「ウンチとおなら」の後には「街角紙芝居」
東京消防庁のハイパーレスキュー隊の登場と東電の「協力会社」の出動によって、悪化に歯止めがかかっていなかった福島原発事故の様相が大きく変わってきた印象を受けます。
他方で撒き散らされた放射性物質に対する対応の混乱は始まったばかりで、これからが大変になるでしょう。
こういうときに、ごくわずかな放射線を浴びることについても「絶対の安全であるはずがない」などといって不安をあおるのは、やってはいけないことだと思います。そういう人には「少なくともあなたはタバコを吸って煙を撒き散らしてはいませんよね」と問いかけたいところです。
事態を冷静に受け止める必要があります。あまり難しいことを言ってもしょうがないので(いまここで放射線と放射線物質のお勉強をするわけにいきません)、先日「ウンチとおならに例える」動画を紹介しました。ただこれはあまりにも飛躍したたとえ話なので、むしろこれでは納得出来ないという人もいるはずです。
そういう人には、こんな紙芝居はどうでしょう。
「カリフォルニア大学のMonreal氏による講演のスライド」
翻訳者は以下の方々です。
野尻美保子(高エネルギー加速器研究機構/東京大学IPMU)・久世正弘(東京工業大学理工学研究科)・前野昌弘(琉球大学理学部)・衛藤稔・石井貴昭・橋本幸士(理化学研究所仁科加速器研究センター)
普通の人にとっては、内容の理解に多少無理があるとしても、権威ある科学者が言っていることとして受け止めることは可能と思います。科学者の権威がどこまで信頼感を持って受け止められるかという問題はありますが・・・。
翻訳者たちのメッセージがこちらの理化学研究所のサイトにあります。そこでの呼びかけを引用します。
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素粒子原子核分野の研究者/院生の皆さん
今回の震災に起因した福島原発の事故について国民の不安が高まっています。チェルノブイリのようになってしまうと思っている人も多いです。
放射線を学び、利用し、国のお金で物理を研究させてもらっている我々が、持っている知識を周りの人々に伝えるべき時です。
アメリカのBen Monreal教授が非常に良い解説を作ってくれました。もちろん個人的な見解ですが、我々ツイッター物理クラスタの有志はこれに賛同し、このスライドの日本語訳を作りました。能力不足から至らない点もありますが、皆さん、これを利用して自分の周り(家族、近所、学校など)で国民の不安を少しでも取り除くための「街角紙芝居」に出て頂けませんでしょうか。
よろしくお願いします。
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言うまでもありませんでしょうが、私は専門の研究者でもお国の税金で生活もしていません。非破壊検査という技術にかかわり、放射線を浴びる危険の中で仕事もしたこともあり、多少は勉強もしている身です。その実体は、普通のグータラおじさんです。全国には数万人の非破壊検査技術者がいます。病院の放射線技師も相当数いるはずです。こういう普通のおじさんやおばさんが、きちんと言うのも意味があるのではないか、そう思っています。もちろん、この紙芝居を見て理解できる教育を受けた人にもこれを説明する「権利」があり、それによる効用もあると思います。
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コメント
すばらしい、資料ですね。
地震当日、4号機の定期検査の
作業員として第一原発にいました。
幸い、構内の事務所で被災したので
早い段階で現場を後にしました。
しかし翌日、自宅が原発から10km圏内のため
避難指示により避難所へ退避、
被災者、避難所の皆さんの不安を
少しでも取り除こうと思い、
報道の数字がなぜ大丈夫なのかを
絵を描きながらいろいろな人達に説明してきましたが
これからはこの資料をプリントアウトして
技術者、資格者として活用したいと思います。
投稿: 小船井貴紀 | 2011年3月21日 (月) 17時58分
小船井 さん コメントありがとうございます。
検査屋さんでしょうか。私は福島原発には行ったことがありませんが、多くの仲間は仕事で現地にいたのだろうなぁ、と想像していました。
避難所での生活、ご苦労の多いことと思います。
見えないものに恐怖心を持つことはある意味当然のことかもしれません。政府や大学の先生ではなくて、実際に被曝の危険にさらされながら仕事をしている人たちの話は説得力があると思います。10キロ圏の人たちは、ご自身たちが不安でしょうし、風評被害にもあわれる課も知れません。そんなことになれば、まさに踏んだり蹴ったりです。その中での科学的知識に基づく説得は、とても意味のあることのように思えます。
投稿: SUBAL | 2011年3月21日 (月) 19時45分