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パリス則の積分

疲労き裂の進展速度を示す式にパリス則というのがあります。da/dN=C・⊿K^mという簡単な式です。それでも、微分が出てきてさらに指数も登場します。こういうのを入門書に書くときは、悩みます。今度の「絵とき 破壊工学 基礎のきそ」にはこの式は避けて通れないところでした。私なりに工夫して図解しました。

Parislawinteg 問題は、このパリス側を積分して疲労寿命評価をしてゆくところです。簡単に書けば左のようになります。少し親切に書いても、あと3~4行付け加えればせいぜいです。でも、私はここは本の中で大幅に省略しました。

微分方程式の積分の基本がわかっている人にとっては余計な説明をしなくても簡単に自分でできるはずです。でも分離積分が何のことかわからない人にとっては、仮に少々丁寧に書いてもチンプンカンプンになってしまうでしょう。この辺をぐだぐだ書くのはどっちにしろ無駄になると考えました。積分を教える書物ではありませんからね。そこで・・・

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Faticrack 本の中では、積分の結果だけを示しました。その上で、読者が計算のために電卓をそのつど叩く手間を省けるように、この計算をパソコンでやってもらうソフトウエアを作りました。、

入門書では、まずはイメージが沸くようにすることが肝心です。でも工学である以上計算もできなければ、逆にフラストレーションが溜まると考えて、両方をある程度満足する書き方にしたつもりです。

この計算ぐらいまでなら、大学の破壊力学の講義でもやられるようです。この計算では応力拡大係数の補正係数Fは変わらないという前提です。実際の疲労亀裂にはまだ遠いのです。

実際の部材では亀裂の進展に伴ってFも変化するのが普通です。こうなると積分計算はさらに複雑になります。有限平板表面の半楕円き裂の応力拡大係数をNewman-Rajuの解で求めた場合には、もうこの積分は私もお手上げです。ただ、たとえ入門書でもここぐらいまでは、イメージがわくようにしたかったのです。

微分方程式の定積分は、パソコンのプログラムでFor next構文かDo Loop構文を使えば、概略を求めることができます。有効数字で2桁ぐらい求まればよい場合では、誤差はほとんどケースで問題になりません。

パソコンのプログラミングができる読者も少ないでしょうから、パリス側の積分計算を表計算ソフトのEXCELを使って行う方法も紹介しています。「Newman-Raju+Paris」と題したソフトウエアでやっていることを想像できるようにしたつもりです。

「数式を1行入れたら読者が100人減る」ということをどこかで読んだ覚えがあります。こんな工夫をしましたが、それでも読者が減るのか、ちょっと心配です。

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コメント

「数式を1行入れたら読者が100人減る」ということをどこかで読んだ覚えがあります。」とのこと、私の脱線事故の真相の本の数式を調べてみたら約200でした。1000冊も売れない本が200×100=2万人も減ったのでは、売れない理由がわかりました。技術の本も読んでもらうのは大変ですね。

投稿: K. Hirakawa | 2009年3月13日 (金) 11時34分

K. Hirakawa さん こんばんは

K. Hirakawaさん のご著書のような、ある程度専門教育を受けた人を対象とする本と、私が書いている一般向けの本とでは事情が違ってくるのでしょう。
ただそれでも、ほぼ毎ページ数式が出てくる本は読者層が限定されるのは間違いないでしょうね。
数式をことばとして読める人と、はなから別世界のことしてしまう人との間に大きな深い溝があるように思います。
高校時代に、微積分が面白いと思えたか否か、微積分を何らかの物理現象と結びつけて理解できたか否か、その辺が分かれ道になるような気がしています。

投稿: SUBAL | 2009年3月13日 (金) 20時49分

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