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ブログを使った航空工学本の共同執筆

 航空工学への入門書として発刊した「トコトンやさしい 航空工学の本」は私を含めた4名の共同執筆でした。いきさつはこちらの記事に書きました。
 共同執筆は、多方面の専門家の知恵を結集できるというメリットがある反面、内容・文体・トーンの不統一が起きがちで、寄り合い所帯のギクシャクが目立つ本もあります。また、一部の人の原稿が遅れて全体のスケジュールが狂うということも起きそうです。
 「航空工学本」の準備に入ったときに、そのあたりの事情に詳しい方から「密な打ち合わせが必要」というアドバスをいただきました。
 日本非破壊検査協会(JSNDI)が発行するテキスト類は、ほとんどが共同執筆で、私も「超音波探傷入門」と「超音波探傷実技参考書 デジタル探傷器篇」の執筆陣に入れていただいて体験していました。こういうのは、数回の会議(委員会)を経てトーンや内容を決めて、その後は執筆分担にしたがって書くだけです。それでもまとめ役の幹事の様子を見ていると、大変そうでした。
 「航空工学本」では、4人の居住区が米国西海岸・岐阜・東京・北海道とばらばらで、集まって会議などとてもできそうもありませんでした。居住区の地理的条件下で「密な打ち合わせ」をどのように実現するかが最初に解決すべき課題でした。

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 そこで、考えたのがNet環境の有効活用でした。メーリングリスト方式も考えましたが、ブログを活用できないかと考えて他のメンバーに相談しました。メンバーの中にコンピュータやネット環境構築に詳しいのがいて、彼が自宅のサーバーに会員制(アクセス制限のかかった)のブログシステムをすぐに構築してくれました。
 そのブログで、本の目的や目次の検討、分担の決定から議論してゆきました。その中で、最近多く発行されている飛行機に関するいわゆる雑学本とは一線を画して、若い人へのガイドとなる本を作っていこう、ということが話し合われました。若いメンバーの一人から「おもしろい 読みやすい 真面目な 良い本」を目指そう、という言葉が出てきて、それがわれわれのチームの共通スローガンになりました。
 「目次」ページを作って、原稿ができたらブログにアップして、目次ページからリンクできるようにしました。原稿のページにはコメント欄がありますから、コメントを書いてゆくことで、内容に関する議論をすることが可能になりました。同時に、進捗状況が一目で分かり、遅れているメンバーへの励ましや場合によっては余裕のあるメンバーがサポートにまわるということも可能になりました。原稿の修正履歴も自動的に残るようにしてもらいました。「原稿」というカテゴリーとその中の「第○章」というサブカテゴリーを選択して投稿することで、原稿は章ごとに自動的に整理されてゆきました。
 「執筆の手引き」というカテゴリーを作って、ここはメンバーの中で本の執筆経験がある私が、「文体」や文章の構成の仕方などなど、綴り方のガイドを書いてゆきました。読者の想定から始まって文体やトーン統一が目的です。原稿は書きなれないと最初の数行で行き詰るものです。ブログやメールで文章を書くのと本の原稿を書くのとでは、当然のことながら筆の重さは違います。本の原稿を書く一歩を踏み出す手がかりの提供が最初の仕事でした。改めて若い人に原稿の書き方を教えるという視点から書いてゆくと、試行錯誤の中で身につけてきた(と思っている)文章術を反省し整理する機会にもなりました。

 もうひとつ、「居酒屋」というカテゴリーを作って、原稿執筆と直接関係がない話題を投稿できるようにしました。編集委員会の後に、居酒屋に行ってわいわい色々な無駄話をするイメージです。「遊び」の要素がないチームは弱いと思うのです。

 もちろんすべて思い通りに機能したわけではありませんが、独自の共同執筆システムを作れたのではないかと自負しています。原稿締め切りに遅れるということはありませんでしたし、全体のトーンはほぼ同じレベルになったと自己評価しています。

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