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手に持たなくても良いブラックライト

ブラックライトとは紫外線照射灯のことで、暗闇で蛍光物質に照射すると可視光線を発光させることができて、微細なきずを感度良く検出するツールとして、蛍光浸透探傷試験や磁粉探傷試験で使われます。
通常は高圧水銀灯からの光をフィルターで400nm以上の可視光線をカットすることで、紫外線照射灯としています。

Cimg3279 私が会社勤めで現場に出ていたころは、ハンドマグナ(積層珪素鋼板にコイルを巻いた電磁石)を左手に、右手には検査液が入ったオイラーとブラックライトをもって、溶接部の探傷を行ったものです。1日中やっていると右手の小指から腕にかけて筋肉が張ってきます。検査会社によっては、ハンドマグナを持つ人とブラックライトを持つ人の2人作業でやっているところもありましたが、私のところでははじめから一人作業でした。
先日、「新しいブラックライトを紹介させて欲しい」と検査機材メーカーの方がやってきました。
Cimg3289見せてもらったのがこれです。最初「何これ!」と思いましたが、すぐに合点が行きました。

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Cimg3291 ブラックライト本体はLED、電源は電磁石のコイルから電磁誘導で得るということです。ハンドマグナの脚に取り付けて、ハンドマグナのスイッチを入れるとブラックライトの電源も入るという仕組みです。本体は紫外線LEDとコイルだけというまるで寄生植物のような発想です。
ブラックライトを持たなくても良い、その電源コードをもない、現場作業を知っている身からすると、涙が出るほど画期的なアイディアだと思いました。
メーカーの方の話によると、現在のブラックライトの基準40cmの距離で1000μW/cm^2以上という基準は満たさないとの話。でもこれは、高圧水銀灯やメタルハライドランプを使うブラックライトを想定したもので、試験面で1000μW/cm^2以上確保できれば実用上は問題ないはずだと思いました。JISだって時代とともに変わっていくものですから・・・。
念のため紫外線強度計で測定してみたところ、極間中心部付近で1000μW/cm^2を越すものの、カタログに書いてあるほどの強度が出ません。試験体の形状との関係で紫外線強度が確保できない箇所や影の部分が出てくる懸念があることを伝えておきました。
Tasetobl そうしたら、数日後メーカーから紫外線強度の試験データが送られてきました。最高では5000μW/cm^2を越え、1000μW/cm^2を超える範囲が80×100の楕円形になるというデータです。
データの中で紫外線強度が照度となっているのはどうかと思いましたが、このメーカーのデータは試験条件もちゃんと書いてあって良心的なものだと思いました。
Tasetobl2 この試験条件を見ると、紫外線の照射方向に対して紫外線強度計のセンサの向きを変えて最高強度を測定しています。常識的に考えて試験面で実際1000μW/cm^2を超える範囲は、このデータより狭まるのは明らかです。
紫外線の照射角度、試験体の形状を考慮して問題ない紫外線強度が確保されるのかの検証が必要だと思います。
両方の脚から照射するようにすれば、問題は解決するように思いますが、コスト的にあわなくなるのかなぁ?
それでも、いまいろいろと考えていることの中に組み込むと、実にスマートになるなぁ。おじさんの頭の中で、イメージが膨らみ始めています。

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非破壊検査」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。面白い装置が出てきましたね。
極間法は改良すべき点がたくさんありそうです。ブラックライトはすっかり軽くなりましたが磁石は相変わらず重いし、両手ふさがり状態の検査だしオイラーの握り心地はイマイチだし。それ以上にタンク底板で検査液の流れを作るのも苦労しますね。やっぱり男の仕事だよなと思ってしまいます。

投稿: niwatadumi | 2009年8月 4日 (火) 22時21分

言われてみればなるほどね、というものですが、この仕事を実際にしたことのある人にとっては、思わず感歎が出るものでしょう。記事にしたところ以外に、お値段がまだちょっとかなという気がしますが・・。
自衛隊の燃料タンクでは、タンク自体に土盛りがしてあるので、マンホールまで行くのに暗くてじめじめしたトンネルを通って行きましたが、途中に蛇がいるのには閉口しましたcoldsweats02。まぁ、女性向きの仕事じゃありませんね。

投稿: SUBAL | 2009年8月 5日 (水) 00時21分

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