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エキスポランドコースター事故原因を推測する(その3) 軸にかかっていた力を見積もる

軸の形状とその役割に私は疑問を持っているのですが、そこに行く前に軸にどれくらいの力がかかっていたのかを推測してみます。

車体重量+乗客の重量そして走行スピード・加速度等の運行条件がわかれば計算上で軸にかかる力は推定できるはずです(設計時に想定しているはず)。また、実際にはどうなのかを検証するには、ひずみゲージを貼って1回走行してみれば、わかります。

そのどちらも私には確認できるデータはありません。それでも軸にかかったであろう荷重について、まったく手がかりがないかというとそうでもありません。

大阪府警が事故の1ヵ月後に公開した破断面の写真にヒントはあります。

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Crosssectional_shape この破面、金属疲労である事がわかるだけではありません。最終的に破断をするときに大きく塑性変形をしていることがわかります。塑性崩壊と呼ばれるこの破壊の仕方では、その材料の強度と最終破断したときの断面積がわかれば、σ=W/Aという初歩の材料力学の基本式でそのときの荷重がわかるのです。

Crosssectional_shape3 まず、最終破面の面積ですが、220mm^2と見積もりました。ねじ部の径が32mm、最終破面率が27%。(これらの数値は公開された写真等から画素数をカウントする方法で求めたものです)

軸の材質はわかりませんが、引張強さ50kgf/mm^2(500MPa)程度の軟鋼と考えると最終破断時の荷重Wは、W=50×220=11000kgf(110kN)ということになります。そうすると亀裂のない状態で(かつ締め付けていない状態で)この軸に生ずる応力はおよそ14kgf/mm^2(140MPa)。

通常疲労限の応力(それ以下の応力ではいくら繰り返されても疲労破壊しない応力)は引張強さの半分程度ですから、引張強さの1/3以下の応力振幅が直接軸にかかったとしても疲労破壊しないように思えます。

しかしねじの場合は、ねじの谷底の切欠き効果・荷重分担の不均一によって疲労限は大幅に下がります。さらに径が30mmもあれば、寸法効果も出てきて軟鋼では疲労限は3kgf/mm^2(30MPa)程度でしょう。こうなると、ねじをきちんと締めて応力振幅を抑えていないと疲労破壊をしてもおかしくないということがわかります。

注:確認はできませんが、材料はニッケルクロム鋼だったという話があります。ニッケルクロム鋼にもいろいろありますが、引張強さが80kgf/mm^2(800MPa)とすれば、破断時の荷重は18トン程度、きずがないとき(かつ締め付けていない状態で)にねじ部に生じる応力は22kgf/mm^2(220MPa)となります。ざっと考えると、破断時の荷重は、10~20トン程度、応力は12~25kgf/mm^2程度になると推測できます。

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