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距離分解能

超音波の進行方法に2つの反射源があってどのくらいの接近まで分離して表示できるかを距離分解能といいます。
530 非破壊検査の分野では、図(「絵とき 超音波技術 基礎のきそ」の挿絵)のような対比試験片(RB-RA)を使って測定します。JIS Z 3060では探触子を含めた探傷装置で5MHzの場合6mm以下の分解能が要求されます。
分離判定の基準が、2つのエコー高さをそろえてエコーの谷のレベルが-30dB以下ということですから、Aスコープの表示を見る分には明確に2つのエコーがあることが分かります。
では、2つのエコーを分離して認識できる限界はどのくらいになるのでしょうか。このあたりは職人技の領域に入ってきますが、私はせいぜい1波長(λ)ぐらいまでだろうと思っています。鋼縦波(音速5900m/s)で5MHzでは波長は1.18mmです。
Stba2 少し乱暴な実験です。STB-A2という厚さ15mmの試験片に直径2mm深さ2mmの平底穴と直径1mm深さ1mmの平底穴がありますので、これを穴の反対面から5MHz振動子直径10mmの垂直探触子で狙って、底面エコーと平底穴のエコーが分離できるのか試してみました。

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Cimg3355 まずは平底穴のない場所での探傷波形です。送信パルスと15mmの底面からのエコーが表示されています。

Cimg3354 次は、直径2mm深さ13mmの平底穴の上に探触子を置いた場合の探傷波形です。2つのエコーが明確に分離して見えます。

Cimg3356 さて距離差が1mmで波長より少し短い直径1mm深さ14mmの平底穴の上に探触子を置いた場合の探傷波形です。穴からのエコーが反対面のエコーに埋没されて2つのエコーとして分離して見えません。

医用の超音波検査では、1/4λ程度まで分離できるものが出ているそうです。へー!パルス波の中の波の数が少ない広帯域探触子でも使えば、5MHzで1mmの距離差程度は分離して表示できそうですが、1/4λまではどうなのでしょう。波形を観察するというところではこの域までの分離は無理でしょう。
波形を解析することで、二つのエコーを分離できるのでしょう。
波形をデジタルデータとしてコンピュータの中に取り込んでいるデジタル探傷器では、解析ソフトウエア次第で可能になるのかもしれません。医用の超音波検査は当たり前のようにデジタル化されています。
Cimg3362 ソフトウエアを使って解析なんて手の込んだことはできませんから、ここは簡単な確認を行ってみましょう。通常超音波探傷のAスコープでは、全波整流をして表示していますが、半波整流してみました。直径1mm深さ1mmの平底穴からのエコーを深さ15mmの底面エコーと分離して表示することができます。

超音波探傷の高価な装置や探触子を持っている人にとってはもっとスマートな説明することができるでしょう。普及版の探傷器と探触子しか持たない条件での確認と理解してください。

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