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チリ鉱山救出劇とバスタブ曲線

 チリ鉱山の救出劇が連日報道されて、私もはらはらしながら見ていました。私は地上から救出するチームの救出装置とその使い方に注目していました。
 報道のように縦穴に通したパイプ(直径70cm 28インチ?)にフェニックスと呼ばれる直径(60cm)のカプセルに人を乗せて救出していました。
 当然といってしまえばそれまでですが、途中で引っかかってしまうことを想定して地上のモックアップを使って、さらに実際の縦穴を使って慎重に試験走行を行っていました。さらに、最初に人が乗るのはレスキュー隊員が下に降りるため、最初の救出者は何かあったときに落ち着いた判断ができると思われるサブリーダーでした。明らかにこうした装置には初期故障がありうることを想定した手順でした。
 故障率のバスタブ曲線といわれるものがあります。何でも良かれと思って作っても、思わぬ故障があるものです。新しいものは使いはじめに故障が集中するものです。初期故障が対処によって落ち着いてくると通常の使用期に入ります。この時期はあまり故障は起きませんが、一定の時間がたつとまた故障が増えてきます。車も新車のうちと走行距離10万キロを超えたあたりでトラブルが起きてきます。故障率と時間との関係をグラフにすると、浴槽の断面のような形になることから、バスタブ曲線といわれています。

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そして縦穴パイプとカプセル間の摩擦を低減するためにつけられた車輪については、数回に一度目視検査をするようになっていたと報道されています。目視検査も非破壊検査のひとつです。

 報道されていることには限りがありまだまだ色々あるでしょう。映画化の話もあるようですが、家族愛と英雄物語だけに終わらせないで、地上の救出プランとその実行チームにも光を当ててほしいなぁ、と思うのです。

 それと対比するのもなんですが、岐阜県の工場解体現場で起きた死亡事故(こちら)。正直言ってお粗末です。実は、私が現場にいたころ、石油貯蔵タンクの解体現場で側板が想定外の方向に倒れて作業員が死亡するという事故がありました。私は直接かかわってはいませんでしたが、身近で起きた死亡事故でした。

 解体作業の時には、倒壊することは当然想定しなければならないし、万が一の場合どちらに倒すかの想定はしておかなければなりません。壁一枚になる状態でワイヤーも張らず、近くを一般人が通るようにしておくなどということは論外です。論外のことをやっているから事故が起きたともいえるのですが、単純に監督の刑事責任を追及するのではなく、何ゆえそのような作業手順になってしまったのか、冷静な原因究明をしてほしいものです。

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コメント

SUBALさん おはよう

この救出劇は久々の「良い話」でしたが、この鉱山は何を掘っていたかをどのメディアも報道してくれませんでした。やっとどこかが、出費用16億円の2/3を「銅公団」が、残りを寄付でまかなうと伝えてくれました。
チリの天然資源と言えば、硝石と銅、このことは地理の授業で習った記憶があります。報道関係者はこんな基本的なことを気にしないのでしょうか?

CNNを見ると
>中国では毎年、炭鉱事故で数千人の死者がでている。
という凄まじいことになっています。

投稿: 271828 | 2010年10月17日 (日) 10時10分

チリではなく地理が不得意であった私は、チリの鉱物は錫だと思っていましたが、錫はとなりのボリビアでチリは銅なのですね。

今回の救出劇の前には落盤事故があったわけで、当然こちらの原因解明と適切な対策が必要なことは言うまでもありません。

私の育った時代地域は炭鉱と隣り合わせ、落盤事故・粉塵爆発事故などがありました。一定の時間がたち、取り残された人たちの生存の見込みがない状況であったとはいえ、坑内に水を入れる場面があったわけで、切ないものがありました。

この救出劇を見ながらその記憶がよみがえってきました。事故の要因はできるだけ上流でなくすことが肝要ですが、一旦事が起きた場合は被害を最小限にとどめるための知恵と技術があると思うのです。

そこは常に時間との勝負、迅速性が問われます。しかしどんなにあせっても踏むべき手順はきちんと踏む。同時にあきらめなければならないときもあるはずで、そのときの見極めと決断をする覚悟も必要なはずです。こんなことは事故を失敗事例として扱っていながら、誤りを指摘され認めても修正もせず放置し続けるノーテンキな学者先生には一生わかんないだろうな、と思います。

投稿: SUBAL | 2010年10月17日 (日) 13時07分

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