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磁粉探傷の規格 ISOとJIS

 必要があってISO 9934-1"Non-destructive testing -Magnetic particle testing- Part1:General principles"を購入しました。磁粉探傷試験の一般通則です。
 JIS Z 2320-1がJISの磁粉探傷試験一般通則として2007年に制定されていますが、これはISO 9934-1をベースにしています。 

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 このJISとその解釈をめぐって私はいくつかの疑問を持っていまして、やはり原文を参照すべきと思ったからです。

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 ISOの規格も今は日本規格協会のHPからダウンロードで手に入れることができます。14ページで7560円です。1ページあたり540円(デジタルデータで)。
 邦訳版はありません。JIS Z 2320-1の一部がISO 9934-1の邦訳で成り立っていますから、邦訳版を出す意味がないということでしょう。私はJISにある解説頁のようなものがあるのではと期待したのですが、それはありません。内容としてはJISを参照すれば十分です。
ちなみにJISのハンドブック「非破壊検査」は2009年版で8700円。1474頁、1ページあたり6円弱です。ISO 9934の内容を知るだけなら邦訳のJIS Z 2320を読めばよく、原本は購入する必要はありません(ということを確認するための7560円でしたdollar)。 

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 JIS Z 2320-1はISO 9934-1を元に制定したといいながら、旧来のJISであるJIS Z 0565とずいぶん異なることからこれを併記したつぎはぎ規格となっています。
 直角通電法や残留法がISOには規定されていない、磁化条件の設定の仕方も使う道具も違っている・・・・等々の問題があります。私には、これら両規格の技術的違いをすり合わせる検討をすることなく単純に併記していることにJISの問題があると思います。すりあわせができないのだったらJIS Z 0565も残して、どちらの規格を選択するかは使用者に任せればよいのではないでしょうか。
 それをすることなく、ISO 9934-1の方式を「工程確認方式」、JIS Z 0565の方式を「標準試験片方式」と名前と定義づけをしてしまった。これはJISの勇み足だと思います。「工程確認方式」は定義はされていますが、名称とそれが意味する内容とは繋がりにくいと思います。
 「標準試験片方式」は「標準試験片(A形又はC形)を用いたきず検出性能試験によって、磁粉探傷試験の検査性能を確認する方式」と定義されています。
 これからすると、磁化条件の決定も標準試験片で行う方式のように読み取れますが、JIS Z 0565は必ずしもそうではありません。MTレベル3の問題集収録の 練習問題でも、標準試験片方式を採用しながら標準試験片を使わない手順書の例が示されています。

 ISO 9934方式と JIS Z 0565方式ということなのだからそのままの名前でいいのじゃありませんかね。妙な定義づけをするからおかしなことになる。

 過渡期の混乱はある程度やむをえないとして、磁粉探傷の最高レベルの教科書であるJSNDIのMTレベル3のテキストでは、そのあたりの技術的考え方をきちんと解説すべきである、と私は思います。JISは過渡期の産物であること、解決すべき技術上の問題点のありかと、その解決方法を示すべきです。でもレベル3のテキストには、レベル2のテキストにも書いてある程度のJISとISOの「相違」が記述してあるだけなんですね。しかもほんの少し独自解説をしているところで、大きく間違っている(こちら)。早期に改定をしてほしいものです。

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