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JR西日本の事故調査妨害とNDIの教育記録偽造

 JR西日本が会社ぐるみで、福知山線事故に関する事故調査委員会に買収行為までしていたことが発覚しています。
 私は、現在の日本では事故が起きると、業務上過失致死罪で誰かを挙げることが最優先されて事故原因の究明が後景に追いやられる仕組みになっていることが良くないと思っています。航空と鉄道は事故調査委員会があって、他の分野よりは事故を教訓化してゆく方向になっているといえます。
 私は、ある意味事故を起こすことよりこうした事故調査に関する妨害行為のほうが罪が大きいと思うのです。この件は、謝って済ませる問題ではないでしょう。事故原因を明らかにして将来の事故を防ぐ行為は重要な公共的行為です。道義的な責任という以上に、公務執行妨害といった犯罪行為であることを明確にしなければならないと思います。
 買収金額が10万円というのも唖然としました。事故調も安く見られたものです。

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 JSNDIのホームページを覗いたら、「訓練実施記録」に関する不正があったことが公表されています。こちら
 非破壊検査の資格試験を受けるには定められた訓練を受けることが必要で、その証明として訓練記録を提出しなければなりません。私も実際に教育訓練をして訓練記録を発行しています。
 なぜ資格試験で受験要件として訓練を受けることを要求するするのかといえば、学科と実技の試験だけでは有資格者の技量を担保できないということでしょう。
この「訓練実施記録」は、不正発行をする人は出てくるだろうなぁ、と思っていました。先日話題にした「モラルハザード」に当たるところが制度的にあります。
 ただ、今回の件で驚いたのは、首謀者と公表されている人が、「認証事業従事者として活動していた者」だということです。ややこしい言い方ですが、要するに試験官ですよ。不正を排して適正な試験を実施して技術者の技量を一定水準に保つ責任ある仕事が認証事業従事者の仕事です。
とんでもないですよね。
Jsndied  この人に対する処置が、資格および資格申請資格の2年間停止、認証事業本部内の委員会の就任資格2年停止・・・というものです。
 氏名の公表もなく、たったこれだけですか。2年後には資格試験の試験官に復帰する可能性を残すということですよね。認証事業からの永久追放がなぜできないのでしょう。
酔っ払い運転を取り締まる警察官が酔っ払い運転をしてひき逃げをしたら、二年後に酔っ払い運転を取り締まる検察官に復帰する道を残すのですか?

多分、実際には今後この人が認証事業本部内の委員になることはないのだ、ということでしょうが、氏名が公表されていなく2年後には復帰することを許すと公表している以上、2年後にはこの人が試験官の中にいると想定するのが普通の考え方です。

 こんな安直な不正をする人に、懸命に勉強をして生活をかけて受ける試験の管理をされているとしたら、その可能性があるとしたら私はたまりませんね。
この件は、不正をした人に対する処置だけでなくJSNDIの認証委員会が委員会としてこの様な人が認証事業に携わっていたことについて見解と再発防止策を示すべきだと思います。

こんな処置は、私はおかしいし、将来に禍根を残すと思います。

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コメント

こんにちは。私もJR西日本の問題は謝ってすむ問題ではないと思っています。遺族の方々はなおさらでしょう。商品を売っている会社なら不買運動などで抗議できるでしょうが、公共機関だとそういうわけにも行きません。だからこそ、より高い技術者倫理が求められるべきだと思うのですが…。

投稿: KADOTA | 2009年10月17日 (土) 22時52分

このような意図的な妨害行動に対するペナルティーがいかにも軽いと思いますね。
「組織防衛」というお題目でこうした行為を正当化して、組織をドンドン悪いほうに導く「指導者」なるものがどこにもいるようです。

投稿: SUBAL | 2009年10月17日 (土) 23時31分

>航空と鉄道は事故調査委員会があって、他の分野よりは事故を教訓化してゆく方向になっているといえます。
鉄道における事故調査委員会形式の判断は、本邦特有のものです(裁判形式のほうが普通)
航空機の場合はご存知の通り事故を教訓化してゆく方向の指針が世界的に明確になり、鉄道がそれにならったものですが、世界の標準どおりにいかないのは、本邦では事故責任から個人補償金額を算定する視点がきわめて厳しく、真実を見いだすことが倫理的や技術的視点であっても、いえない視点もあるようです。
明らかにできないことですが、他の事故でも類似事象はあると聞いています。

もっとも、
>商品を売っている会社なら不買運動などで抗議できるでしょうが、公共機関だとそういうわけにも行きません。
このような事例の場合競合の民営交通があり、立ち去りができるという地域だから、不買運動で抗議できるという視点はあります。その昔は路面電車の不乗うんどうというのもありましたし。けど、免許制度という制限下で行なえるかというとこれは変。そもそも公共交通が完全民営の公開会社とする場合の考え方などが、得失を議論していないといううらみもあるんですが。

投稿: デハボ1000 | 2009年10月20日 (火) 02時12分

JR西日本幹部の一連の行動は、デハボ1000 さんが指摘する状況をよく読んだうえでのことなのでしょうね。その意味では頭が良い人たちなのでしょう。多少非難を浴びたといっても、半月もすればほとんどの人はわすれてしまいますでしょう。ばれたからと言ってたいしたリスクではないのですから。
事故が起きたときに誰か見せしめにするのために「罪人」を探しするという社会習慣をなくすことと平行して、原因究明活動を妨害する行動が大きなリスクを伴うといった何らかの仕組みが必要なのではと思うのです。

投稿: SUBAL | 2009年10月21日 (水) 00時57分

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----------引用(一部匿名) JR西、組織的に委員に接触=東京副本部長も事故調元部会長に-福知山線事故 9月27 [続きを読む]

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