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現場の安全管理

 福島原発の電源回復→冷却システムの回復作業がなかなか進まないのは、現場の安全管理が難しいのだろうと思っていました。時間との競争と従事者の安全という二律背反を解決して行くのは、冷静な知性とともにある種の覚悟が必要なのだと思います。そういう中では、最善を尽くしてもなを不測の事態はあるわけで、事故もあるかもしれないと思っていました。結果だけから当事者を非難する愚は犯してはならないことです。
 でも、昨日の作業員の被曝事故はいったい何なのでしょう。昨日の状況だけで、当日何の確認もなく作業員を投入している。「協力会社」の作業員が行う作業現場の安全管理が軽視されていたといわざるを得ません。

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 プラントの現場で安全管理の仕事をしていたわずかな経験からしても「昨日問題なかったから今日も安全」という発想はありえないです。大量の放水をしていて、建物や設備があちこち壊れていて、しかも低い位置にある現場です。生き物のように動いている現場でしょう。
 東京消防庁レスキュー隊の安全管理のやり方が明らかになっている中で、いかにもお粗末です。安全管理は、時として付随物扱いをされる場合がありますが、重要な技術です。
 こうして犠牲になるのが、いつも最前線の作業員であるというのが情けないです。実は彼らが現場に入らなければ前に進まないにもかかわらず・・・。
 日本では報道されていませんが、フランスのサイトに福島原発の現場写真が公開されています。こちら

Fukusima APの配信のようです。出所は東電しかないでしょう。写真に騙されることにも注意しなければなりませんが、映像でわかる現場の空気というものがあります。

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科学技術」カテゴリの記事

コメント

この現場で長靴を用意するのは当然のように思います。リーダーから言われるまでもなく。そんな判断ができない不慣れな作業員を、むしろ熟練を必要とする非常の現場で働かせた事に疑問を持っています。
写真は次のページにあり、記者、カメラマンが撮影したようです。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1369216/Japan-nuclear-crisis-Fukushima-Fifty-pictures-inside-nuclear-power-plant.html

投稿: Husigidou | 2011年3月25日 (金) 11時17分

英国のサイトには、さらに数枚の写真が掲載されていますね。
「原子力保安院のサイトに掲載されている」という情報もあるのですが、確認できていません。

>そんな判断ができない不慣れな作業員を、むしろ熟練を必要とする非常の現場で働かせた事に疑問

これはどうでしょうね。現在700名の作業者が入っているようですが、それぞれの専門技術以外に原子炉の構造や放射線に関する安全知識を併せ持つ人がそう多くいるとも思えません。被ばく線量管理の観点からは、2週間現場で働くなんてことはできないでしょうから次々と交代させなければならないでしょう。その仕事ができる人を集めなければできない仕事でしょう。たぶん普通の電気工事屋さんですよ。
安全保護具は、作業にとっては大体邪魔で、現場ではできるだけつけたくないという気分になります。
また、ヘルメットと安全靴が現場の標準装備だと思いますが、それとは違うものをつけるのは、現場を考えて優先順位を考えてのことになるでしょう。
これらは、安全管理者の仕事なんですよ。現場ではたいてい嫌われ者です。作業者の無知や不注意を言うのは、私は違うと思います。

投稿: SUBAL | 2011年3月25日 (金) 12時30分

作業員の無知や未経験のせいではありません。そういう人を選んだリーダーの責任です。
私が仕事に出るとき、危険が伴う場所とそうでない時では、メンバー構成の考え方が違います。危険な場所ではそれなりの経験者だけで構成します。未経験者を伴えば本人だけでなく、メンバー全体を危険にさらす可能性があります。
ですからこの原発で、私は「働かせた者」に疑問を投げているのです。ここでは、人材を集めるのがおおごとかもしれません。しかし明らかに、とても危険な現場です。動きにくくとも不自由でも、必要な装備は身に着けなくてはいけない。そうしたモラルを守れる者だけを使わなければなりません。
全ては、管理者の責任です。

投稿: Husigidou | 2011年3月25日 (金) 14時08分

いろいろな考えがあるとは思いますが、仮に「モラルの高い作業者」を集められるとしても、個々の作業者のモラルに依拠した安全管理をすべきではないというのが私の考えです。安全管理は技術であってモラルではない。
今回の作業で安全靴にするか長靴にするかについて、個々の作業者の判断やましてモラルに任せるべきでことではなかったと思っています。

投稿: SUBAL | 2011年3月25日 (金) 14時36分

「個々の作業者の判断」に任せるべきではないんです。それ以前に、常識として「安全とはどう行動することか」が分かってる奴だけ使え、と考えています。安全管理の技術はとても有用と思いますが、管理される事に慣れていなければ、規格外の行動をとってしまいます。管理する側も完全ではありえない。非常時だからこそ、何が起こっても安全方向に対処できる人材をと思います。何が起こるかは、わからないんですから。

投稿: Husigidou | 2011年3月25日 (金) 15時56分

守るべき良い安全行動基準があって、それを守る必要性(守らないと生じる危険)がわかっている人が実施する。そうして初めて安全に作業ができると思います。

投稿: Husigidou | 2011年3月25日 (金) 16時14分

Husigidouさん

この2つのご意見は、ごもっともです。
でも今回の被曝した作業員について「リーダーから言われるまでもなく。そんな判断ができない不慣れな作業員」というレッテルが貼られる現場には、私は絶対に入らない。現場の状況もわからないのに、安全靴が適切か長靴が必要か、判断ができない人がだめならば、私はだめです。私が下請け会社の監督ならば、このようなことがいわれる現場からの撤退を会社に提案します。

私が下請け会社の監督や作業員ならば、現場の状況を聞きますし作業前に可能ならば自分で確認する。昨日の状況を聞かされるだけで、作業前に放射線レベルを確認しないで作業現場に行かされることは拒否します。Husigidouさんからすれば、低レベルの人間かもしれませんが、少なくとも私はそのレベルです。電気配線の技術はありませんから呼ばれることはないでしょうが・・・。

投稿: SUBAL | 2011年3月25日 (金) 21時34分

ちょっと,議論に口を挟みますが,
「奴」を「使う」という心理があるだけで,管理者としてNGかも。

私は研究者なので,よく分かりませんが,
私の周りでも,現場の人に作業をお願いする時に,
そういう口調を使う人がいて,その度に,心が痛みます。

でも,今のように,状況が状況だと,
そういう言い方になるのも,仕方がないかもしれませんね。

投稿: めぐめぐ | 2011年3月26日 (土) 11時27分

言葉遣いが少々乱暴でも、管理者としてやるべきことをきちんとやっていれば良いのですが・・・・大体はだめですね。
「自分や仲間の安全を損なって良い」などということを考えている作業者はめったにいるものではありません。それでも暑さや寒さ動きにくさや息苦しさ、さらには「昨日が大丈夫だったから今日も・・・」という安易な経験則、そして疲れをベースにした「うっかり」、等々の要因で人は不安全行為をしてしまうものだと思います。それでも現場と作業員の安全を守るのが安全技術だと思います。
現場で事故やヒヤリがあった場合に、「作業員のモラル・意識」をことさら前面に押し出してくる人がいます。だいたいそいういう人は、管理者としてやるべきことをやっていない。協力会社という名の下請け生活が長かった私としては譲れない一線です。

投稿: SUBAL | 2011年3月26日 (土) 12時26分

SUBALさん
色々引っ掻き回すような言葉を羅列しました。もう少しだけ許してください。

そりゃ、やみくもに現場に突入するのはいやですよ。現場の様子はできる限り聞き、確認する。それをしないで作業場に入れる人は失格です。注意深く、臆病でなくてはなりません。そう考えると、SUBALさんは私より適性があるのかもしれません。私の神経は粗雑です。
今回は、現場がもし「予想に反して」水浸しなら、すぐに引き返すという判断が成り立たなかったかなと思います。そして上に判断を仰ぐ。貴重な時間を費やしても被爆するよりは、結局近道です。
私は時々、地すべり地観測のリーダーになる事があります。あまり有能なリーダーではないので、メンバーには経験豊かな人々を選びます。

投稿: Husigidou | 2011年3月26日 (土) 13時21分

管理者としてやるべき事をやっていない人が言う「作業員のモラル・意識」は、私は考えませんでした。
零細企業の私たちの会社ですが、たいてい下請けではあません。ですから全ては自己責任です。そして共同作業をする方々にも、迷惑をかけないよう注意しなければなりません。

投稿: Husigidou | 2011年3月26日 (土) 13時26分

>現場がもし「予想に反して」水浸しなら、すぐに引き返すという判断が成り立たなかったかな

ここは冷静な判断としては確かにその通りです。ただ、このとき彼が何を考えて作業をしたかと考えるとき、ただ意識やモラルが低いというだけでは片付けられないものを私は想像しました。
私が入った現場では、一度も事故は起きませんでした。ただ1度だけ、それが起きていれば新聞1面トップ記事になるだろうという大事故寸前を経験しました。そのときにとった同僚の行動は、信じられないもので、文字通り命を張って事態を食い止めたのです。しかしこの行為は自慢すべきことでも賞賛されることでもあるいは叱責されることでももないという認識で、今もって彼と私だけが知っている秘密です。「給料以上に働く必要はない」などということを普段言っている人に限ってそういうことをする。
今回の彼が、どういう人だったのかどういう考えで作業を続行したのかもちろん知りません。少々放射線を浴びてもこのポンプを動かすようにできたら事態は収まる・・・そして自分にはそれができる・・・そう考えて突っ込んでいったのではないか。まったく違うかもしれませんけれどね。こう想像すると、彼をレベルが低いと断じるのには抵抗があるのです。技術者にはそういうマインドが底流にある。だから、そうした作業者のマインドから距離を置く安全管理者のプロとしての仕事が必要なのです。特に危険な現場では。

投稿: SUBAL | 2011年3月26日 (土) 14時38分

同僚氏は、彼だけが解決の方法を理解していて実現できる事をわかったのです。そして行動が終わって事態は完了しました。彼を動かしたのは解決への欲望であり、実行中は使命感と感じたかもしれません。その行動にだれも肯定、否定する時間はなかったし、結果への責任は彼自身だけのものです。

作業員はどうでしょう。彼を動かしたのは、仕事を遂行する義務感です。電線を接続する事でした。それは瞬時に終わるものではありません。通常の場所ならルーチンワークとして終わった筈のものでした。そこには衝動的なものは何もありません。足が水に浸かった時、彼は何を考えたでしょう。おそらく深刻な被爆は考えなかったでしょう。考えていれば2人まで足を濡らす事はなかったでしょうし、濡らした時点で引き返したでしょう。彼は放射能に満ちた危険な環境で、冷静に仕事をこなす事ができました。しかし水が大きな害を及ぼすという考えには至らなかったのです。
危険と考えられる場所でちゃんと仕事ができる人ですから、通常の場所なら立派に仕事をこなす事ができた事でしょう。誤算は水が放射性物質に満ちていた事です。責任を負うのは、その危険を告げられなかった管理者、あるいは発注者です。

ここで私は間違いに気が着きました。モラルに期待してはいけなかったのです。非常に対処する訓練を積んだ者が、この仕事を実行しなければならなかったのです。原発を知り、平常と異常の違いを容易に見出して対処できる者です。非常に対する訓練といえば身近なのは消防隊員でしょう。自治体が消防組織を抱えるように、原発を運用する電力会社は非常時に対応できる要員を常備しておかなければならなかったのです。

重大な原発事故だけでも数年に一度起こっています。これに対応でき、被害を減らす事ができる要員を常備する必要があるのは明確です。経済的にも見合うでしょう。原発を運用する電力各社が共同で組織を作っても良いのです。
こうした非常時への備えがない事は、原発の運用リスクを小さく考えている証拠の1つです。

投稿: Husigidou | 2011年3月26日 (土) 17時06分

こういう場合にモラルを問題にすることが間違いであることに気づいていただけで、この長いやり取りも無駄ではなかったということでしょう。それ以上のことは、私の想像も含めて、確認のしようがないことですから、それぞれが想いを馳せていただければと思います。

投稿: SUBAL | 2011年3月26日 (土) 17時55分

おつき合いありがとうございました。書いてみるものですね。
しかし海外から「カミカゼ」と呼ばれても仕方がないような、作業員の方々の活躍が続くと思えば、楽観する材料はなさそうです。

投稿: Husigidou | 2011年3月26日 (土) 18時19分

このコラムを3/31 AM6:00頃読みましたが
大分、意見があったようですね。

僕の感想を一つ
 •現場を知っていても、水に対する危険意識を
 知らなければ誰でも同じミスをする。

例えば、東電社長 清水さん、
昨日廃炉のコメントした東電会長 勝俣さん
なぜ、現場で水の漏洩が危ないのか
1週間前は知らなかったと思います。

通常、原子炉周りで作業している作業員も
なぜ、水が危険なのか、本当の理由を知らないと
思います。

僕は「自分の身は自分で守る」という
当たり前だけど普通の人は実行しない
リスク対処として放射線管理主任者の資格取得、
そして僕の周りの人を守ろうという行動をしてきました。

『モラル』とは実は一般社会での常識、
原子力発電所の『常識』を身につけるには
最低5年はかかり、その中で僕たちは
原子炉の安定運転のために
『検査』という部分で全力を尽くしてきました。
(異論、反論はあるとは思いますが
 何か言う前に現場に行ってください)

東京のゲームセンターにで遊んでいる若者、
停電で騒いでいる関東の人たち、
その他、国会、省庁で勝手な事を言っている人達、
まずは発電を知る為に福島においで。
と、いいたい。

今回、タービン建屋の作業で被災した3名は
全然悪い人達ではなく、
逆に一生懸命作業したのに原発の常識を知らない為に
被害者になった気の毒な作業者だと思っています。

ちなみに最近の原発作業者は
一生懸命やった人の評価(いっぱい被ばくした人)よりも
仕事しない人(被ばく量が少ない人)が優秀な
評価をされている部分もあります。

ついでに『被ばく量が少ない人』に注目してよく見ると
 •仕事が確実で最小手順、最小時間でミッションを実行出来る人
 •何もしないでただそこにいる人
は被爆線量、測定値からは絶対に分類できません。

その数字のトリック、からくりは知っていてほしい。

(逆に現場を知っている人が過剰被ばくして
 現場を離れざるを得ないような事態になった場合、
 その後の現場作業のコントロールは
 さらに難しくなると思いますが…)

通常、BWR型の原発でタービン建屋は
強烈な放射性物質の汚染はありません。

むしろ、異常事態を認識しつつ、そこまで安全管理、
放射線管理が出来ない現場の事実を
関係省庁、東京電力(本店)経営陣が理解し
皆さんの電気を供給するために
本当に苦労している人達がいることを
TVでも知らせる事が今後、同じようなミスを防ぐ
本当の対策になるのではないでしょうか?

やべー、こんな時間になった。
今日は第一原発の従事者解除でもうすぐ電車に
乗る時間だった!
とりあえず、コメントだけして失礼します。
(誤字、脱字、コメント内容について御免あそばせ…)

投稿: こぶない たかのり | 2011年3月31日 (木) 06時41分

こぶないさん コメントありがとうございました。

実際に最前線で働いている方のご意見は重いと思います。私は原発のタービン建屋で昔少し仕事をしただけですが、通常は被曝の危険があるという現場ではないという感覚でした。自分も安全靴で行ったかもしれないと思うのです。だから、被曝した3人を「だめなやつ」という論調には強い反発を感じました。
検査屋さんですと、X線作業主任者の勉強をして放射線に関する知識がある人はいると思うのですが、放射線管理主任者の資格を取得して活動されていたとは・・・そいういう方もいらっしゃるのですね。
避難所暮しをしながらお仕事をされているとのこと、お体ご自愛ください。

投稿: SUBAL | 2011年3月31日 (木) 19時51分

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