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ステレオフラクトグラフィー

 札幌のジュンク堂で、多分道内ではここにしか置いていないだろうと思われる面白い本を見つけて購入しました。駒井謙治郎著『ステレオフラクトグラフィー』です。

 「フラクトグラフィーとは、破断面の調査から破壊の機構に関する知見や破壊・破損事故の解析を行うもの」(養賢堂の同書紹介ホームページより)で、この本では破断面の立体写真がその解説とともに豊富に掲載されています。おまけにステレオビューワという名のアクリル製のめがねがついています。

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 この本に掲載されている電子顕微鏡写真は、ステレオビューワで見ると立体的に浮かび上がってきて、新鮮な驚きがあります。

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 立体写真の手法は、よく知られている平行法を使っているようです。電子顕微鏡の撮影では、8度の回転角をとって撮影したとのことです。
 光学顕微鏡と違って電子顕微鏡(SEM)は焦点深度が深いと言うか、基本的に距離によってぼけることがないために写真から立体感をつかむのは難しい場合があります。
 本書掲載の写真をここにスキャンして載せるのはまずいでしょうから、私がShadeで描いた絵で説明します。下図右側の絵ではどういう形のものか想像は難しく、いくつかの見方が出てきそうです。しかし、左右2つの映像をそれぞれの目から取り込んで脳の中で合成(立体視)すると、四角いブロック状の形が見えてきて、なにやら透明感が出てきます。

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 電子顕微鏡写真ではこの立体視という手法が有効であることを、本書掲載の写真を見ているとある種の感動をもって理解できてきます。極論を言えば、電子顕微鏡での破面撮影では、ステレオフラクトグラフィーの手法で撮影する事を標準にすべきではないかと思えるほどです。今度SEMの撮影の機会にはぜひ挑戦してみたいと思います。

道具なしでも立体視はできますが、訓練が要りますし、脳の中でスイッチが入るまでに時間がかかります。 その点このステレオビューワは、労なく立体視ができます。私は、本を開いて、曲がっているページをなるべく平行にするように押さえつけながらめがねの位置を調整するのが面倒なので、スキャナーで写真を取り込んで、Microsoft Office Picture  Managerのプレビューで表示させて見ています。快適です。

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この本の目次は以下の通り。

1.フラクトグラフィー技術
2.フラクトグラフィーのいろは
3.衝撃破面の特徴とその解説
4.疲労破面の特徴とその解釈
5.応力腐食割れ破面の特徴とその解釈
6.先端材料の破面の特徴とその解釈
7.事故解析

筆者の駒井謙治郎氏は元京都大学教授。私は、平成18年のJSNDI春季大会で「ものづくりと失敗学」と題した特別講演を聴いたことがあります。当時は福井高専の校長をされていました。

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コメント

こんばんは。
思わずネット注文してしまいました…(奥さんの機嫌が良くて幸いでした)。
10年以上も前の本にもかかわらず店頭に並んでいたということは、根強い需要があるということでしょうね。Amazonではひとまず最後の在庫を注文できました。
今でこそステレオビューワも安く手に入りますが、この頃だったら書籍代の3割くらいはしたのかなあ。
スキャナ取り込み方式、真似させていただきます。

投稿: niwatadumi | 2010年3月 7日 (日) 23時14分

私の場合も、店頭での衝動買いですが、フラクトグラフィーの勉強という意味でも、今後3D画像として記録に残して置こうと考えさせられたという意味でも良い本を手に入れたと思っています。
ページ数の割には値がはるように見えますが、3500円は一度飲みに行くと消えてゆく程度のお金ですからね。
ステレオビューワを入れてあるために、ハードカバーの表紙が曲がってしまっているのが欠点といえば欠点ですが・・・。

投稿: SUBAL | 2010年3月 8日 (月) 02時57分

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