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八幡橋 その2 鋳鉄と錬鉄

 日本最古の鉄橋である八幡橋、1977年に国の重要文化財に指定され、また1989年には米国土木学会から「栄誉賞」を受けています。 

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 近くにある案内板によると、上弦のアーチ部分が鋳鉄(Cast iron)製で、引張材は錬鉄(Wrought iron)を使っているとのことです。

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 どこが引張でどこが圧縮になるのか、

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 橋のトラスを見慣れている人にとっては、解析しなくても見るだけで分かりますが、名工大市之瀬研究室のHPで公開されている「トラス解析ソフト」を使って解析してみます。 

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 拡大します。

Hachiman_br

 赤い部材が圧縮、青い部材が引張です(軸力を現す数値のプラスが引張・マイナスが圧縮)。

 上のアーチになっているところが鋳鉄で、下のリング状になっているところそれに斜め材が錬鉄でできているということでしょう。鋳鉄部分は座屈(Buckling)しないように断面二次モーメントが大きくなるように断面形状が工夫されていますね。

 鋳鉄は炭素含有量が高く、融点が低いために鋳造しやすい材料です。鋳鉄にも色々ありますが、一般にもろく靱性に乏しいために亀裂が生じると簡単に割れてしまう性質があります。圧縮材として使うには良いとしても引張側に使うのは危険です。

 それに対して錬鉄は、銑鉄の中から炭素を取り除いて作られるやわらかく靱性の大きい材料です。炭素含有量で言うと、錬鉄と鋳鉄との間にあるのが鋼(Steel)です。近代の鉄橋の多くは、引張に強い鋼の性質をうまく利用したかたち(構造)になっています。案内板にある「近代橋梁史上価値の高い橋である」という表現もそのような意味なのでしょう。

 八幡橋はペイントをしてありますから、部材の肌や色を直接確認することはできません。

 なを鋳鉄の音速についてniwatadumiさんのHPに記事があります。八幡橋に超音波探傷器か超音波肉厚計をもって行って音速なんか測定したら、怪しいおじさんになってしまうでしょうねcoldsweats02

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コメント

暑中お見舞い申し上げます。
また、拙記事へトラックバックありがとうございます。

この橋も定期点検がなされているのでしょうが、溶接部と見受けられる箇所は鋳鉄の圧縮部材だし、引張り側はピン接合ということで超音波探傷の出番はなさそうですね。ナット類のハンマリングや外観検査が主で、腐食があればそこでようやく超音波肉厚測定、でしょうか…。
架橋の時代を考えると点検通路は設置されていないと思いますから、足場架設も必要となれば点検費用はばかにならないでしょうね。
すみません、工事屋の目で見てしまっています…。

投稿: niwatadumi | 2010年7月26日 (月) 12時53分

niwatadumi さん

 ちょうどタイミングよく鋳鉄の話題になりましたね。
鉄の溶接はどのくらいからですかね。アーク溶接は19世紀後半からだと思いますが、錬鉄の部材は鍛接されたのだろうと見ながら考えていました。
 この程度の規模の橋の点検がどのように行われているのかは知りませんが、スパン16m弱、人が数人乗る程度の歩道橋として使われている現状では強度的には相当余裕があるのだろうと思います。
 130年前の橋を見ながらついつい亀裂の有無を見てしまうのは職業病かもしれません。

投稿: SUBAL | 2010年7月26日 (月) 19時36分

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