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超音波探傷の基本って?RB41によるDACの作成

 (社)日本非破壊検査協会(JSNDI)が月間で発行している機関誌に「NDTフラッシュ」というコーナーがあります。資格試験受験者に向けた情報が記載されているコーナーです。その11月号に、ほとんど異例だと思いますが、「受験者および指導者に望むこと」という文章が掲載されています。デジタル超音波探傷器を使った実技試験の1回目が終わって、注意を促すというスタンスです。受験者に向けてだけではなく、指導者に向けてという点が異例です。
 「原則から外れた指導がなされている」という危惧を、試験委員の方がもたれているようです。
 4点について述べています。そのうち2点については、私からすると疑問だらけの見解です。

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 そのひとつです。

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 RB41を使ったDAC作成について述べています。横穴人工きずまでの距離(ビーム路程)を変えて距離によるエコーの振幅の違いをプロットして特性曲線とそれによる区分線を描いていくのですが、この文章では「ビーム路程の短い順に行うこと、斜角探触子の向きは同じ方向で走査することが基本であり、基本にのっとった手順の教育」を指導者に要請しています。

 一応私も指導者の端くれですので、答えたいと思います。

  ビーム路程の短い順番にプロットしていく方法もひとつの方法ではありますが、そうすると何度も試験片をひっくり返す作業が伴います。同じ面方向からやれる点をまとめてプロットするというやり方も私は教えています。この方法が基本からはずれるとは全く思いません。やる人にとってやりやすいかどうかの問題だと思います。仕事として実施する場合には、できるだけ無駄な動きをしないというほうに合理性があると考えています。

 この文章の筆者は、「探触子の方向も保持する手もまちまちとなり」「作成した区分線の傾きが大きく乱れるケースや測定ポイントの間違い」が起きるケースを上げて、「基本にのっとるように」という注意喚起をしています。

 資格試験の実技試験ですからね。探触子の方向によってうまくエコーのピークをとらえることができない人がいるとすれば、その人は不合格でよいはずです。その人に同じ方向でやればうまくいくはずです、などということを試験委員の側から言うことなのでしょうか。

 実際の探傷現場で、探触子の方向を左だけにできるはずがありません。左向きであろうが右向きであろうが、安定した探触子走査ができて初めてプロであるし、そうした技量があることを確認するのが資格試験の実技試験だと思うのですが、間違っているでしょうか。

 テーブルの上で、試験片を自分の都合の良い方向に回せる環境でしか探傷をしたことがない人の見解のような気がして、私はむしろその感覚のほうを危惧します。

 この文章は試験委員会の文章ですから、「手順が基本にのっとっていない」という判断で減点されたり不合格にされるとしたら大きな問題です。非破壊試験にとって手順は重要で、基本から外れる手順はNGと考えるのが普通です。異例のこの文章、きちんとした議論が必要だと思います。

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コメント

いつも楽しみに読んでいます。私は今回(2010年の秋)UT2を受けました。参考に2箇所の実技講習に行きました。1件目は探触子を左右に180°回してDACを作成しました。1件目で教えられた通り2件目の講習で180°回したら、「ダメだ」と言われ、常に左側に人工傷がくるようにと言われました。試験片の探傷も1件目はT継ぎ手を上に(向こう側)2件目では左側で行うように言われました(これも常に左向きの法則による)。私の考えではDACはやりやすい方でいいと思います。しかし試験片の探傷はT継ぎ手を向こう側するのが正しいと思います。でないと、X方向Y方向がおかしくなります。実際の協会の試験ではどちらもいました。合格発表はまだですが・・・

投稿: イーチ | 2010年12月 8日 (水) 12時56分

イーチさん ようこそ

2つの講習を受けたら、教え方が違っていたというのは、現状をよく反映していると思います。
DACの描き方は、教える人によって違っています。それでJSNDIの試験委員会U部会として「注意喚起」したということなのでしょうが、その試験委員の方のやり方が本当に基本なのか省みる冷静さが必要だと思うのです。私は「探触子左向き基本論」には疑問を持ちます。技術習得の段階論としては理解できないこともありませんが、少なくとも技量を認定するところで言うことではないと思っています。

投稿: SUBAL | 2010年12月 8日 (水) 22時14分

いつも興味深く拝読させて戴いております。
大変興味深い記事だったので久しぶりに訪問致しました。
確かに0.5Sと1.5Sを続けてプロットするのは常道ですが、GE製のUSM35X(Gタイプではないオリジナル)に関してはビーム路程の短いもの順にしかプロット出来ない様です。分かり切ったコメントで恐縮です。今年も3週間を残すところとなり、来週から客先への年末挨拶が始まり忘年会で終わります。

今年一年有難うございました。

投稿: 天使 | 2010年12月10日 (金) 13時50分

天使さん こんばんは

ご愛読ありがとうございます。田舎の教員のたわごとをほとんど暴走気味に書き連ねていますので、プロの目でチェックをお願いいたします。

A2の場合では「0.5Sと1.5Sを続けてプロットするのは常道」というのが仕事でUTをする人の感覚だと思います。

>GE製のUSM35X(Gタイプではないオリジナル)に関してはビーム路程の短いもの順にしかプロット出来ない様です。

これはどうなのでしょう。USM35Xでも「0.5S→1.5S→1.0S」もできるはずです。先ほどメーカーに問い合わせたら「ごく初期のバージョンではできないのもあったけど・・・」とのことでした。

投稿: SUBAL | 2010年12月10日 (金) 20時17分

社のUT装置がベテラン揃いであることに気づきました。
そろそろ買い替え時なのかも知れません。
当早速の返信有難うございます。

投稿: 天使 | 2010年12月10日 (金) 21時25分

そのあたりあまり詳しくはないのですが、ソフトのバージョンアップという方法もあるのではと思いますが。

投稿: SUBAL | 2010年12月10日 (金) 22時21分

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