直径200mm程度で、70mmの孔がある中空軸です。超音波探傷はこの孔に探触子を挿入して、車輪などが圧入されている車軸表面の疲労亀裂を検査します。通常6か月に1回程度走行ごとに検査されますが、事故によって6週間ごとに検査することになっています。問題は、中空の孔から圧入エコーの妨害を受けながら、何mmの亀裂が検出できるかです。超音波の専門家は何mmが検出できるとお考えでしょうか。

投稿: K. Hirakawa | 2008年10月25日 (土) 23時14分

K. Hirakawa さん こんばんは

ケルン近くでの脱線事故の情報は以前にいただいていましたので、実は問い合わせていました。が、内容に関する返事はもらえませんでした。ケルン近くにある老舗の超音波探傷機器メーカーの研究所にいる人ですから、その企業自体が真っ只中にいるのではないかと推測しています。

私自身は、鉄道車軸の探傷をしたことがありませんので、わかりません。文献に頼ることになります。ちょっと古いですが、JDNDIの平成15年の春季大会の講演概要集に、和歌山大学の池田氏鉄道総研の養祖氏らの報告がありました。
それによると、5MHzの集束型斜角探触子を使うと、0.17mmで圧入エコーと同じになり検出が困難になるが、10MHzの集束型探触子を使うと0.17mmでSN比で2が得られ、傾きを持たせると0.11mmまで検出できた、とあります。

ただ、これは新幹線用の圧入車軸模擬試験体を使っているようですが、傷は人口きずです。
研究室レベルで「検出できた」とすることと、フィールドで「それ以上のきずは確実に検出する」ということとの間には大きな開きがありますから、実際のところはどうなのでしょうね。

学者の研究ではなくて、現状の報告がテーマの文献も読んだ記憶があるのですが、さっと探したところでは見つかりませんでした。

原子力発電所の維持規格では2mm以下の亀裂は見逃す可能性があるとおいています。通常の斜角探傷をやっている感覚では、このくらいが常識的な検出限界だと思いますが・・・。

投稿: SUBAL | 2008年10月26日 (日) 00時37分

ご見解、ありがとうございました。ドイツでは検察が、ドイツ鉄道と警察に対して、ケルンの車軸の破壊原因を推定できるような情報は流してはならないとの指示が出ているようで、情報はほとんど門外漢からの情報です。
私も、中空車軸内の孔から斜角探傷(37度、5MHz)で数分で1本の車軸を自動的に検査できる亀裂の深さは2-3mmと思います。学者が、人工傷(亀裂に幅がある)で測定して何の意味があるのか疑問に思っています。
ドイツでは、非破壊検査の専門家が、インターネットを使って情報交換を盛んにやっています。このような話がnetに出ると、多くの意見交換がなされています。たとえば、www,ndt.netなど。SUBALさんのブログもこのようなnetの役割を担ってほしいものです。日本のwebにもクラウトクレーマー・新幹線・超音波探傷をご覧になると、新幹線車軸の検査機器と情報が出ています。また、教えてください。

投稿: K. Hirakawa | 2008年10月26日 (日) 10時09分

K. Hirakawa さん こんばんは

クラウトクレーマージャパンが装置を作っていたのですね。
住友金属のHPには、探傷性能として、「周方向3mm深さ人工きずS/N≧10」とありました。

http://www.smt-inc.co.jp/keisoku/shinkansen_shajiku.html

アレイ探触子は、今後普及してゆくものと思われます。


>SUBALさんのブログもこのようなnetの役割を担ってほしいものです。

なかなか難しいでしょうけれど、ブログというのは寄せられるコメントによって豊かになっていくものだなぁ、と実感しています。

このブログもNDI関係者が結構読んでくれているようです。気軽に交流をしましょうよ、と呼びかけたいです。

投稿: SUBAL | 2008年10月26日 (日) 17時10分

お久しぶりです。
き裂検出の限界という話題なので日頃思っている疑問を投稿します。
それは、き裂高さで検出限界を語られるのですが(これは機器・構造物等の安全という意味では当然ですが)、実際に種々のき裂検出を試みて感じていることは、き裂の開口幅で検出限界がかなり左右されるのではということです。
5MHzというそれほど高くない周波数を用いても、ある程度の開口幅があると比較的高さ(1mm未満)の小さいき裂からのエコーが十分なSNで検出されるのですが、閉じたき裂ではサイズが大きくても検出できないと感じています。
同様に、き裂ではないですが、圧接継手で予め圧接面に錆を生じさせて圧接を行い、 UT ではまったくエコーが検出されず、引張試験では開始直後に圧接面から破断してしまいます。その際、破断面の酸化した層の厚さは非常に薄いです。
あと、手動探傷のときは、アレイでない通常の探触子でき裂の検出を行った方が検出限界が小さいと思いますが?つまり、アレイの方がSN比が悪く、検出限界に近いき裂の検出は難しいと思いますが。(実際にアレイの装置を持っていて実験している訳ではないので感覚的な言い方にですが)
アレイは比較的大きなき裂を確実に検出するという意味では有効と感じますが、小さいき裂を検出するのはあまり得意ではないような感じがします。
その辺の実験ができる機会があればいいのですが。

投稿: Ikegaya | 2008年10月27日 (月) 02時45分

Ikegayaさん。コメント興味深く拝見しました。
同一形状の人工亀裂(放電加工)と疲労亀裂の超音波探傷の感度を比較した実験の論文はあまりありませんが、非破壊検査協会平成12年講演大会(米山他)では、亀裂長さ3mmで15dBの差があります。私のドイツ鉄道のタイヤの実験でもその差は認められています。また、亀裂の形状が表面から半楕円状にであるか直線状であるかによって、ずいぶん違うようです。この辺のことは、小著{ドイツ高速鉄道脱線事故の真相」158ページにあります。情報がありましたら、教えてください。

投稿: K. Hirakawa | 2008年10月27日 (月) 11時04分

Ikegaya さん こんばんは

疲労亀裂の先端では、亀裂幅が狭くて超音波が透過してしまうということのようですね。
どのくらいだと透過してしまうのか、亀裂幅の測定自体が難しそうですが、実験をしている人にとっては論文にはしにくくてもおよそ見当がついているようです。私が、ある人から聞いたところでは、サブミクロン、0.7~0.8μm程度ではないかということでした。
私が浸透探傷での検出限界開口幅について得ている勘の数値とほぼ同じだったので、印象に残っています。

フェイズドアレイは、スキャンさせているだけなら、ベテランの手探傷にはかなわないでしょうね。ビームをフォーカスさせてスキャンさせていけばどうなのか、私としては興味深いところです。私もデモを見たり、資料を読んだりしている段階なので、確かなことはわかりません。

投稿: SUBAL | 2008年10月28日 (火) 20時16分

>同一形状の人工亀裂(放電加工)と疲労亀裂の超音波探傷の感度を比較した実験の論文はあまりありませんが
検査技術の話にとは若干ずれますが、機械加工の荒さ評価でも多少この弊があります。エッチング加工した標準荒さ試験片で校正して加工による荒さ評価をしますが立フライス削りと横フライス削り・シェーパー削り(シェーパー自体が当節あまり流行らないのですが)などで同じ荒さを額面上えたとしても、油なじみなどの評価方法まで総括的に見るとイコールにならんです。スポット溶接のナゲットでもTPと 素材をあわせた模擬TPと現物を3つ見比べていかなければならないことが確定化するまではあります。
学がないからか、人工亀裂TPを見たことがないですが、電顕で見ると模擬という形の限界ですが、どこか違うところがあるんでしょうね。

投稿: デハボ1000 | 2008年10月29日 (水) 00時49分

デハボ1000 さん こんばんは

>どこか違うところがあるんでしょうね。

超音波探傷では、きずは反射源ですから、反射の特性が重要です。EDMでつけたスリットと自然欠陥の割れとの違いはたぶん次の2つでしょう。

(1)反射面の凹凸です。自然の石と墓石に光を当てたときの反射の違いをイメージするとよいかもしえません。

(2)ここで話題になっている開口幅です。音の反射音圧は音響インピーダンスの差が大きいと大きくなります。開口幅が狭いと、空気層がないと同じことになり、超音波は透過してほとんど反射してこなくなるのです。EDMの開口幅は探傷で使う超音波にとっては春の小川ではなくて揚子江とは言わなくても利根川並みなのかもしれません。

投稿: SUBAL | 2008年10月29日 (水) 03時40分

疲労亀裂の進展がストライエイションの形成機構であることを容認すれば、亀裂の進展は亀裂先端の剪断応力の集中によるすべりですから、少なくとも亀裂先端近傍は接触しているはずです。また、実際の機械構造物は熱処理(焼き入れ焼き戻しか焼きならし)されていますから、表面近くは圧縮残留応力場にあると考えられます。これからも、亀裂に0.1ミクロン程度の隙間があるとは考えにくいのですが。
鉄道用レールの表面亀裂の進展は、剪断型応力拡大係数が支配的ですが、カナダや北欧では雪が積もって、その上を車輪が走行して、接触圧で水が亀裂内に侵入して亀裂を広げる時期にレールの事故が集中しています。

投稿: K. Hirakawa | 2008年10月29日 (水) 10時22分

K. Hirakawa さん こんばんは

疲労亀裂は破面が接触していても隙間がまったくなく密着しているとは考えにくいです。それも0.1ミクロン以下というオーダーではないはずです。
浸透探傷試験や超音波探傷試験で疲労亀裂が検出できていることがその証拠だと思います。
もちろん、亀裂の先端そのもを検出できないというのも、圧縮残留応力のあるところでは検出しにくくなることも事実です。しかし、焼入れ焼き戻しをされた鋼の表面にある疲労亀裂が検出不能なんてことはありません。

>カナダや北欧では雪が積もって、その上を車輪が走行して、接触圧で水が亀裂内に侵入して亀裂を広げる時期にレールの事故が集中しています。

この前の冬寒い時期に北海道では、レールの破断があいついでおきました。
北海道では、岩石もわずかな亀裂にしみ込んだ水の凍結で割れて崩落するということがあるようです。

投稿: SUBAL | 2008年10月30日 (木) 01時06分

非破壊検査の専門家が、疲労亀裂が0.1ミクロンの隙間があると考えて、検査されているとは私には驚きです。超音波や浸透探傷で亀裂が検出できるから、亀裂には隙間があるとの論理はおかしいのではないですか。亀裂の付け根部分の開いたころだけを検出していると考えることもできます。引張り荷重を加えながら超音波検査をすれば、検査が容易になるのはそのためではないですか。
疲労亀裂の進展は、引張り応力で起こります。亀裂先端は引張りで降伏します。荷重が除かれますと亀裂先端は圧縮応力となります。亀裂が0.1ミクロンの隙間を残す応力はどこから来るのですか。
英国の学者が、浸透探傷をしながら疲労試験を行いましたが、亀裂長さの1/2-1/3しか侵入していませんでした。
破壊力学の専門家は、亀裂面同士の摩擦係数を0.5-0.6程度として計算しています。
疲労亀裂がストライエーション形成機構で進むことはほぼ正しいでしょう。のこぎりの歯同士が接触していると考えれば、両面がややずれているために歯の山で接触しており、谷の部分では隙間がある接触だと思います。
亀裂の断面の顕微鏡や電子顕微鏡写真が多くの本や論文にありますが亀裂先端近傍で0・1ミクロンもの隙間のある写真は見たこともありません。
最後に、鋼と岩石とは靭性値が全く違う別のものです。その話とは、全く別の話です。
このブログで、ご覧になった非破壊検査の専門家のご意見をお聞きしたいものです。

投稿: K. Hirakawa | 2008年10月30日 (木) 10時59分

K. Hirakawa さん こんばんは
疲労の専門家からこのようなコメントをいただくと正直動揺しますが、それでも「なるほど」とは思えないところがありますので、教えてください。

非破壊試験できずが検出できるのは、UT・MT・RT・ET・PTのどれをとっても、音響的に磁気的に電気的に・・・の違いはありますが、材料の連続性が切れていることです。通常は金属と空気との界面で起きる物理現象を利用しています。中でもPTは、毛細管現象ですから、浸透液が粘性抵抗を受けながら入ってゆくことのできる空洞もしくは隙間がなければ検出は不可能です。「検出できることイコール隙間がある」といえると思うのですが、そこも違いますか?

たとえば、下記URLにあるような写真はよく見るのですが、このページにある写真(Fig 92)の割れの幅は、どのくらいのオーダーなのでしょう。

http://www.esrf.eu/UsersAndScience/Publications/Highlights/2002/Imaging/IMA2

または、次のページのFig.1-21

http://jolisfukyu.tokai-sc.jaea.go.jp/fukyu/mirai-en/2007/1_8.html

切断によって断表面近傍の残留応力が解放されている(断面を観察する以上避けられないことでしょう)ことはわかります。それにしてもオーダーとしてはマイクロメーターではないでしょうか。

>のこぎりの歯同士が接触していると考えれば、両面がややずれているために歯の山で接触しており、谷の部分では隙間がある接触

素人考えかもしれませんが、あるところで歯の山で接したとすれば、ちょうどドアにボールをはさんだのと似た状態になり、亀裂の先端の反対側は幾何的に開くようにはならないものなのでしょうか。

議論の混乱は避けたいので付け加えておきたいのですが、私は最初から「亀裂の先端近傍」について、NDTで検出できるとかそこでの隙間が云々とかの話はしていません。通常実施されているNDTでは亀裂先端は現状検出できませんし、そこでも隙間があるのか、あるとしてどのくらいなのかについて私ははわかりません。

私は、Hirakawaさんの指摘を受けても、検出できる疲労割れにはミクロンオーダーの隙間を持った破面部分があるとの判断が違っているとは思えないのです。

投稿: SUBAL | 2008年10月31日 (金) 01時49分

SUBARUさん、コメントありがとうございました。
メイルでのやり取りは、手話で話しているようで、直接お会いしないと、なかなかお互いの真意が伝わりにくい感じがします。結局同じことを言っているのかもしれませんね。
私が知りたいことは、鉄道の安全は中空軸の中からの超音波探傷に大きく依存していますので、その探傷で、どの程度の大きさの疲労亀裂が検出できるか、保証できるかということです。先々週にイタリアで行われた車軸の疲労の専門家会議では,2~3mm程度かなという感じでした。私もこれを用いて、破壊確率・安全性の評価を進めます。
残念なことは、いつもこのブログにコメントを寄せていただいている専門家からレスポンスがないことです。あきらめました。
また、どこかでお会いした時に、議論したいものです。

投稿: K. Hirakawa | 2008年10月31日 (金) 11時10分

K. Hirakawa さん こんばんは

多少すれ違っても、私は勉強になって面白いです。

私も認識している現実そのものはそう大きく違わないはずなのになぁ、と思っていました。

>どこかでお会いした時に、議論したいものです。

そのような機会があれば、うれしいです。

投稿: SUBAL | 2008年10月31日 (金) 20時17分

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