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ボルトの磁気特性と磁粉探傷

今日は、ブログ読者の方に教えていただきたい事があって記事にしています。というのは、世の中にボルトやねじは数え切れないほどの種類がありますが、ボルトやねじの磁気特性に関するデータについて実際に測定され活用されているケースはどの程度あるのか、ということです。

この間、ねじ・ボルトの探傷について考えています。いろいろな考え方があるのは了解できるのですが、以下に示す例について発想の前提条件が疑問になってきたのです。

日本非破壊検査協会(JSNDI)が発行しているテキストや資格試験を目指す人のための問題集にボルトの探傷について掲載されています。その中のひとつ、「磁粉探傷試験 問題集 2009」P204にレベル3の2次試験C3手順書の問題が示されています。同様の記述がレベル3のテキストにも記載されています。

Boltbh 仕様書(発注側が示す技術文書)に基づいて手順書(受注側が提出する技術文書)を作る問題です。保守検査で検査対象は、高張力ボルト 50本 直径20mm 長さ150mm。仕様書には高張力ボルトの磁気特性として左図のB-H曲線が仕様書として与えられています。

解答例として、長さ300mm、直径100mm、巻き数6回の固定型コイルを使う磁粉探傷・残留法を適用するとして、B-H曲線から飽和磁束密度と比透磁率を読み取って、そこから磁化電流値を1190Aと算出しています。

この解答例に、なんだか変だなという感覚を持っています。最大の疑問は、ボルトの磁気特性曲線そのものなのです。そこで、もしご存知の方がおられれば教えて欲しいのです。

B-H曲線というのは材料の磁気特性示し、磁性材料に磁界(H:横軸)を与えて磁束密度(B:縦軸)がどのようになるかの関係を表したものです。磁束密度は磁石としての強さと考えて良く、磁界は電流によって生じる磁界を使いますので、電流に換算して理解する事ができます。

鉄鋼材料の磁気特性は、炭素含有量・熱処理・冷間加工度によって変わります。通常材料をリング状に加工して測定します。

私が知りたい事ですが、

(1)検査を仕事にしている方で、ボルトの検査で客先から検査対象のB-H曲線を提示されるという経験がある方はいらっしゃるでしょうか。

(2)ねじ・ボルトのメーカーもしくは取引をされている方、あるいはそのあたりの事情に詳しい方、通常使用されるねじ・ボルトで磁気特性(B-H曲線)のデータがあるものはどのくらいあるのでしょう。

私の経験の範囲では、ボルトの検査の際に客先からB-H曲線を与えられるということはありません。

私は、ボルトの磁粉探傷で磁化条件の重要な要素である磁化電流値をB-H曲線から計算によって求める事に疑問を持っています。JIS Z 2320-1の趣旨とも異なるのではないかと思っています。その前に、ボルトについて通常B-H曲線のデータが、世の中にあるものなのか、ぜひ知りたいのです。私が田舎住まいでこうした取引に無知なだけなのでしょうか。

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コメント

おはようございます。
「検査を仕事にしている方」への問に回答します。
ボルトの検査でB-H曲線が与えられたこともなく、また客先のサンプルを用いてB-H曲線を作成したこともありません。
それは、自分たちの仕事でボルト単体の試験を依頼されたことはなく、構造物全体の調査・検査で構造物の一部を構成するボルトの健全性を確認するとか、建設機械・車両の健全性の確認のためにその一部を構成するボルトの検査を行うということのためかもしれません。
また、ボルトの用途から検出すべき欠陥がボルトの軸方向に対して直交する方向の亀裂ということと、現場で実施することが多いため工夫して極間法を適用することになります。
検査の発注者の仕様としては、過去の事例等から「使用中の亀裂を検出すること」程度でしかありません。
そのため、検査を行う側としても、B-H曲線について留意することはありません。
それよりも実際に発生した亀裂を確実に検出できる方法を適用することを模索することになります。
ただし、必ずしも亀裂のサンプルを客先が用意しているとは限らないので、最大限検出できる方法を想定して、そのなかで亀裂を見つけることが多いです。
他の非破壊試験方法(UT,PT)を併用することは多いです。
とくに、ボルトを組み込んだ状態でUTを行い、亀裂が疑われる例に関してMT・,PTを行なうということが多いです。(ある程度の深さの亀裂ならUTで検出できることは事前に確認しています)

投稿: Ikegaya | 2009年11月 9日 (月) 06時15分

有難うございます。
想像通りでした。
ボルトの用途にとって磁気特性が問題になるケースはほとんど無いと思います。用途にとって必要のないデータを磁粉探傷のためだけに客先が持っていて、検査屋のために提供するという設定が現実的と思えないのです。
客先の担当者が非破壊検査技術に精通している場合も少ない。ちょっとかじった人は一知半解、偏見かもしれませんが私の認識です。仕様書で、B-H曲線のデータを示されたら、そのデータの信頼性を確認するほうが磁化電流値を計算するより優先されるべきと思います。ある程度信頼できるデータだとしても、計算後はテストピースで確認する行為が必要でしょう。示されたB-H曲線から磁化電流値を計算してそのまま探傷条件にするというやり方は私のセンスからは大きく離れています。
私がずれているのでしょうか。

投稿: SUBAL | 2009年11月 9日 (月) 22時40分

こんばんは。
ねじのように大小の径が入り組んだ形状でテスラメータの数値も怪しく思われるような品物を磁粉探傷するのに、いくら同材質とはいえ勾玉のような反磁界補正不要のB-H測定用リング状試料から得たデータは鵜呑みにはできないと考える一人です。
有限要素法による計算でボルトの「等ベクトルポテンシャル線図」を見てみたいですね。

投稿: niwatadumi | 2009年11月10日 (火) 23時53分

そうなのですよね。磁気特性は合金成分だけでなく熱処理や加工の仕方によっても変わってくる、B-H曲線が提出されたとしてもどのようにして得られたデータなのか、私には疑問に思えます。それから磁化電流値を計算して、そのまま探傷条件とするというのは、非破壊検査技術とは何とお考えですか、と問いかけなければなりません。問題集の解答例は、私が試験官なら不合格にしたい内容です。
ねじを残留法でMTを行うならば、磁化電流値など怪しげな計算などしなくてもそう難しくなく時間もかかることなく求める事ができますよ。ねじ部に擬似磁粉模様が出る事を利用すればよいのです。

投稿: SUBAL | 2009年11月11日 (水) 00時18分

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