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JSNDI仕様デジタル超音波探傷器

日本非破壊検査協会(JSNDI)は来年春の資格試験から、これまでのアナログ超音波探傷器に変わってデジタル探傷器を使うことになっています。

これまでのアナログ超音波探傷器は既存のメーカーの探傷器を購入して使っていました。新たに導入されるデジタル超音波探傷器は、JSNDIが独自の仕様を提示してメーカーが製作したものをJSNDIが購入するという経過をたどっています。

JSNDIのHPを覗いたら、その基本操作仕様が公開されていました。こちらです。

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2種類のデジタル探傷器の前面パネルと、その操作方法が記載されています。

これを見ると、ひとつはGEインスペクションテクノロジー社のUSM35、もうひとつは菱電湘南エレクトロニクス社のUI25がベースのものであることは一目でわかります。

それぞれのメーカーの汎用探傷器がベースになっているとはいえ、JSNDIが細かな仕様を定めていますので、操作方法は違うはずです。デジタル探傷器の操作は、いわばコンピューターソフトの操作という面が大きく、ちょっと違えば致命的な戸惑いを起こすことになります。

同じパソコンといえども、WindowsとMacでは慣れるまで少しかかります。同じWindowsでもXPとVistaでは結構違う、というあたりと似ていると思います。ちなみに私は未だにVistaになじめません。こうしたソフトの操作も、デジタル探傷の時代には必要な技量とは言えますが、あくまでも付随的なものであり超音波探傷の核心ではないでしょう。

おそらくは、各メーカーがJSNDI仕様とよく似たものを販売するようになるのでしょう。なぜかは私には理解できませんが、JSNDI仕様と同じものを販売してはいけない契約になっているようです。私は、試験や講習は実際のフィールドで使えるものでやるべきだという考えを持っています。資格試験用の探傷器なんてナンセンスでしょう。JSNDI仕様で良いものができたのなら、それを一般に販売することに何の問題があるのか私には理解できません。JSNDI仕様の機械を作るのに協力したメーカーに一定の期間独占販売権を認めるぐらいなら判りますが、基本的には公益法人なのだから「JSNDIで定めた仕様」は一般に使えるようにするのが本来だと思います。

基本操作仕様が公開されましたが、これで操作方法はわかり、突然探傷器の前で探傷をしなさいといわれてできる人が何人いるでしょうか。それも探傷を熟知した人ではなくて、これから資格を取ろうという人たちです。こういうことを決めている偉い人たちが、触ったこともない探傷器をいきなり前に出されて、「基本的な操作方法はこの紙に書いてあります。さあ定められた時間内に精度良くきずを見つけてみなさい。」といわれて本当にできるのでしょうか。

事前に実施されるJSNDIの講習会ではJSNDI仕様の探傷器を使うようですが、受験生すべてがこの講習会を受講できるはずがありません。私は、「デジタル探傷器なのだから少なくとも基本的な操作について疑似体験できるパソコンソフトを作ることは可能なはずで、これを作って配布すべき」と主張しています。田舎の教員の声はなかなか中央には届きません。

私は、JSNDI仕様の策定や具体的な機種の選定については一切かかわっていません。でもときおり情報は、漏れ聞こえてきます。なんだか変だよ、と思うことがいろいろあります。問われて、私の考えを伝えることもありましたが、基本的に蚊帳の外です。中央の大手や、情報ネットワークの中にいる人たちだけが極端に有利になって、地方の現場でコツコツがんばっている人たちが不利益をこうむることのないように、偉い人たちは気配りをしてほしいものです。

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コメント

この件にかかわっているものの一人ですが、先生のおっしゃる通りだと思います。この2機種に遡ること、1年前P社(現O社)機器が採用され納入までされたのに仕様を満たしていないと理由でほったらかしとなっているようです。そういうことも含めて公正で受験者のこと、我が国の学術振興、発展など総合的な視点での運営が大事なことだと思います。どんどんご意見をお願いする次第です。

投稿: 尾瀬はるか | 2009年7月 1日 (水) 22時27分

尾瀬はるか さん 

ようこそ。
私が言いたいことはこの記事に書いていることに尽きます。同意いただき有難うございます。
メーカーサイドも、『JSNDI御用達』になることで市場の占有率を上げようなどという目先のことだけを考えて妙な動きをするのではなく、探傷器のデジタル化という時代の転換期にあって50年100年先を見越してこの技術の発展にとって何をすべきかという観点で動いて欲しいと思います。
小さなコップの中で駆け引きに明け暮れていても技術の発展にはなりません。
馬鹿といわれても煙たがれても正論を堂々と言っていきましょう。

投稿: SUBAL | 2009年7月 1日 (水) 23時00分

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