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JUMO004とBMW003のスターター

日本初のジェットエンジンネ-20は、1944年7月ドイツから帰国した巌谷氏が持ち帰ったドイツのジェットエンジンBMW003の一枚の図面を、当時国産のジェットエンジン開発を行っていた種子島時休氏らが見ることで、ネ-12から軸流式のエンジンに設計変更することに決まって作られたものでした。

Bmw003drw   BMW003の図面といっても、左のような簡単な断面図1枚でした。この図面は、日本にもたらされたものの当時のコピーで現在は金沢工業大学ライブラリーセンターに保管されています(石澤和彦著「橘花 日本初のジェットエンジン ネ20の技術的検証」より転載)。当時日本側にもたらされた情報は、この図面とJUMO004の見聞録だけでした。

この図面、寸法は入っていないようですが、何か手がかりがあれば(=寸法がわかるパーツがあれば)寸法を追うことはできそうです。

スターターを取り付けるフランジもしっかり書き込まれていて、フランジのボルト孔間の距離PCD ( Pitch Circle Diameter)も追えそうです。あるいは逆に、このPCDが既知である事で、ほかの寸法が割り出せるということになるのかもしれません。

BMW003のもう少し鮮明な図面と比べてみましょう。

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Bmw003drw2これが、BMW003の断面図です。この図面は、A.L.Kay著「Garman Jet Engine and Gas Turbine Development 1930-1945」に掲載されているものです。 図面の詳しさでは、ほとんど同程度ですね。ただ、日本にもたらされた図面には、スターターは外形しか描かれていませんが、こちらのほうが少し詳しく描いてあります。あれっ!よく見ると、BMW003のスターターAK11とあります。

Jumo004st なんだ、JUMO004のスターターと同じです。Junkers社とBMW社、ライバル会社で開発された004と003、スターターは同じAK11を使っていたのです。ナチスドイツ下で戦争のために国策で開発されていたとすれば、ありうることかもしれません。日本でも石川島が開発に成功をしますが、三菱もジェットエンジン開発を戦時中行っていました。

つながりましたね。もたらされたBMW003をヒントに開発された日本のネ-20のスターター取り付けフランジとJUMO004のそれが同じであっても不思議ではなくなりました。

JUMO004は8000基も作られ実戦配備されたジェットエンジンです。BMW003は500基。戦後連合国は、それぞれこれらドイツのエンジンを自国に持ち帰り徹底的に分析されたに違いありません。大量に持ち帰られたJUMO004とBMW003が用済みになったあと、ジャンクショップに流れたであろう事は想像に難くありません。どう考えてもJUMO004のほうが多かったのでしょう。

ノースロップ工科大学の教材庫にJUMO004が、何台か転がっていても不思議ではありません。私のところの実習室に、かつてF86Fに搭載されていたJ47エンジンがゴロゴロ転がっていたり、現在もJ34エンジンが何台もある、という光景からしても、私は米国のエンジンを取り扱う工科大学では当然だろうと思っています。それをメンテナンス可能であれば、火を入れて回してみたくなるマインドもまた、よくわかります。

私なら、アダプターが必要なら作ってしまいますね。刻印にあったD.SWAINEさん、おそらくノースロップ工科大学の教員か学生さんの名前だろう、というのが私の想像です。

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