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技術士機械部門一次試験問題から

技術士機械部門一次試験の過去問に次のような問題があったようです。

問題 金属材料の疲労き裂に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 疲労き裂の進展方向は、円弧状のビーチマークに垂直であるため、ビーチマークから疲労破壊の起点を推定することができる。
  2. 高強度材における疲労破壊の起点は、内部の介在物が起点となることがある。この場合、起点となった介在物周辺の破面は円形模様を呈し、これはフィッシュ・アイと呼ばれている。
  3. 疲労き裂伝播速度(da/dN)-応力拡大係数範囲(⊿K)線図上の中間領域では、ノートン則 da/dN=C(⊿K)^mが成立する。ここでC及びmは材料定数である。
  4. 延性材料の疲労破面にみられるストライエーションの一筋一筋の間隔は、1サイクル当たりのき裂伝播速度を与える。
  5. 延性材料の疲労破面上のストライエーション間隔対き裂伝播速度関係、亀裂伝播速度対き裂先端の応力拡大係数範囲関係から、破壊力学によってその部材に作用していた荷重レベルを概略推定できる。   

答えについて、こちらのサイトでは、(5)だとしています。こちらのサイトでは(3)もしくは(4)だとしています。さて正解はどれなのでしょう。

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私は(3)だと思います。理由は、単純。 da/dN=C(⊿K)^mはノートン則ではなくてパリス則だということです。
ノートン則はdε/dt=Aσ^nで、クリープにおけるひずみ速度と応力の関係を表したものです。疲労亀裂の進展とは直接関係ありません。
率直に言ってこの問題を解説している方に、ずいぶん混乱があるように思います。
(4)が誤りとする根拠として「速度の単位は距離/時間だから」をあげているようですが、疲労亀裂進展速度という場合、繰り返し応力1回あたりの亀裂進展長さを通常言います。ストライエーションの間隔が「繰り返し応力1回あたりの亀裂進展長さ」すなわち疲労亀裂進展速度を示していて、da/dNと表記できます(dtではなくdNです)。
(5)を誤りとしている解説もありますが、da/dNが疲労亀裂進展速度でありストライエーション間隔でもあることを知っていれば、パリス則 da/dN=C(⊿K)^mから概略という形容詞をつければ荷重レベルを推定できるといえます(Cとmは材料定数)。もちろん⊿K(=F⊿σ√(πa))から⊿σ、⊿σからσにいたるまでには、いくつかの情報は必要です。しかしそのことをもってこの文章が誤りとまではいえないと思います。

解説をしている技術士さんに、疲労亀裂の進展やパリス則についての基礎知識に関する混乱があるようです。

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