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事実確認不要の失敗学?

 あなたは問い合わせに対する返事をどのくらいの期間なら待てるでしょうか。
 私は気が短いのかもしれませんが、半年では許容範囲を超えます。昨年(2009年)11月1日に、科学技術振興機構の「失敗知識データベース」に事 例として記載された記事(エキスポランドジェットコースター事故)に関して事実誤認があり、それに基づく失敗の教訓化も違うことをメールで伝えました(こちらの記事)。それに対して、翌日に次のようなとりあえずの返信をもらっています。

***********************
失敗知識データベースをご利用いただきありがとうございます。

ご指摘ありがとううございます。データ作成者に報告させていただきます。
また、委員会の場で畑村統括ほか各先生方にも紹介させていただきます。

今後とも失敗知識データベースをよろしくお願いします。

失敗知識データベース事務局

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 その後、半年が経過しましたが、何の返信もありません。「偉い先生方」がやっておられることですから、それはそれでいたし方がないことなのかも知れません。

 ただここで指摘しておきたいことがあります。このメールを出すときにあった問題意識のひとつでもあります。それは、失敗知識データベースを作成している方の中に、事実に向き合うことを軽視して「記事」を書き、「教訓化」をしているグループが存在するということです。その一例が、4年前に書いたこの記事です。単純な事実誤認ではなくて、失敗事例に対して「瑣末な事実にとらわれない」とすることから「事実に踏まえないアプローチも可とする」ところまで延長されているように見えます。すでにある問題意識から事実をなで切るといういわば「答えから問題を解く」というやり方です。

 2007年5月5日に大阪吹田市で起きたジェットコースター車軸破断事故は、事故原因の解明はあいまいなまま、エキスポランドの閉園と現場責任者の刑事責任を問うだけで終わってしまっています。いかにも日本的といえばそれまでかもしれません。

 このブログでは、事故直後からこの問題を取り上げてきました。科学技術振興機構のもとで行われている公的なデータベースが、事実誤認のままそれを指摘されても無視していることには正直腹立たしいものがあります。「失敗知識データベース」の趣旨には賛同し期待しているだけに、残念です。現場の瑣末な現実そのものに思いを馳せて、そのわずらわしい現実の中から事の核心を見いだすことこそが知性の剣だと私は考えています。そうしたことを無視する学者のおしゃべりには、異議を申し立てます。畑村先生、あなたもなのですか。

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科学技術」カテゴリの記事

コメント

このブログのおかげで、ジェットコースタ事故の失敗知識データベースを読む機会ができました。データベースでは、1.無知。2、知識不足が原因と書いていますね。
 データベースに関する
 感想 1は、
技術者・研究者は新聞記事のみで評論してはならない。まして著名な学者?だそうですね。強度や破壊の学会で論文を見たこともない方です。
 感想 2は、無知と知識不足の人の意見です。
少なくとも、どのような材料にどのような力がかかり、ねじが緩んだか、疲労破壊が生じるような応力が生じたか定量的な解析が必要です。その結果、知識データベースができるはずです。

投稿: K.Hirakawa | 2010年5月 6日 (木) 08時04分

お久しぶりです。
「失敗知識データベース」のエキスポランドのジェットコースター事故のデータベースに関して、非常に呆れています。
少なくともデータベースの内容に誤りがあるという指摘があるなら迅速に回答するのが、当たり前のことと思います。(迅速にというのはメールだってあるのだから遅くても1ヶ月ぐらいと考えますが)
正しい「失敗知識データベース」になることを願って下記のメールをJSTに送りました。


失敗知識データベース事務局、JSTの担当者様


「かたちのココロ」というブログで、「失敗知識データベース」のエキスポランドのジェットコースター事故に関して、データ作成者が張田吉昭 (有限会社フローネット) 畑村洋太郎 (工学院大学)という内容に関して大きな間違いがあるという指摘があり、ブログの筆者が「失敗知識データベース」に問い合わせたところ2009年11月に筆者に下記のような回答が寄せられたそうです。

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ご指摘ありがとううございます。
データ作成者に報告させていただきます。
また、委員会の場で畑村統括ほか各先生方にも紹介させていただきます。
今後とも失敗知識データベースをよろしくお願いします。
失敗知識データベース事務局 < shippai@jst.go.jp >
******************************

ところが、その後何の音沙汰もなく再度2010年5月に下記のような回答が筆者に送られて来たとブログで見ました。

******************************
失敗知識データベースをご利用いただきありがとうございます。
ご指摘ありがとううございます。データ作成者に報告させていただきます。
また、委員会の場で畑村統括ほか各先生方にも紹介させていただきます。
今後とも失敗知識データベースをよろしくお願いします。
失敗知識データベース事務局
******************************

「失敗知識データベース」では、内容に大きな誤りがあるというような指摘を受けた場合に、誤りがあるかないか迅速に確認しないのでしょうか?
第1回のメールで「データ作成者に報告させて頂きます」とあるのですからデータ作成者からは何らかのコメントがあると思うのですが。
少なくとも、責任のある立場の人が作成したデータベースに関しては、誤りの指摘が正しいかどうか迅速に対応する必要があると考えますが。
また、内容に誤りがあるのならば迅速に訂正を行なう必要があると思いますが。
このように長期間にわたり外部からの指摘を無視していた理由はあるのでしょうか?

なお、私も「失敗知識データベース」のエキスポランドのジェットコースター事故に関する内容は重大な誤りがあると考えています。

投稿: Ikegaya | 2010年5月 6日 (木) 18時34分

K.Hirakawaさん

「知識不足の人の意見です。」という御意見にはほぼ賛成です。私が指摘したこととの関連で言えば、機械図面がまともに読めない程度と思われます。
そうした基本的な素養が欠如したところでの思い違いでしょう。勘違いや思い違いは人間のやることですから、ありうることと容認したいです。ただ間違いを知った後どうするのかで、このデータベース作者は失格だと判断します。
私は名もない田舎ものですから、どこそこの学会に論文を出しているか否か、「権威」か否かは考慮の外にしています。

投稿: SUBAL | 2010年5月 6日 (木) 20時29分

Ikegaya さん

援護射撃ありがとうございます。
2ヶ月が過ぎたあたりで、これはだめだなと思いました。それでも半年は待とうと決めました。事故後3年が経過したところで、記事にしました。
「失敗知識データベース」を構築していくことには大賛成なので、前向きの議論になればという想いで、批判のトーンも確認が得やすい「事実誤認」に絞って下げていました。
率直に言って、この件に関する記述は、お話にならないくらいでたらめです。しかも根っこは深そうなのです。それでも、あきらめずに前向きに行きたいと思います。
Ikegaya さんの記述で、5月にもう一度メールが来たと書かれていますが、これは誤解です。失敗知識データベース事務局からの返信は、昨年11月2日の1回のみです。

投稿: SUBAL | 2010年5月 6日 (木) 20時41分

池ヶ谷です。
指摘の件、早速訂正のメールを送りました。
どうも、年をとると思い込んでしまうことが多いようです。
JSTにメールを送ったのは、一般的に「失敗知識データベース」は私達の業務に不可欠なものと考えています。
それが私達の業務にとって有用なためには、正しい情報が提供される必要がありますが、正しいためには他者の批判に耐えるものということになりまし、もし、間違いがあれば迅速に訂正されることと考えます。
それなのに、外部の疑問に対して6ヶ月以上放置していることは、そのデータベースの信頼性に関わる問題と思います。
ブログで話題になっているだけではだめと考え、データベース運営者に問合せました。

投稿: Ikegaya | 2010年5月 7日 (金) 07時43分

データベース作成者の方が、思い違い考え違いを訂正する勇気と責任感を持っていることを期待したいものです。

投稿: SUBAL | 2010年5月 8日 (土) 01時16分

一時、某官庁の委託研究員ということをしていました。そこでみたことから、今回の件を感じたのは
(1)事務局が意見をくみ上げるか否かの采配を握っており、受け取っていて審議会に諮らないか、図っても埋もれる資料配布をする可能性がある。だから具体案件が専門家にわたっていない。
(2)予算執行の面から、継続的にこの内容を維持できるスキルのある管理人材を配置できていない。
(3)専門家のなかにも、あくまで意見を言うだけでという責任感が薄い人もいるようだ。
という可能性です。
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このDBに関しては、個々技術の専門家というより、設計手法の研究などいう教育的な視点を持った人を使っている節もあり、そういう意味では結構間抜けな議論構成をしてるというのは、つくづく感じております。しかも、現場への調査活動が政策的にせよ予算的にせよなされないなら、あえてDBに入れない選択があってしかるべきです。(しかし、この取組自体は内外の事例が少なく、貴重ですが)
だからそういう要望があれば採否にかかわらず事務局が「設計者の意思を理解した」取り扱いをするべきで、私個人は承ってから長期に採否を連絡しないという、事務局側の体制に憤りを覚えます。
私見、乱文ごめんなさい。

投稿: デハボ1000 | 2010年5月 8日 (土) 01時58分

 今回のケースの場合、事務局の怠慢で私からのメールの内容がデータ作成者に伝わっていない場合と、伝わったけれどデータ作成者が無視または放置した場合が考えられます。
 どちらかはわかりかねますが、私の勘では後者ではないかと思っています。
 事務局の返信メールは翌日ですから迅速であるといってよく、その中にはその後事務局がとる行動について具体的に書いてあります。そのうち、「データ作成者に報告させていただきます。」というくだりは、私からのメールを転送するだけでよいわけで、少なくともそれぐらいはしたであろうと推測しています。
 どちらにしても、公開している失敗事例に対する対処の仕方の「失敗事例」であることは間違いないでしょう。失敗事例として分析される当事者としての気持ちを味わって、的確な分析と対処行動をとってくれることを期待します。 

投稿: SUBAL | 2010年5月 8日 (土) 02時34分

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