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ボルトの磁粉探傷

東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センターのサイトに、エキスポランドのジェットコースター事故に関連した車軸の検査に関する記事がありました。こちらICUS NEWSLETTER)の5ページ目。これによるとジェットコースター等の遊戯施設で、1997年から2006年の29年間で27名の人が亡くなり255人のけが人が出ているそうです。およそ1年に一人が亡くなっているということですね。

この記事では超音波探傷か磁粉探傷を行うことになっているとされています(なぜか浸透探傷について抜けてる)。この記事中に、ねじ(ボルト)をハンディーな電磁石を使う極間法で探傷する方法の写真が掲載されています。この前の記事で見たCIWの報告に掲載された方法がいかにも乱暴なのに対して、一応ちゃんとした写真が掲載されていました。

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Mtbolt こちらは、CIWの機関紙RUMPESに掲載されていた写真です。極が試験体と探傷すべき部位に点接触しています。

Mpi2 こちらは、ICUS NEWSLETTERに掲載されていた写真です。磁極が端面に面で接触しています。ただ、この方法では磁極間距離より短いボルトは可能ですが、ジェットコースターの軸のように長く、しかも場所によって太さの違うものはできないことは明らかです。冶具の工夫が必要になるゆえんです。

Mpi1 しかしICUS NEWSLETTERに掲載されていた探傷結果例の写真、これがいかにもおかしいのです。左の写真です。Crack(亀裂)と示されている磁粉模様、これいったいなんなのでしょう。

まず、上の電磁石を使う探傷方法では出てこない方向(軸方向)の亀裂なのです。電磁石を使う探傷方法では円周方向のきずが検出されます。また軸方向のきずはボルトの力のかかり方からいって保守検査で検出される方向の亀裂ではありません。

写真だけでは断定できませんが、この磁粉模様亀裂にしては不自然で、私には形状に起因する疑似模様に見えるのですが・・・。

磁粉探傷の原理は磁石の吸引作用ですから、小学生でも知っている一般に親しみのあるものかもしれません。それゆえなのかなぁ、やったこともないちゃんと勉強していない人が安直な解釈をしやすいという面があるのかもしれません。たとえばこちらの例。鋼の表面にある亀裂を検出する方法としては、最も感度の高い方法ですが、方法を間違えば検出できるきずも検出できなくなったりきずでもないものを間違ってきずと判断することが起こりうるのは、他の方法と同じなのです。

それにしてもICUS NEWSLETTERの記事の最後には、「国土交通省は検査の詳細なガイドラインを用意している」と記載されていますが、これ出ているのですかね。

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非破壊検査」カテゴリの記事

コメント

素人の私にもこれはCrackではないだろうと思えますね。
大丈夫なんでしょうか、検査業界・・・

投稿: たけひろ | 2009年5月25日 (月) 16時05分

ICUS NEWSLETTERの筆者は検査技術者ではないのでしょう。名前を聞いたことがありません。日鉄テクノリサーチの方ですが、たぶん学者さんかそれに近い研究者でしょう。
特にMTやPTは、他分野の「研究者」や「管理職」のような人が、あまり勉強せずに発言することがあるように思います。簡単だと思うのでしょうね。
地道にがんばっている見識の高い検査技術者も多いのですよ。

投稿: SUBAL | 2009年5月25日 (月) 20時54分

なるほど、失礼しました。
検査屋が書いているわけではないのですね・・・

投稿: たけひろ | 2009年5月26日 (火) 07時43分

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