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ケンブリッジとプリンシプル

NHKのドラマスペシャル「白洲次郎」を見ました。面白かったですね。戦中・戦後の日本にこういう人がいたということを知るのは、歴史を見る視点に少し厚みを増してくれました。近衛文麿を演じた岸辺一徳がいい味を出していたと思います。

「プリンシプル」を貫く白洲次郎を追っていくドラマになっていますが、まだ関係者が生存する実在の人物を描いているからでしょうかね、光と影があるとすれば影の描写が弱いような気がしました。

白洲次郎がプリンシプル(principle:原理原則)を貫くことの意味と重要性を学んだのが英国ケンブリッジ大学とされています。私がMITやワシントン大学のことを知るのは高校生のころだったと思いますが、ケンブリッジとオックスフォードの名前はたぶん中学生のころから知っていたと記憶しています。遠い国の伝統ある超エリートが学ぶ学校。留学はおろか海外旅行すら50歳を過ぎるまで行ったことがなかった自分の生涯になんらかのかかわりが出てくるとは思いもよらないところでした。

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私が公開している「超音波ビームを表示するソフト」についてケンブリッジの先生から問い合わせが来たことがあります。超音波ビームの広がりを計算する方法を探していて私のソフトを見つけて「出来栄えと速さに驚いた」とのことでした。

Ultrasonic_beam_ver1039 弾性波を研究している先生ですから、超音波ビームの形状が計算できてパソコン画面上に表示できることは知らないはずがありません。私のソフトでの描画の速さに注目してくれたのでしょう。これは、複雑な計算をしていない、単純なアルゴリズムでやっているに違いない、と踏んで「アルゴリズムを教えて欲しい」との問い合わせでした。

このソフトでは、高校の物理で習う「ホイヘンスの原理」と「重ね合わせの理」を組み合わせて、ひたすら足し算をしているだけなのです。このことをもう少し詳しくプロシージャーとして書いて送りました。これに対する返事が面白かったですね。

「どんな場面でも単純な方法が一番大事ですね。最初からあまりに多くのパラメーターを持ち込んで『色々出来るように』したりするよりも、単純な原点が骨組みになっているソフトや思考をする方が、考える力、応用する力がつきます・・・(中略)・・・ここケンブリッジ大学の良い点だと思うのは、日本の大学に比べて、出来るだけ原理を重んじ実験やシミュレーションも出来るだけ単純で簡単なものを用いて本質を探るような教育をしている点です。ですから世間で思われているような高額な設備や装置はほとんどありません。」

高額な設備で得られたデータにだけ頼って研究をしている風潮に対して批判的な見解もこの後述べられていました。

難しいことをやっていない単純さを評価してもらえたのです。私のソフトに対する評価で、一番うれしかったですね。私は難しいことがわからないからやっただけなんですけれどね。このソフトは、超音波探傷の教育をレベル1からレベル2に上げるときに必要性を感じて作ったものです。そのあとに日刊工業新聞社から「超音波技術に関する本を書いてみないか」といわれて超音波本を書くことができ、その中にこのソフトとこのソフトを使って描いた「超音波ビーム」形状のCGを掲載できたのも幸運でした。

こんな話を、12歳のころの私に上手く伝えることができたら、懸命に勉強しただろうな。ケンブリッジへの留学を目指して・・・。でも家が金持ちでなきゃだめか?coldsweats01

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コメント

SUBALさん おはよう

白州次郎のドラマを見ていない私はケンブリッジ→ニュートン、プリンシプル→プリンキピアという連想になります。前々からの宿題、ニュートンの記事が書けませんね。

ところで白州次郎は車のデザインにも関わっていたようです。SUBARUレオーネから乗り換えた三菱の初代ミラージュもそうだったのです。良い車でした。

投稿: 271828 | 2009年3月 9日 (月) 04時42分

271828 さん こんばんは

ケンブリッジといえば、ニュートンだけではなく、よく知った名前だけでもケルビン・ラザフォード・サーバールなどがぞろぞろ出てきますね。

この先生からのメールでは、私のソフトのアルゴリズムを知った学生さんが「波動方程式は良く分からないから嫌いだけど、これなら良く分かります」と言ったという話を伝えてきてくれるところが、とても面白かったです。難しいことがわかることより、シンプルにわかることが尊ばれている雰囲気が伝わってきます。

白洲次郎のドラマは、首相やGHQに啖呵を切った場面だけが強調されると、高倉健の仁侠映画になってしまうような気がします。なんとなくスカッとするけれどそれ以上ではない。遊び人だった(と推測しているのですが)面を織り込むと面白くなると思うのですがね。

投稿: SUBAL | 2009年3月 9日 (月) 23時31分

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