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失敗知識データベースへの苦言

 失敗知識データベースに掲載された「エキスポランドジェットコースター事故」に関する記載について誤りを指摘して、半年が経過してようやく先方が誤りを認めてデータの訂正を表明されました(こちらの記事)。その後半月が経過しますが、データ作成者からの連絡は何もありません。今日現在もデータ記載は以前のままです。感覚的にはずいぶんとずれがあります。私が世間常識とずれているのでしょうかね。
 私がこの問題をしつこく取り上げているのは、単純に図面の読み違いから間違った図を掲載したのがけしからんということではないのです。問題は、誤った認識を確認もせずに「事故原因」としてしまったアプローチの仕方に、どうしても納得がいかないからなのです。たとえ図面を読み違ったとしても、それを事故原因をすることには大きな飛躍があるのです。
 事故原因としてしまった事実が間違いだと気づいて、本当の事故原因は何なのだろう、と考え調査し始めたならば、一からのやり直しに近いですから、そう簡単ではないことは想像できます。だとすれば、少なくともすぐやるべきことは、断りを入れてこの記事の掲載を削除するか、あえて掲載し続けるのなら「記載には重大な誤りがあります。現在訂正のために調査中です。」といった注釈を入れることです。なぜそれすらしないのでしょう。5分もあればできることです。

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 繰り返し述べていますが、失敗知識データベースを構築されている方々には敬意を持っていますし、優れたデータもたくさんあり、勉強もさせてもらっています。
 しかし、中にこのような記事があることはとても残念なのです。
 エキスポランドの事故に関しては、いまだに本当の原因は分かっていません。このまま迷宮入りしてしまうではないかと危惧しています。
 そうした中でたとえば、『再入門・材料力学』の筆者である沢俊行氏は「事故原因は『ナットを適正に締め付けていなかった,あるいは長期間の使用中に緩んだ』ことにあるのではないかと,筆者はにらんでいる。」と述べて、ボルトの締め付けとその疲労強度への影響について知見を展開しています(こちらの記事)。
 その上で、「無論,現時点では今回の事故原因がナットが緩んだこと,ナットが適正に締め付けられなかったことにあると確定したわけではなく,全く別の要因が潜んでいる かもしれない。しかしここで,ボルト・ナットの緩みに関する正しい知識を養い,今後の設計に生かしていくことは決して悪いことではない。」と結んでいます。
 その推論の正否はとりあえず置くとして、知見に基づく推論と、事実に基づく事故原因の解明とを区別して、他山の石として学ぶべきことに関して意見を述べている点で、沢氏の姿勢が私は正しいと思います。
 失敗知識データベースの作者は、ここに失敗しているのではないか。新たにデータベースを作り直すのであれば、そこの反省が必要なのではないのか。

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