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CIW見解について その3 ねじ部の探傷

非破壊検査できずを検出する場合、きずが存在する事によるシグナルを捕まえる事と同じぐらいきず以外の原因による錯乱要因(ノイズ)を少なくして見極める事が重要になってきます。

ねじ部の探傷は、磁粉探傷(MT)でも浸透探傷(PT)でもねじそのものがきずを検出する事にとってノイズとなる擬似指示模様を作り出す要因になります。

Rumps

CIWの実証実験のレポートに掲載された写真は電磁石の一方の極をほとんど点接触になるような不安定な状態でねじ部に接触させていました。これでねじ部の探傷というのはいかにも乱暴であるという事で、私は意見書にその旨を書きました。I氏も同様の意見でした。これに対するCIWの見解は、つぎのようなものでした。

「これらを含めて3氏のご意見は技術的にはそれぞれ正しいものであり、当委員会があれこれ申し上げる立場にはありませんが、『今回の実験の前提条件』(RUMPES Vol23 No2 Spring 2009)を見直していただくとなぜ極間法を採用したかごりかいいただけるとおもいます。」

意味不明な展開になっています。極間法を採用するとしてもその仕方がまずいのではないか、という意見に対して「技術的には正しいが」極間法を採用したのにはそれ相応の事情があるのだ、といいたいようです。これは論点をすり変えです。技術的には正しいが実際上は適用できないでしょう、といいたいのでしょうが、実際上適用できない技術的正しさなどないと私は理解しています。技術とはそういうものでしょう。技術上正しくないやり方でも諸般の事情があるから仕方がないのだ、という考え方だとしたらそれは間違っていると思います。

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私は、極間法を採用するにしてもねじ部に直接磁極を接するのではなく冶具を工夫すべきだと主張しました。適当な冶具が作れない段階では「水型エアゾール洗浄剤を使った水洗性浸透探傷試験」を選択する余地があることを提案しました。
これに対しては、次のような見解が示されています。

「コースターの材質が鋼であり、また疲労き裂の検出を第一にしている事から、当委員会では『PTよりはMT』との全員の意見でした」

一般論の話として、鋼ではPTよりMTのほうが検出感度が良いのは事実です。しかし鋼の疲労き裂の検出にはPTを使わないという認識は間違っています。MTでも試験体の形状や現場の条件によってきずの検出がままならない場合があります。その場合、次の手段としてPTを選択する事は実際の現場ではある話です。
ねじ部に直接磁極を当てるやり方であってもMTのほうがすぐれていてPTは考えない、というのが「全員一致」というのには少々驚きました。誰もいないのですか?!

あまりのズレに、当初私は戸惑いました。ふと思ったのは、CIWの方々はねじ部の探傷を想定していないのでは、人工きずを入れた平行部と段付部のR部にあるきずを検出する事だけを考えているのではないか、ということです。私は、ねじ部の探傷を想定してそこでの錯乱要因(ノイズ)の排除の必要性から、指摘をし提案をしています。ねじ部を想定しなければ確かに私の提案は意味がありません。この推測が正しいとすれば、問題点は「CIW見解について その2」に集約される事になります。

私は実際的に分解したコースター軸の極間法による探傷でこうすればいけるのではないかという見当をつけてこちらの記事にしています。

最後になりますが、CIWによる実証実験とその結果の公表は、次のような意義があったと考えています。

(1)日本工業規格(JIS A 1701)には年に1回以上「超音波探傷、磁粉探傷、浸透探傷」のいずれかを実施するようにという規定でしかなく、どの方法が有効なのか、具体的な手順はどうするのかは規定されていない中で、具体的な探傷方法に非破壊検査技術者の側から踏み込んだ事。

(2)JIS A 1701ではUT・MT・PTのいずれかとなっている中で、分解せずに端部からのUTではきずを検出できない可能性があることを指摘した事

(3)非破壊検査の実施に当たっては良く検討された手順書の作成が不可欠である事

以上の点を権威ある非破壊検査技術集団が公にした意義は大きいと思います。それだけに問題点は改めて、前に進めてゆきたいものです。

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非破壊検査」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。CIWの正式版レポートを読みました(→ http://www.ciw.gr.jp/C.pdf )。斜角探傷していたのにはガックリきました。
でもフィレットロール加工時のクラックを見つけるには、探傷領域が確保できれば、いい方法ですね。接触媒質は切削油ではマズイかな…。
脇道にそれたコメントで失礼しました。

投稿: niwatadumi | 2009年10月28日 (水) 00時03分

情報有難うございました。
さっそく読みました。コッターピンの穴の件が斜角探傷のところに出てくるなど細かいところで?はいろいろありますが、基本的なところでは今までに書いてきた事に特に付け加えることはありませんね。

投稿: SUBAL | 2009年10月28日 (水) 00時32分

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