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2010年「かたちのココロ」その3 デジタル超音波探傷時代

 今年のブログ記事を振り返ると、本業回帰傾向とでも言いますか、非破壊検査や超音波探傷の記事をたくさん書いてきました。

 JSNDIが資格試験で使う超音波探傷器をアナログ式からデジタル式に今年から変えましたので、それに対する対応を考えなければなりませんでした。
 技術云々というより、まず現実的対応をしなければなりませんでした。職場の探傷器を一気に入れ替えなければなりませんでした。一教科の負担としては大きいものがありましたが、幸い各方面の理解と協力が得られて8台+1台を取り揃えることができました(こちら)。
 もうひとつの問題は、試験に使われる探傷器がRタイプとGタイプの2種類があり、受験者が選べず地域によって機種が指定されるやり方でスタートしたことです。このままこのやり方が定着すると、地域によって有利不利が出てしまいますし、教育も非常にやりにくくなります。
 この件では、北海道機械工業会が真っ先に要望書をJSNDIに提出しました(こちら)。
私としてはこの要望書のことを私の人脈を通じてお知らせすると同時に協力を呼びかけました。同じような悩みは各地であったようで、今年の秋の試験には間に合わなかったものの、来年の春からは要望書が受け入れられて、機種を受験生が選択できるようにするとJSNDIが方針転換をしました(こちら)。
 変わり目に対応を間違えると、これまで積み上げてきた教育を捨てなければならないケースに陥ることもありえましたから、何とか落ち着いてよかったです。

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 私の関心は、デジタル超音波探傷器時代の探傷はどうなるのか、教育はどのようにすべきかというところです。
 技術というものは道具に規定される面は大きいものがあります。今ある道具をどのように使って目的を実現するか、先人たちの知恵の結晶が我々が学んでいる「探傷方法」だと思っています。そうするとパルサーレシーバー+表示器というアナログ探傷器にコンピュータによる演算機能が付加されたデジタル探傷器は、それまでとはワングレードアップしていると考えられます。この道具を使う場合、考えなければならないことがたくさんあるのです。「ブラウン管(CRT)が生産中止になったからデジタル化だ」というわけではないのです。それは単に表示の液晶化。
 私からすると、えっと驚くような見解がJSNDIの機関誌に、試験委員会の文章として、「指導者に望むこと」というサブタイトルまでついて発表されましたから、ブログ記事で反論しました。

  1. 超音波探傷の基本って?RB41によるDACの作成
  2. 超音波探傷の基本って?垂直探傷の横軸調整
  3. アナログ式超音波探傷器での時間軸の校正

 この件も含めて議論が必要だと思います。その際に私は、現在の超音波探傷方法を確立していった先人たちが、デジタル探傷器という道具を手に入れたらどのような発想をしただろうか、という視点が必要だと思っています。
 その意味で、J. Krautkramer , H. Krautkramer 両博士の下で超音波探傷器開発に携わって来たP.Renzl氏とこの夏何度目か会い議論ができたのは幸運でした。実はRenzl氏自身が、1980年代の初めに世界で始めてデジタル探傷器の開発を提唱して着手した人でした。

デジタル超音波探傷器について語り合う

 これからはフェイズドアレイの技術が主流になってくるのかもしれません。フェイズドアレイ探傷器で少し遊びました、

フェイズド・アレイ超音波探傷の動画

コーナーでの2回反射をフェイズド・アレイで・・・

モード変換によるアーチファクト

おまけですが、フェイズドアレイ探傷器では断面表示させることができますが、見たままの断面の様子とはずいぶん違うことについて読者の疑問に答える形で記事にしました。

フェイズドアレイ探傷器ではなぜ実際の欠陥の形で現れないのか

いずれにせよ現在はひとつの過渡期で、色々な問題が出てきます。わいわいとした議論が必要だと思うのです。そのきっかけになればよいなぁと思い記事にしています。
ともかく何であれ、境界や過渡期は面白いのですね。

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