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「失敗知識データベース」サービス終了

科学技術振興機構のWEBサイトで公開されていた「失敗知識データベース」がそのサービスを終了させるようです。こちら

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 残念ですね。私は事故事例や失敗事例はいわば社会的な財産だと思っています。だから公立の図書館にその存在意義があるように、公の機関でデータを収集したり解析したりすることは意義があると思っています。これが昨今言われている「事業仕分け」なるものの直接もしくは間接の結果であるのなら、本末転倒だと思います。近々の収益は期待できないけれど、将来にわたって意味のあるものこそ「公」のなすことだと思うからです。
 ただ、「失敗知識データベース」には期待が大きかっただけに、一部にあきれるほどひどいデータがあることには失望しました。たとえば、エキスポランドジェットコースター事故に関するこの記事。基本的な事実誤認がありそれを指摘しました。どうも執筆者もこの誤りを認めているらしい(こちらの記事)のですが、未だに訂正がされていません。こういうのは正直あきれてしまいます。他人の失敗を論ずる人が、自分の誤り・失敗を素直に認めて訂正することが出来ないとしたら、その資質を問わなければならないと思うのです。
 指摘したジェットコースターの件以外にも、基本的な事実誤認があるデータが私が確認しているだけでいくつかあります。それがどうも特定のグループに偏っているように見えます。
 「失敗知識データベース」については、畑村氏のリーダーシップが大きいことは誰しも認めるところでしょう。ただ、だからといって畑村氏に対してものをいえない雰囲気があるとしたら、あるいは「畑村天皇」化するようなことがあるとしたら、その成果物にもゆがみが出てくると思います。
 4月以降は、これまで公開されていたデータは畑村創造工学研究所のWEBサイトに引越しするようです。それはそれでよかったとは思いますが、私は「公的」なサイトで公開されて、「公」にふさわしいのか、という眼にさらされることがなくなるのはいかにも残念です。

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科学技術」カテゴリの記事

コメント

失敗知識データベースが終了するとのことですね。つい1月前に、データベースの中でドイツ鉄道脱線事故について、図面が間違えていること、著作権侵害ではないか、学術論文を見ないでWeb記事を4件ほど引用して、理論構築していることなど、問題点を指摘したメイルをお送りしたところでした。スバルさんの指摘しているジェットコースターの件もご指摘のように検討が杜撰すぎました。このような杜撰なデータベースが公開されるのは、若い技術者のためにもならないと考えています、

投稿: K | 2011年2月11日 (金) 16時03分

ドイツ高速鉄道に関する失敗知識データベースの記事の筆者は、張田吉昭氏と 中尾政之氏ですね。このグループなのですよね、いい加減なことを書いているのは・・・。航空機事故に関してもうちの学生に調べさせたら、基本的な調査をしていない事例がいくつか出てきました。出てくる名前がだいたい同じなのです。中尾政之氏は、畑村氏の後継者だそうで、「失敗百選」などの著作があります。評判は良いようですが、私はこの杜撰さに気づかないのはどうしてなのだろうと思っています。
個人のサイトに移る以上、あふれているネット上の情報のひとつに過ぎなくなるのでしょう。
肝心なことはやはりリテラシーの能力でしょう。若い人にも、偉い人が言うことだからとか有名大学の教授だからとか学術論文だからといって、頭から信じ込むのではなく、批判精神を持って勉強してほしいと思います。

投稿: SUBAL | 2011年2月11日 (金) 17時39分

政治的な問題もあるかもしれませんね。有名企業の例も少なくないし。口では協力すると言うのでしょうが、実際のよころどうかは分かりませんしね。。。データベースの中身も本当にそんな浅い分析でいいの?というのも有るような気がしますし、いろんな点でもう少し突っ込んだものができたら役立ったのに、と思います。

投稿: tsunodako | 2011年2月13日 (日) 21時27分

事故事例を「恥」と認識する独特の文化的な問題もあるのかもしれません。事故事例は貴重な財産であると考えられれば、ずいぶん違うと思います。
少々内容的に貧弱であったとしても事例が集積されている意味はあると思います。貴重な内容もずいぶんあるのです。それにしても、一部のデータと一部の人たちの対応があまりにもひどい。私は、リーダーである畑村氏は違うだろうと期待したところもあるのですが、エキスポランドの件で1年半も対処もせず放置して、何の連絡もないというのはいかにも失礼ですし落胆しています。
ただ、間違いがある、姿勢がおかしい、というところがあるからといって、なくしてしまえという意見には私は同調しません。失敗事例を蓄積するというのは日本の風土の中では意外に難しいのかの知れないと思い始めています。

投稿: SUBAL | 2011年2月13日 (日) 21時51分

まあ、多分に公的なサイトでの永年維持は、官庁特有の予算概念では難しいというところがあるんでしょう。データを一応移していくという考えはまだ公的なもの由来としては良心的なほうだと思っています。
もちろん、かねてから私も指摘しているように、中身にずさんなところがあるのは私も気になっております。しかし、それを前提としても一応の存在意義はあるとは思っています。
>失敗事例を蓄積するというのは日本の風土の中では意外に難しい
自動車などをやってきていると、失敗事例の蓄積は日本人はむしろできるほうだと思っていますが、失敗事例の共有が極めて難しいんではと思っています。いや失敗事例の蓄積自体が難しい国民もあると感じますから・・・・

投稿: デハボ1000 | 2011年2月15日 (火) 23時51分

多分ある程度きちんとした企業の中では、自社内の失敗事例の蓄積と活用はされているのでしょうね。そうしたものを一般に公開して社会の共有財産にしてゆくことが難しいのでしょう。
この難しいテーマに挑戦したという意味で畑村グループの実践の意義はあると思います。
ただ、細かい事実にこだわらず未経験者でも想像できる事象に結び通けるといった「方針」があるようで、これが事実の検証をおざなりにした「お茶飲み話」化という結果になっていると見ています。「失敗学」の失敗事例でしょう。エキスポランドの件は違っていそうとわかっていても訂正しようがないのだろうとにらんでいます。ある意味無残です。

投稿: SUBAL | 2011年2月16日 (水) 21時06分

失敗知識データベースに載っている「福知山線脱線事故」に捏造があります。
http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CZ0200711.html

ここにそれを指摘したページがあります。
http://onaraga2kai.pupu.jp/bbc_j

投稿: 耐忍 | 2016年9月18日 (日) 18時16分

耐忍さん

 捏造はありもしないことを「事実」とすること、重要な「事実」を考慮の範囲外に置くこと=選択の錯誤、事実ではないことを事実として認識すること=事実誤認、重要な「事実」の見落とし、事実は認定したけれど断片事実を構成していくときの論理の錯誤、事実に向き合いながら真実=事象の核心に到達できない要因はいくつかあります。失敗知識データベースのグループには記事には、いくつもの錯誤が絡み合う場合がまま見受けられます。その中でやってはいけない最低限のことが「捏造」です。紹介されているページを見る限りこの件でどこが捏造なのか、残念ながら私には理解できませんでした。

投稿: SUBAL | 2016年9月22日 (木) 09時06分

SUBAL 様

> 紹介されているページを見る限りこの件でどこが捏造なのか、残念ながら私には理解できませんでした。

残念です。

ありがとうございました。

投稿: 耐忍 | 2016年9月26日 (月) 16時48分

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