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『応力集中の考え方』

Murakmi 九州大学教授村上敬宣氏の著書に『応力集中の考え方』(養賢堂)があります。この本の「はじめに」で村上氏は応力集中に関する問題を図入りで出題して、「即答できる技術者はどれほどいるだろうか」と問いかけています。なかなかユニークな書き出しの本です。

私は2問のうちひとつは分からなくて、解説を読んでなるほどと理解できたのですが、もう1問はすぐに分かりました。分かっただけでなく、破壊力学の分野で世界的に著名な先生がその応力集中に関する本で明瞭に解説してくれていて、すっきりというかうれしくなりました。この領域をちゃんと書いた本を探していたのですが、それまで出会わなかったのです。

Murakamikirikakiその問題というのが左の図です。S10C焼きなまし材ということですからバリバリの軟鋼ですね。この材料で、左図のような試験片を作って引張ったらどの位置から破断するでしょうか、という問題です。皆さんはどこだと思いますか。

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「応力集中と引張り強さ」に関するクイズを現在やっています。私の設問のほうが少々乱暴ですが、同じ領域の問題だと思っています。

村上氏の著書の最後に、この問いの解答が書いてあります。本を読んでいただくのが一番だと思いますが、クイズの解答のときに少し触れてみましょう。

P.S.『応力集中と引張強さクイズ』解答編

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科学技術」カテゴリの記事

コメント

丸棒の引張り試験について小考してみました。
しがない駅弁のインチキ・マスターの戯言と思って御覧下さい。

圧縮試験も引張り試験も、検体の両端から振幅が無限大の超低周波の弾性波を加えている事に他なりません。
従って、重ね合せの原理が働くとすれば、均質な丸棒の両端からの中点で座屈や破断が生じるのは自明と思われますが、如何でしょうか。

また、試験法を工夫すれば、座屈点や破断点の、その中点からのズレやバラツキを、材料の均質さなどを評価する指標とする事も可能であるかも知れません。

投稿: 通りすがりの物性屋 | 2009年7月 5日 (日) 13時29分

通りすがりの物性屋 さん こんばんは

ひずみは弾性波として伝わるということでしょうが、両端から同時に反対方向に発生するものなのですかね。応力波は音速で伝わるでしょうから、数百mmの距離では実用上は瞬時と考えてよいと思いますが、物理的にはどうなるのでしょう。私には分からないところです。

投稿: SUBAL | 2009年7月 5日 (日) 22時18分

お久しぶりです。
試験片の中点から破断するという話から興味深い話が出ていましたので参加します。
引張試験で引張を開始すると動いたチャック側から試験片に応力波が伝搬して試験片の反対側(固定側)に伝搬して始めて試験片全体が動くことになると考えています。(試験片の片側が固定で片側がジャッキで可動と考えています)
少なくても試験片の固定側は応力波が到達するまでは慣性の法則に従うなら静止続けています。ですから、試験片の両端から同時に応力波が発生することはないと考えられます。
つまり、試験片の中点で応力波が遭遇することはなく重ね合わせがないと考えられると思いますが。
ただ、応力とその作用を考えるときに通常は音速が無限大(応力波が瞬時に伝搬する)で考えていることに対して、応力波が有限の速度で伝搬するということを考えることも必要だということを教えていただいたことはとても貴重でした。
ただ、無限大の弾性波というのは疑問でした。それは、実際に類似の事例で応力波の測定を出来ますが(動ひずみ測定により応力波の測定)、無限大の応力(あるいは著しく大きな応力)が測定されることがないことと、無限大の重ね合わせが想像できなかったことです。
私が試験片の中点で破断することに関しては以下のように考えました。
試験片への加力が増加すると、試験片の絞りの部分の応力集中が発生する部分(両側)の表面から塑性域が発生します。
さらに加力が増大すると試験片の中点に向かってその塑性域は拡大して行き、中点で遭遇することになります。
中点で遭遇する直前に塑性域(イメージ的には硬くなっている部分)に中点の狭い領域が挟まれて引張られる形になるため中点で破断するということになると思うのですが。
引張試験はゆっくりと引張を行なうのですから、実用上は瞬時に両側に応力波が伝搬され、そのため同時に同程度の塑性域が試験片の両側に発生すると考えてよいと考えられます。
どうでしょうか?

投稿: Ikegaya | 2009年7月 8日 (水) 07時29分

Ikegaya さん こんばんは

応力波の速度は音速ですね。鋼で細い棒ですとおよそ5100m/s。衝撃荷重では応力波をひずみゲージで測定できるのは知っていますが、ゆっくりとしたスピードで荷重を増加させてゆく引張試験では、振幅は増分だけと考えられますのできわめて小さい値でしょう。通常使うひずみゲージでは測定不能でしょうね。
軟鋼の引張試験で、降伏点を越えてからは転位のすべりが平行部全体に起きる段階と、荷重の頂点を過ぎてから一部がくびれてゆく2つの段階に分かれます。破断箇所が決まるのは、くびれだすきっかけがどこにあるかでしょう。丸棒の場合、内部(カップ&コーンのカップ底になる部分)がプチプチ切れてゆくことから始まることが分かっています。
それが中点に近くなるのはなぜなのか、どこかで説明した文章を読んだことがありますが、合点が行かなかったように記憶しています。

投稿: SUBAL | 2009年7月 9日 (木) 00時33分

 STRESS INTENSITY FACTOR HANDBOOK はすばらしかったが、疲労強度の変な式は後輩へ悪影響があるような気がします。とにかく偉大な先生も間違いもあって歴史が評価することになる。

投稿: 物理屋 | 2015年4月28日 (火) 20時26分

物理屋さん

コメントありがとうございます。
直接対象としていることが何かは、多分私の不勉強のためでしょう、分かりませんが、権威のある先生だからと言って全て絶対に正しいということはない、というのは一般論だと思います。
疲労強度の式というのはいろいろありますが、たいていは物理学的に正しいか間違いかというよりは、適用範囲とその中での妥当性がまず問題になる領域ではないですかね。

投稿: SUBAL | 2015年4月28日 (火) 23時23分

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