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渦電流の浸透深さと位相

 久々にソフトウエアを作りました。今回は「渦電流の浸透深さと位相」。

Eddy_current

 コイルに交流電流を流して金属に近づけると、電磁誘導で金属に渦電流が生じます。この渦電流を使ってきずを検出する非破壊試験方法が、渦電流探傷試験(ET:Eddy current testing)です。渦電流は交流の表皮効果で表面に集中して流れますが、その程度を示す指標に浸透深さ(Depth of Penetration)があります。浸透深さは、表面の電流密度の37%(1/e)になる深さです。
 浸透深さは、透磁率・導電率・周波数の積の-1/2乗に比例します。試験体の材質と周波数によって変わるわけです。このことを素早くイメージするためのソフトウエアです。

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 現在執筆中の本の挿絵として、指数関数的に減少してゆく電流密度の線と37%になる深さを示す線をペイントを使ってそれらしく描こうと試みたのですが、思うように描けません。そこで忠実な奴隷であるパソコンに描かせることにしました。数時間かかりましたが、できてしまうと、こんな絵が数分で作れます。材料と周波数の組み合わせで、色々な設定の絵がかけますから、説得力のある絵としてはどういうのが良いかこれから考えて見ます。

Depth_of_penetration ついでに渦電流の位相の遅れも表示できるようにしました。これによって浸透深さは位相の遅れが1radian(57.3degree)の位置であることが直感的にわかります。このような絵を描くのであればプログラミングをしたほうが早く綺麗です。

 今回も、新聞チラシの裏側に書きなぐったメモのようなソフトウエアですが、フリーソフトとして公開します。

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「EddyCurrent.zip」をダウンロード(Ver. 1.0.4)

更新情報

1) Ver1.0.3の浸透深さと電流密度の表現方法を変えました。理由はこちら。(Ver.1.0.4) 2010/11/23

このソフトウエアは下記の本で、「絵とき」をするために作ったものです。興味をもたれた方は、本も参照してください。

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コメント

こんにちは。自宅でDLできなかった(当方のセキュリティのセッティングが不適)ので仕事場PCにて遊ばせていただきました。
これまで「浸透深さ」の先の形状まで意識したことはありませんでした。勉強になりました。ありがとうございます。

投稿: niwatadumi | 2010年11月23日 (火) 09時12分

これに近い図は、ETのテキスト等にも載っていますし、浸透深さの計算式も示されています。
私だけかもしれませんが、こういうのはパラメータを色々変えてみると関係式の意味が鮮明なイメージとなって頭に残ります。
ただ、注意しなければならないのはこの図に示した「かたち」は、いわば深さに対応させて電流密度のグラフを描いたもので、2次元や3次元的な場所における電流密度の分布を示したものでないのです。

投稿: SUBAL | 2010年11月23日 (火) 11時11分

こんにちは。
先生も仰っているとおり、描かれているのは電流密度のグラフであるということは、知っている人間だからこそわかります。
しかし、教材としてこの絵を示した場合はいかがでしょうか?
読む人は当然そのことを知らない人でしょうから誤解を招く可能性が非常に高いと思います。
グラフの曲線で囲まれた領域にグラデーションがかかっていれば尚更だと思います。

多少の正確性を欠いたとしても、探触子の下から矩形の領域を描いてグラデーションをかけ、イラストの横に電流密度のグラフを描き、37%になる線をイラストにまで伸ばして深さを示す、というのはいかがでしょうか。
よくある、円と正弦波のグラフが並んで描かれているものを想像していただければ。。。

投稿: たけひろ | 2011年7月 8日 (金) 10時19分

この誤解は、結構多いと思います。書籍の中でも誤解していると思われる表現を見かけます。

私の感じでは、この誤解を解くのに最良の方法は実際の電流密度分布を断面表示すること以外にないと思います。そのほかの方法では、どうしてもついて回る。ただ、この誤解、ほとんど実害がないのですね。必要があって突っ込んで勉強すればすぐにわかる。

ここでのコメントを受けて表現の仕方を変えています。現在のバージョンは、グラフは片側(右)のみに描いて、左には位相角を書いて、電流密度と位相角であることを表記しています。その程度でよいのではないかと思っています。

投稿: SUBAL | 2011年7月 8日 (金) 23時44分

始めまして、私は特許関連の仕事をしているものです。技術分野として磁気的手段による測定を担当しています。物理が専門なのですが、磁気的手段による測定を実際に行ったことはありませんので基本的なところが理解できていません。もしよろしければ2,3質問をさせていただきたいいとおもいます。よろしくお願いします。

渦電流の電流の大きさは当然励磁磁界の強さが大きいほど大きくなるのでしょう。また磁界の変化の早さも早くなるほど大きくなるのでしょう。すなわち、励磁周波数に比例。もし対象物が非磁性体の場合、電気伝導度によって抵抗が小さいほど電流は流れやすいのでしょう。
まず、この場合、例えば対象物が銅などの場合、励磁電圧に対し渦電流の位相は遅れないのでしょうか。励磁電流をコイルに流す場合励磁電流は励磁電圧に対してすでに90度位相が遅れているのしょうか。位相の遅れと言うときには励磁電流に対してなのでしょうか。
また、対象物が強磁性体で金属の場合、渦電流も流れまた磁気的な影響も加わります。
この時渦電流の影響と磁石的影響は位相遅れの量が異なるのでしょうか。パルス渦電流法の文献を見ると現れる時間が異なるように書いているものがあります。
渦電流はもし対象物が非常に薄いものであれば深さ方向で差がありませんが厚い場合当然深さ方向で渦電流の大きさも変わってくるものと考えられます。深さ方向の電流密度の分布によって検出コイルで検出される電流も大きく影響を受けるのでしょうか。

投稿: 黒田順治 | 2011年11月19日 (土) 12時54分

黒田順治さん

こんばんは

>例えば対象物が銅などの場合、励磁電圧に対し渦電流の位相は遅れないのでしょうか。

遅れます。

>励磁電流をコイルに流す場合励磁電流は励磁電圧に対してすでに90度位相が遅れているのしょうか。

用語と言っている意味がわかりかねるところがありますが。交流回路の中にコイルがあった場合、電流とコイルの誘導起電力との間に90度の位相差ができるということです。

>この時渦電流の影響と磁石的影響は位相遅れの量が異なるのでしょうか。

磁石的影響を透磁率の違いと解釈して、透磁率が異なれば深さと位相の遅れの関係は違ってきます。

>深さ方向の電流密度の分布によって検出コイルで検出される電流も大きく影響を受けるのでしょうか。

影響を受けます。

交流回路についてやさしく書いた本は巷にたくさんありますから、それでまず勉強されたらいかがですか。このソフトに関係する限りでは、私の「非破壊検査 基礎のきそ」にも解説しています。インダクタンスとかインピーダンスとかが何かあたりから用語と物理的な意味を勉強したほうが良いと思います。技術で仕事をする以上、勉強に王道なし、だと思います。ブログのコメント欄に書いて「答え」を求める前にやるべきことがあるでしょう。
私はずぼらで意地悪な教員ですから、学生ならば「まず自分で調べて自分の頭で考えて、頭の汗をかいて質問はするものだよ」といいます。

投稿: SUBAL | 2011年11月19日 (土) 20時38分

早速回答ありがとうございます。こんなに早く回答いただけるとは思いませんでした。感謝します。
さて、まず一つ確認事項なのですがここはこの種の質問をして良いところなのでしょうか。
個人のホームページへの質問はしたことがないのでもし場違いであればご指摘ください。


こんばんは
>例えば対象物が銅などの場合、励磁電圧に対し渦電流の位相は遅れないのでしょうか。
遅れます。

まず、コイルに交流電源をつなぐとコイルの両端に交流電圧がかかります。すると電流が流れるのですがその電流の位相は交流電圧の位相に対して90度遅れます。この電流の変化が磁界を発生する。この磁界の強さはやはり交流の形をしていて位相はコイルを流れる電流に対して90遅れる。この磁界が例えば近くにある銅板等に渦電流を発生させる。この渦電流の位相は磁界の位相に対してまた90度遅れる。正しいのでしょうか。
前にもお話したように私は実際の装置をいじれる環境にいないもので自分で実験をやってみれば簡単に理解できることだと思いますが、よろしくお願いします。

投稿: 黒田順治 | 2011年11月20日 (日) 11時18分

>まず一つ確認事項なのですがここはこの種の質問をして良いところなのでしょうか。

率直に言ってよろしくありません。ブログのコメント欄は、ブログ記事について意見交換をする場なのであって、その中の用語が検索に引っかかったからといって、それに関連することについて教えろ、はいそうですか、という場ではありません。

特許関係のお仕事をされているとのことですが、電車でも公園でもよいのですが「特許」ということばが出てくる会話をしていたら、突然見ず知らずの人から「私のこの特許申請書、これで通るでしょうか問題点を教えてください」といわれたとして、どうされますか。出かける用事をキャンセルして教えますか?

黒田さんの質問は、私のこの短いブログ記事すら読んでいないことが明らかなのです。これって対話のマナーとしてどうなのでしょう。

自己インダクタンス、相互インダクタンスあたりを少なくとも初歩の電気関係の本を読んで勉強をするところから始めるべきです。実験をやってみなければわからない、という類の話ではないと思います。

投稿: SUBAL | 2011年11月21日 (月) 07時15分

率直に言ってよろしくありません。ブログのコメント欄は、ブログ記事について意見交換をする場なのであって、その中の用語が検索に引っかかったからといって、それに関連することについて教えろ、はいそうですか、という場ではありません。

この事については大変失礼しました。ただし道で出会った人に何かを教えろと言っているのとはちょっと違うようなきがしますが。そのための場違いかどうかもお伺いしましたし、お願いもしていますし、感謝もしているわけです。もう一つ付け加えさせていただくと一般的な質問コーナーはいくらでもあるのですが実際の過流探傷装置を使っている方から話を聞きたかったのでメールしたしだいです。

自己インダクタンス、相互インダクタンスあたりを少なくとも初歩の電気関係の本を読んで勉強をするところから始めるべきです。

自己インダクタンス、相互インダクタンスも知識としてはよく理解をしているつもりです。
私が知りたかったのは磁界と例えば金属との相互作用でどういうことが起こっているかです。

ま、とにかく知らずとはいえ場違いなところで大変失礼しました。

投稿: 黒田順治 | 2011年11月23日 (水) 09時14分

確かに、今の状況で電車の中での話とは違いますね。私は古い人間なので、昔列車で旅をしたときには列車の中で見知らぬ人と会話が弾み仲が良くなったということを経験しています。今は、なんか寂しい世の中になっていると感じています。
見ず知らずの人が出会える知り合えるという場として昨今は、ネット環境が出てきているのでしょう。そんな感覚で話をしておりました。

>自己インダクタンス、相互インダクタンスも知識としてはよく理解をしているつもりです。

そうですか。もし私が解説をするとしたら、そのあたりだなと思っていましたので、散々解説をした後で「それは知っています」という話になったということですね。大きな時間ロスにならずにすんでよかったです。自己インダクタンスと相互インダクタンスを良くご存知ならば、渦電流の場合2次コイルが金属表面でひと巻きコイルになっているだけです。それを超える内容となりますと私の範囲を超えてしまいます。
お役に立てずに申し訳ありません。

投稿: SUBAL | 2011年11月23日 (水) 14時39分

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